ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(4)

  • 2017.05.18 Thursday
  • 22:02

第12作目/全21作(「荒野」は除く) 「大火事」P355〜370
残響評価 B fee評価 B+

 

 

fee「マリアンちゃんという女の子が、恋をしました。超テンションが高いので、ママとパパはウンザリ。ですが、毎日のようにご機嫌なマリアンを見て、マリアンが結婚するんじゃないかと、ママとパパは期待を始めます。しかしラスト、おばあさんが真相を語る……。そんな感じのお話です」

 

残響「付け加える事は特にないです」

 

fee「MVPはおばあちゃんかなって」

 

残響「いいところ全部持っていきましたからねw P368 14行目『どんな女だって、こういう時期があるものよ。大変だけど、大丈夫、死にゃしないから。毎日、別の男とデートすれば、女は立派に鍛えられるわ!』このおばあちゃんの台詞が凄いw」

 

fee「このおばあちゃんも、若い頃はブイブイ言わせていたんですよw」

 

残響「そうですね。ブイブイとww」

 

fee「パパは男性だからまだいいとして、ママはちょっと鈍いですよね。もう少しマリアンの様子に気を配ってあげても……」

 

残響「ですねぇ。パパとおばあちゃんの絡みも良かったです。P368 16行目で『あなたという人は!』と叫んだあと、P369 1行目でマリアンがやってきて、もう一度P369 3行目で『あなたという人は!』とおばあさんにむかって、繰り返すw これ、面白かったなぁ」

 

fee「マリアンちゃんについてはどう思いました?」

 

残響「うーんw ぼくは否定はしない、否定はしないけど……」

 

fee「ブロンドの青年、背の高い色の浅黒い人、茶色い口髭の人、赤いちぢれっ毛の人、背の低い人と、マリアンちゃんの守備範囲は結構広いですね。自由にいろんな男性と遊べばいいとは思いますが、毎日はさすがに多すぎるw せめて毎週ぐらいにしてほしいw

 

残響「そうですねぇ……」

 

fee「このエネルギッシュな自分勝手さ、どこか『四月の魔女』のセシーに似ているような。あれですよ、トムがやってこなかった、あるいはトムに飽きちゃったセシーの慣れの果てですよ、これは」

 

残響「だからセシーはアンと結ばれれば良かったんですよ。しかし、ブラッドベリはこういうおてんばというか、元気な女の子が好きなんでしょうか。あまり深窓の令嬢みたいなキャラは出てこないような……」

 

fee「言われてみれば確かに。あと、どうでもいい点としてP359 16行目に『早春の異様なあたたかさに(温度計は五十五度を指していた)』とあります。この55度というのはもちろん……」

 

残響「華氏ですよね。摂氏ではなくて」

 

fee「そうです。でもこの華氏55度、ネットで計算してみると摂氏12.7度なんです。摂氏12.7度って、『早春の異様なあたたかさ』ですか?」

 

残響「うーん……」

 

fee「で、ですね。P362 10行目に『十月か、とパパはゆっくり計算した。「じゃあ、今すぐ死んだとして、百三十日も墓場で待たなきゃならんのか」』と言っています。パパの計算間違いじゃなければ、10月−130日ですから、5月の20日以降になりますよね。5月20日って、早春ですか? 早春で異様なあたたかさなんです? むしろ12.8度じゃ寒くないですか?」

 

残響「うーん……きっとカナダ寄りの寒い地域だったんでしょう、としか言えないんですよね」

 

fee「そう。これ以上深める材料がないんですよね。〇〇州、という地名も出てきませんし。あと、『あのなつかしい黒魔術』っていう曲が作中に出てくるんですけど、これはブラッドベリの創作なのかな? タイトルの響きがとても面白いなぁと思ったんですが」

 

残響「いや、これは多分『That old black magic』というジャズの曲ですね。これです」

 

fee「おっ、ありがとうございます! 後で聴いておきます!(追記:聴きました。軽快で楽しい曲でした)」

 

残響「ここに歌詞の日本語訳が載っていますが、微妙に作品内容に被っているんですよね」

 

fee「ふむふむ。この歌詞を参考にして読むなら、マリアンはそのうち刺されますね。男の方はこんなにマジにマリアンに惚れてるのに……」

 

残響「悪女というか何というか……罪作りな女の子ですね……しかしこれ、なんだか露骨にホームドラマっぽい気がします」

 

fee「古き良きホームドラマをブラッドベリが描くとこんな感じになるという、そんな作品だと思います」

 

 

 

第13作目/全21作(「荒野」は除く)「金の凧、銀の風」 P155〜166
残響評価 B fee評価 B

 

 

fee「さて、次は『金の凧、銀の風』を読みたいと思います。舞台は中国。隣り合う二つの街が、ライバル心を剥き出しにしています。片方の街が城壁を豚の形に変えると、もう片方は棍棒の形に変える、というような。最後は疲れて、仲直り。それだけの話ですね」

 

残響「うん、それだけですね」

 

fee「舞台が中国だったり、寓話チックなところがどことなく『空飛ぶ機械』に似ていると思うんですが……残響さんの評価も似たり寄ったりで……」

 

残響「『空飛ぶ機械』よりも低評価かな……城壁を次々に作り替えていくという発想は面白いと思ったんですけどね」

 

fee「これ、時代はいつなんでしょう? 中国史に詳しくないのでよくわからないんですが、内戦してるのかな? 戦国時代?」

 

残響「いつぐらいですかねぇ」

 

fee「あと、主人公の『役人』がすごく偉い感じがするんですが。この人の指示で城壁を作り替えているんですよね? なんか『市長』クラスな気がするんですが、『役人』?」

 

残響「原文を読んだわけじゃないのでわかりませんが、これは訳のミスじゃないかなぁ。そもそも中国でいう役人って『科挙』を潜り抜けたスーパーエリートなんですよね」

 

fee「『公務員試験』とはレベルが違う感じですかね。『科挙』って言うと、50歳とかまで浪人して、それでも受かれば人生一発逆転するって聞いたことがあるし……」

 

残響「そうですね。feeさんが想定しているのはcivil servant、いわゆる『公僕』ですが、これはofficerな気がします」

 

fee「そもそもこの話は、隣の町が豚の形に城壁を作り替えた事を聞いた主人公の『役人』 が、こちらの城壁をオレンジから棍棒の形に作り替えたことから、城壁作り替え戦争が始まったわけですが……隣町は本当に、喧嘩を売るつもりで豚の形にしたんですかね? 何か別の理由があって、豚の形にしただけなのに、過剰反応しているようにも思えるんですが……」

 

残響「うーん……それはわからないなぁ」

 

fee「ネットとかでもよく見ますよ。全く関係ない人が、自分の悪口を言われたように感じて突っかかっちゃう光景って。こちらは変な意図ではなく、たまたま……たとえば家畜の豚の繁栄を祈って城壁を豚の形に変えたのに、隣の町が棍棒の形に城壁を作り替えてきた。なんだあいつらは、俺たちに喧嘩を売っているのか!? やっちまえ」


残響「ネットの地獄ですなぁ。この話でぼくが気になったのは、城壁というものに込められている……かもしれないメタファーについてです。マクルーハンという人が書いた『メディア論――人間の拡張の真相』という本に、『衣服が個人の皮膚の拡張で、体温とエネルギーを蓄え伝えるものであるとするなら、住宅は同じ目的を家族あるいは集団のために達成する共同の手段である。住宅は人が身を寄せる場であり、我々の体温調節機構の拡張――すなわち、共同の皮膚あるいは衣服――である。都市は身体諸器官をさらに拡張したもので、大きな集団の必要を調整する』という文章があるんです(長いっ!w)。城壁を作り替えること……それは、こう変わっていくんだという街の意思……そんなふうにも読めるかもしれません」


fee「うーん、ブラッドベリってそこまで考えて書いてるんですかねぇ?」

 

残響「それはわからない……」

 

fee「P160 13行目『だが喜びは冬の花に似て、たちまちしぼんだ。その日の午後、使者が中庭に駆けこんで来たのである』。喜びは冬の花に似て〜の文章は良いなぁと思う一方で。『その日の午後』……城壁を1日で作り替えたってことになるんですが、さすがに無理じゃないですか?」

 

残響「その辺は寓話ということで……やっぱりあまり考えないで書いているような気がしてきたw」


fee「まぁ、作者が意図していなかったものを読者が読み取って楽しむというのも、それはそれで作品鑑賞としてアリじゃないかなとは思います」

 

残響「ですね」
 

 

 

 第5回に続く……

ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(3)

  • 2017.05.18 Thursday
  • 19:48

第8作目/全21作(「荒野」は除く)「黒白対抗戦」 P185〜208
残響評価 B fee評価 B

(S〜E評価です)

 

fee「黒人と白人の野球大会のお話です。白人チームがとにかくウザいわけですが、最後に黒人チームがウザい白人をギャフンと言わせて終了……でいいんですよね?」

 

残響「そうですね。今の時代にはなかなかお目にかかれないような、ド直球な人種差別の話ですねぇ。まだ人種差別が単純だった頃のアメリカというか……」

 

fee「単純だった、というのは?」

 

残響「今は黒人だけでなく、ヒスパニックとかアジア系とかイスラム系とか、本当にいろいろあるじゃないですか。【人種のるつぼ】というか、複雑化してわけがわからなくなっているというか」

 

fee「あぁ、なるほど」

 

残響「それに、この描写の仕方も何というかステレオタイプというか……。黒人はマッチョで、運動能力が高い。でもブルーカラー(肉体労働者階級)。みたいな……。feeさんはこの作品、どう思いました?」

 

fee「とりあえず、ここに出てくる白人はバカだなぁと」

 

残響「バカですかw」

 

fee「この野球大会、白人にとってはどうでもいいイベントですよね。黒人の不満をガス抜きする、年に一回の野球大会なんだから、気持ちよく黒人に勝たせてあげればいいじゃないですか。どうせ明日からはまた白人の天下なんだし、良い気分にさせてあげるのが本当でしょ。ガス抜きの場で差別行為をしたり、黒人の神経を逆なでするような真似をするとか、バカ以外の何物でもないと思いました」

 

残響「まぁ、ガス抜きの場で、うまくガス抜きさせてあげられないのは、往々にしてあることですが……」

 

fee「それはまぁそうですけども……ところで、黒人は基本いい奴に書かないとまずい、みたいなお約束が、昔のアメリカ小説にはありましたよね」

 

残響「ありました、ありました」

 

fee「でもそれが逆に差別だ、みたいな話もあって。僕なんかは、自分たちが良く描かれるならいいんじゃね?とか思っちゃうんですが、どうなんでしょう? 悪く描かれるよりはよほどマシだと思うんですけど……」

 

残響「アファーマティブ・アクションという言葉はご存知ですか?」

 

fee「え、なんですって?」

 

残響「これなんですけど社会的弱者に対する救済を目的とした優遇措置的なものなんですが、それが逆に差別だという話も……」

 

fee「奨学金とかもそうなんですか。うーん、言わんとしている事は解るし、差別だと感じる人もいるかもしれないけど……個人的にはよく解らないなぁ。欧州サッカーでも、ホーム・グロウン枠……自国人枠みたいな考え方があるんですけど、それが差別だという弾劾はあまり聞いたことがないですし。これらがない方がよほど問題ある社会になりそうな気がするんですが……」

 

残響「差別というのは相手を見下すだけでなく、妙なコンプレックスとか憧れを内包していたりもするんですよね。たとえばジャズの世界では、『黒人にしか本物のジャズは演れない』ということを、黒人だけじゃなく、白人でも本気で言う人がいるんです。そこには自分たちではどうしても至れない、って白人が勝手に思ってるある種の憧れ(コンプレックス)がある……と思うんですよ。この『黒白対抗戦』でも、主人公のママが黒人に対して抱いているのは、憎しみだけでなく、優れた身体能力への嫉妬というか。だらしない白人チームへの苛立ち、そういったものがまた、黒人への憎悪を強くしている気がします」

 

fee「なるほど……確かに単純な見下しだけではないんでしょうね」

 

残響「黒人への憧れを表すような形で、白人が自分の肌を黒く塗って行う芸がありました。ミンストレル・ショーというんですが、時代が進むにつれて、それもまた差別の色合いが濃くなってしまい、結局廃れていったという……」

 

fee「本来持っていた精神から離れてしまったんですね。元はガス抜きの大会として企画された野球が、いつの間にか憎しみを募らせるイベントになってしまったように」

 

残響「しかしブラッドベリは完全なハッピーエンドは書きませんね。この野球大会を機に黒人が認められて……みたいな話にはならない。明日からはまた元通り、黒人は白人の奴隷……までは行かずとも、使用人的な(奴隷ではないまでも)」

 

fee「これでいきなりハッピーエンドを書かれても白けちゃいますけどねw まぁ、主人公の少年が、人種のしがらみに捉われていないのは救いな気がします。それも今後どうなるかはわかりませんが……。『黒白対抗戦』はこんなところでしょうか?」

 

残響「そうですね。次も社会風刺系で『日と影』あたり行きませんか?」

 

fee「え、社会風刺? 『日と影』はギャグコメディじゃないんすか?」

 

残響「えっ!?」

 

fee「えっ!?」

 

残響「なんだ、この読み方の違いはw」
 

 

 

第9作目/全21作(「荒野」は除く)「日と影」 P295〜312
残響評価 B fee評価 A

 

 

fee「リカルドという困ったおっさんがいまして。このリカルドさんが住む地区にカメラマンがやってくるんですが、リカルドさんがことごとく邪魔をするお話……で合ってますよね?」

 

残響「大丈夫ですw このリカルドさんを、ぼくは下層階級……というと言い過ぎかな。【持たざる者】として読んだんです。持たざる者が、精一杯の反抗をするような」

 

fee「なるほど」

 

残響「言っていることは無茶苦茶なんですが、何かもっともらしい事を言って邪魔をするw 本を読んでいるという、知識人アピールをするのも面白いですね。P301 1行目『おれの本を出して見せろ!』と、リカルドは叫んだ。5行目『階上(うえ)には、まだ二十冊もあるんだ! と、リカルドは叫んだ。お前さんの目の前にいるこのおれは、無学文盲の田舎っぺじゃないぜ。ちゃんとした一コの人間だ!』威張っている割に、20冊『も』というのもいいですねw」

 

fee「本をたくさん持っているのが偉いとは言いませんが、20冊で威張られてもw」

 

残響「ですねw 無茶苦茶なリカルドさんですが、なんか憎めないというか、結構好きだったりします」

 

fee「僕もリカルドさん好きですよw」

 

残響「まぁ、いちいちズボンを下げるのは擁護しませんけどw」

 

fee「それも面白いじゃないですか。この人、奥さんいるんですよね。よく結婚できたなぁ……」

 

残響「リカルドさんって、そもそも働いてるんでしょうか? なんか何もしてなさそうな気が……」

 

fee「この性格じゃ雇われ人は無理だなぁ。きっと頑固一徹な職人とか……」

 

残響「この道、ひと筋的な? リカルドさん、格好いいですね!」

 

fee「ごめん、P300 8行目で『おれも雇われている人間だ』って言ってるわ……」

 

残響「リカルドさん頑固職人のイメージが台無しw」

 

fee「真面目に働いて、結婚して、子供もいるはずなのに、何だろうこのリカルドさんのフリーダム感……社会不適合者の遊び人にしか見えない……」

 

残響「feeさんはこの作品をギャグだと仰いましたけど……」

 

fee「単純に笑えるなぁってw 残響さんと比べて、僕は難しいことを考えたりはしていないので……。カメラマンの行く先に付きまとって、モデルを撮ろうとするたびに、後ろでズボンを降ろすおっさんとか、超笑えるじゃないですかw 『帰り道、坂の途中に、さっき壁に小便をひっかけた犬がいた。リカルドは犬と握手した』の〆も完璧w この短編集にはいくつかギャグ作品も入っているんですが、これが一番笑いましたw」

 

残響「ぼくはどうしても、行間に隠された何かの意味を読み解こうとしたがるというか。暗喩を探そうというか、そういう読み方をしちゃうんですよねぇ」

 

fee「それはそれでいいんじゃないですか? 僕なんて頭が単純だから、そのまま受け取る事しかできないですよw 暗喩を考えるほど知識もないし……」

 

残響「いやいやw feeさんのように素直に物語を楽しんでいる方と比べて、自分が物語というものを、さほど好いていない、自分にとって物語は【距離がある】、自然じゃない……んじゃないかなぁと思ったりもして……」

 

fee「暗喩を考えながら読む読み方と、素直に楽しんで読む読み方を両方やればいいんじゃないですか? なんなら2回読むとかして。多くの人は素直にしか読めないと思いますよ。残響さんは作品を読み解く力を持っている分だけ、アドバンテージがあるような気がするんですけどね……」

 

残響「好きな作品なら、やたら再読はするんですけどね……さて、この作品はこんなものかな? 次は、『夜の出来事』あたり行きますか?」

 

fee「いいですね、行きましょう」

 

 

 

第10作目/全21作(「荒野」は除く)「夜の出来事」 P283〜294
残響評価 B fee評価 B

 

 

fee「息子を軍隊に取られたかわいそうなナバレス夫人。この女性が、大声で嘆き叫んでいて、アパートのみんなは迷惑しています。そこでビリャナスールさんという既婚者の男性が、ナバレス夫人を慰めて、めでたしめでたし、と。こんな感じですかね」

 

残響「ですね」

 

fee「主人公のビリャナスールさんが、完璧にエロゲ主人公な件について……」

 

残響「えっ? どういう意味ですか?」

 

fee「これは、ビリャナスールさんが無双する話ですよね? 奥さんがいるビリャナスールさんが、狙い通りにナバレス夫人もゲットして、奥さんにも今まで通りにモテるっていう圧倒的主人公力……」

 

残響「色恋の話だったんですか!?」

 

fee「そうですよ! P289 8行目のビリャナスールさんの台詞『わたしたちのなかから、親切な男性が一人あらわれればいいのです』」

 

残響「普通に親切にするんじゃなくて?」

 

fee「普通に親切にするのなら、男性に限定する必要がどこにもないんですよ。むしろ、女性が行った方がいいでしょう。ナバレス夫人に『親切にする』……この表現がもういやらしいですよw」

 

残響「なるほど……そう読むのかw」

 

fee「露骨に既婚者であることを強調したり、P290 7行目『人々は照れくさそうな表情で』あたりからも読み取れると思います。しかもこれ、ナバレス夫人のところに『親切な男性が慰めに行く』ことを提案し、強硬に推し進めているのはビリャナスールさんという。最初からナバレス夫人を狙っているようにしか見えないw」

 

残響「ww」

 

fee「ビリャナスールさんが行ったらナバレス夫人は静かになるし、とどめにP294 1行目『あのひとは思慮ぶかい人だわ、と目をとじて(ビリャナスール)夫人は思った。だからこそ、わたしはあのひとを愛しているのよ』と何故か奥さんには改めて愛される。どんだけイケメンなんすかw」

 

残響「ハーレム系主人公を慕う、都合の良いエロゲヒロインみたいな奥さんですねw いや、そんな話だったんですかw 色恋の話だったとは……(本当に色恋の話だと気づかなかった)」

 


第11作目/全21作(「荒野」は除く)「ぬいとり」 P175〜184
残響評価 C〜? fee評価 B

 

 

fee「この、『ぬいとり』も残響さんはよくわからなかったと仰っていたような……」

 

残響「そうですね。書いてある事そのままというか、完成されすぎているというか……」

 

fee「書いてある事そのままなら、むしろわかりやすいのでは……?」

 

残響「そこがぼくの悪い癖で。これは何の暗喩だろう、とか考えちゃうんですよ。で、そういう暗喩をちりばめるような作家は、たいていもう少しわかりやすいヒントを出すんですが、ブラッドベリは……というかこの作品は、そのヒントがない。だから暗喩ではなく、そのままなんでしょうけど……」

 

fee「そのままでいいような気がするんだけどw あらすじですが……世界が終わりを迎える直前、三姉妹が針仕事をしています。そして世界が終わる。という話です。この三姉妹、どうもこの世の存在ではないような、そんな気がしてならないんですが……」

 

残響「ですよね。魔女的な存在というか、神話上の存在というか……ラヴクラフト的というか、むしろダンセイニ卿的な幻想小説というか……(残響注)」

 

fee「五時ちょうどに世界が終わる、というのも何か人為的なような、不思議な感じがしますね。P182 1行目『だまされたのかもしれないわね』 4行目『昔のおまじないを本気にしたのは』、この辺りを読む限り、なんかノストラダムスの大予言みたいなものに、『五時に世界は終わる』と書かれていて、この三姉妹はそれを信じちゃったと」

 

残響「はい」

 

fee「ちょっとこじつけくさいんですが、この『ぬいとり』の世界を、マトリョーシカ的な入れ子構造として読むこともできるかな、と」

 

残響「ん? 入れ子構造? どういう事ですか?」

 

fee「つまり、『三姉妹がぬいとりをしている世界』が世界B、『三姉妹に、ぬいとられている世界』を世界Cとして。この『世界Bを、ぬいとりで表現している』更に上位の世界Aが存在するのではないか、と」

 

残響「へぇぇ……なるほど。それは面白い読み方ですねぇ……」

 

fee「P182 15行目〜最後までの16行分。ここにこの作品の全てが隠されているような気がします。世界の終わりを告げる『火』、『燃える』という単語。『ぬいとりの太陽』、『心臓は今や火にぬいとりされたやわらかな赤いバラだった』。ここで描かれている世界の終わりとは、『世界Bを表現していたぬいとり』が世界Aにおいて燃やされたという、そういう話なのではないかと……」

 

残響「そういう読み方ができるなら、ぼくはこの作品の評価をもっと上げたいですね。神話だ、と思って読んで、それで終えてしまったので……その構造的読み方でもう一度読んでみようかなぁ」

 

fee「わずか7ページの作品なので、もう一度読んでみるのもいいですよね。これが50ページの作品とかだと、ちょっとしんどいですけどw」

 

(残響注 残響はH.P.ラヴクラフトと、ダンセイニ卿(ロード・ダンセイニ)の大大大ファンです。なのにこのブラッドベリ神話的作品を、なぜきちんとその路線で読めなかったかバカチン! っていうか、feeさんに教えられて知ったのですが、ブラッドベリってオーガスト・ダーレス(ラヴクラフトの一番弟子)の出版社・アーカム・ハウス出身の作家だったのかよぉぉぉおおおお!!! しらなかった……アイムバカチン……)

 

 

第4回に続く……(「大火事」など

ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(2)

  • 2017.05.16 Tuesday
  • 19:50

第4作目/全21作(「荒野」は除く)「空飛ぶ機械」 P125〜136

残響評価 C+ fee評価 B

(S〜E評価です)

 

 

 

fee「さて、次は……同じ社会風刺系作品ということで『空飛ぶ機械』行きますか。残響さんも低評価をつけているみたいですし」

 

残響「行きましょう。あらすじ(※注1.)をお願いします」


fee「はい、西暦400年、元の国の……元?」

 

残響「そこなんですよ!」

 

fee「あれ、元ってモンゴル帝国とかですよね? 元寇とかの。時代違いません?」

 

残響「そうなんです。ぼくもちょっと調べてみたんですけど……」

 

fee「五胡十六国時代とかでしたよね、確か。その中に元って国はあったんでしょうか? 同名の……国被りというか」

 

残響「いや、ないんです。だからこれ、時代考証が間違ってるんじゃないかなと」

 

fee「時代が間違ってるというよりは、何も考えないで書いてるだけなのでは……とりあえず実在する五胡十六国の国名にすれば良かったのにとは思いますが……P127 l1に『万里の長城に守られ』とあるので……」

 

残響「万里の長城以降の北方民族(例えば匈奴)じゃダメですけど、漢民族の国にすれば良かったんじゃないかなぁ。ていうか、そもそも中国である必要すらない気がしますね。多分、適当な国を思いついて書いただけなんだと思います。厨二病作品で、適当なドイツっぽい名前(※注2)をつけた、みたいな」

 

fee「なんか凧みたいな機械で空を飛んだんでしょ? まぁ中国っぽいイメージはあるのかなぁ。でも確かに、中国にこだわる必要もないですね」

 

残響「アメリカだと時代的にまずいかもしれませんが(アメリカには中世はない)、トルコとかでもいいんじゃないかなぁ。そういえば、あらすじが途中でしたね」

 

fee「はい。えーと、古代中国で発明家みたいな人が、空を飛ぶ機械を作ったんですね。で、空を飛んでたら、皇帝に見つかって殺されてしまった、というお話です」

 

残響「先ほども言いましたが、ぼくはどうも出だしでいきなり萎えてしまいました。『西暦400年のこと、元の国の皇帝は』ここでもうハァ?という感じで……」

 

fee「うん、まぁこれはブラッドベリが悪いです。悪いですけど、そこはスルーしてあげるのがブラッドベリの楽しみ方ですよw」

 

残響「うーん。自分はひょっとして純文学的な読み方をしているのかなぁ」

 

fee「真面目なSF読み的な感じもしますけどね。ブラッドベリは真面目にSFを描く作家じゃないので、その辺は適当に読んだ方が楽しめますよ」

 

残響「feeさんが、ブラッドベリはガチなSFじゃない、と言っていたのはこの辺のことですかw」

 

fee「ですね。まぁ、ここで引っかかってしまったなら仕方ないし、残響さんの読み方が悪いというよりは、ブラッドベリの方が悪いですね。せめて架空の国名なら良かったんですが、実際の国名と被っちゃいましたしね。ところでこの皇帝の判断はどう思いますか?」

 

残響「皇帝はちょっと狂っている感じですね」

 

fee「狂っていますか」

 

残響「いきなり『首をはねよ』ですし……」

 

fee「まぁそれは確かに……ただ、この皇帝の判断自体はどうなのかなと思って。機械と発明家を殺した事についてですけども。皇帝が狂っている、と仰ったということは残響さんは、機械を残した方が良いという事かなと思うんですが。しかし、機械を残すことによって、100年後にはグレードアップした空飛ぶ機械が爆弾を抱えて、この元の国を滅ぼしてしまうかもしれません。この発明家を殺したことによって、100年後も元の国は平和かもしれませんよね」

 

残響「ただそれは一方で、この機械を残しておけば100年後には、進化した空飛ぶ機械で遠隔地に薬を届けて、多くの生命を救えるかもしれないじゃないですか」

 

fee「そう。だからこれに関しては、絶対の正解はないと思うんです」

 

残響「進歩主義か現状維持……保守主義かという違いなんでしょうか」

 

fee「皇帝が狂っているかどうかはわかりませんが、ビビッてはいますよね。P135 2行目『大いなる困惑と恐れ』と言っているように」

 

残響「ビビっている、なるほど、そうか。ビビっている」

 

fee「狂っている、とまで言っちゃうと難しいんですよ。何が正常か、という話になっちゃって。あまり踏み込みたくないので適当に濁しますけど、政治的運動や思想信条の運動って、傍から見ると狂的なものを感じさせたりもするんですが、実際に狂っているかどうかはよくわからないですよ。誰が判断するのか、という話で。これがたとえば後天的な精神病とかならわかりますよ。精神病に罹る前の自分と比べて、『あっ、今の自分はおかしくなってる』って判断できますから。でもこういうのは……」

 

残響「狂っている、という単語の取り扱いは難しいですね。ちょっと気をつけた方がいいのかな。あるいは、狂気、狂っているっていう言葉の定義の違いかもですが」

 

fee「いやまぁ、咎めだてしたいわけじゃないんですけどもw」

 

残響「面白いのは、発明家の方も奥さんに狂人扱いされているんですよ。P131 8行目『わたくしの妻でさえ、わたくしを狂人あつかいしております』」

 

fee「まぁ凧みたいなので空を飛んだら、そりゃ狂人ですね」

 

残響「その辺は、発明家の性でしょうなぁ。新しいものを始める人間は、理解されないという……皇帝が狂っていると言ったのは、このP131 8行目の表現があったからなのかなぁ」

 

fee「でも、ここで狂人扱いされているのは皇帝じゃなくて発明家でしょ?」

 

残響「そうなんですけどね。引きずられたというか。いきなり『首をはねよ』だし。昔の中国の皇帝っぽいっちゃ、っぽいですけども。あと面白かったのはこの科学的な発展を、美に絡めて描いていることかなと」

 

fee「この作品では空から見た風景の美に言及していますけど、この調子で科学が発展すれば、いずれは自然を壊し風景の美も失われてしまう、とか、そういう感じで……」

 

残響「あぁ、そうか。いや、ぼくの想定してたのは、もっとこう、ノスタルジックな美的精神かと……」

 

fee「自然を壊すというのだって、ある意味ではノスタルジーじゃないですか。もちろん、自然を破壊して良いとは言わないけれども、自分たちが住みよい世界を作るため科学技術を発展させて行った結果生まれたのが、今の世界なわけで。そんな住み心地の良い世界から、昔は自然があって良かったなぁ、住み心地が良かったなぁというのはある種のノスタルジーではなかろうか、と」

 

残響「なるほど……」

 

fee「ブラッドベリの考えが単純な、『科学の発展=大正義』ではないというのがこの短編からも解りますね」

 

残響「そうなんですよねぇ。もっとも、最後の行の『鳥どもを見よ、鳥どもを見よ』あたりを読む限り、ブラッドベリが科学発展を忌み嫌っているわけでもない、とは思いますが」

 

fee「そうですね。皇帝を擁護はしてないですね。突き放してはいる。ただ、それはそうなんですが、科学発展万歳!明るい未来万歳!みたいな話は僕が記憶する限り、描いてないんですよ。どっちかと言うと、行き過ぎた科学発展には反対のような……。もちろん、科学発展というのは、基本的に良い事だとみなされていますよね。SFを描いたり読んだりする人の間ではなおの事そうでしょうから、カウンター的に『本当にそれでいいのか?』とブレーキをかけているだけかもしれませんが」

 

残響「疑義を呈す、みたいな」

 

fee「ですです。……って、またもや随分話しましたね。これ9ページの作品なんですけど……」

 

残響「まさかこんなに話すとは思いませんでしたw」

 

fee「次はどの作品に行くかなんですが、さっき『狂っている』という話があったじゃないですか。狂っている繋がりで、『鉢の底の果物』に行きませんか?」

 

残響「ぼく、この作品、意味がわからなかったんですよ。なのでミステリも読まれるfeeさんにお聞きしたかった作品なんです」

 

fee「ちゃんとお答えできるかわかりませんが、やってみましょう」

 

(※残響注1. 残響はあらすじをわかりやすく纏めるのがすごく苦手。なので毎回feeさんに頼んでいる。ごめんなさい)

 

(※残響注2:デア・ヴィッセルクンフト・ヴィーターゼーエンブルグみたいな。2秒で考えた。ドイツ語定冠詞もあやふや。それにしても完全に語感オンリー。「アウフ・ヴィーターゼーエン=じゃあね」って具合だし)

 

 

 

 

第5作目/全21作(「荒野」は除く)「鉢の底の果物」 P81〜102
残響評価B- → B+(読書会を経て上方修正) fee評価 B

 

 

fee「というわけで、鉢の上の果物です」

 

残響「底ですね」

 

fee「あ、鉢の底の果物だった……。あらすじは、アクトンさんというちょっとおかしい人が、ハクスリーさんを殺しまして。証拠隠滅を頑張りすぎて現場に留まり続けた結果、最後は捕まっちゃうんですけど……残響さんはどこがわからなかったのかな?」

 

残響「何を描きたかったのかがさっぱりわからなかったです」

 

fee「これは、強迫神経症の話ですよね」

 

残響「ああっ!?」

 

fee「えっ? 違いました?」

 

残響「いや……そうかも……というかそうですね。そうだったんだ……!!!」

 

fee「アクトンさんはおかしいんですよ。ある程度証拠を隠滅したらさっさと逃げた方がいいのに、ずっと居続けて結局捕まっちゃって」

 

残響「ぼくは単純に犯人側視点のミステリとして読んだんですが、単純に証拠を隠そうとして捕まっただけの話だと思っちゃって。なんでこんなに描写がねちっこく細かいんだろうとは思っていたんですが」

 

fee「P99 13行目『かれはリンネルの布を見つけて、椅子を拭き、テーブルを拭き、ドアのノブを拭き、窓枠を拭き、棚を拭き、カーテンを拭き、床を拭き、台所に入ると、息を切らして、上位を脱ぎすて、手袋をなおして、きらきら光るクロミウムの流しを拭いた』と、こんな感じですからね」

 

残響「普通のミステリってこんなに描写するものなんですか? 倒叙モノ……犯人視点のシーンとかの話ですけど……」

 

fee「うーん。多少はするかもしれませんが、ここまではあまりしないんじゃないかなぁ……」

 

残響「ですよねぇ。それに、たまに時間軸もおかしくなるんですよね。現在のシーンの中に、唐突に生前のハクスリーのセリフが出てきたり」

 

fee「この辺はブラッドベリの巧さだと思います。時間軸がおかしいのは、現在と過去がたまにごっちゃになる、アクトンさんの頭の中のヤバさを表していますし、描写が緊密なのもアクトンさんの強迫的な心理を表現しているんですね。描写が適当だったらこの話は全然面白くないというか、成り立たないですよ」

 

残響「描写の細かさは『空飛ぶ機械』とは大違いですね!w」

 

fee「『空飛ぶ機械』は寓話というかおとぎ話みたいな感じですからね。鉢の上の果物があの描写だったら……あれ、鉢の底だっけ」

 

残響「www」

 

fee「なんで上って言っちゃうんだろw まぁ気にしないで下さいw で、残響さんがわからなかったところというのは……」

 

残響「強迫神経症の話だ、というfeeさんの話を聞いて、パズルのピースがカチッとハマるように理解できました。そういう話だったんですねぇ。ぼくはミステリだと思って読んだので……」

 

fee「これはミステリじゃないですよ……少なくとも、謎解きみたいなそういう話じゃないです」

 

残響「そうだったんですね……今までその観点で全然話を読んでなかったのです……うわー、この得心のいきまくる感じ」

 

fee「これは読書会を開いた意義がありましたね。一人だとよくわからなくても、二人で話せば新たな発見があるような、そういうのがあると面白いですね」

 

残響「ほんとですよ。ぼく、以前実際に、強迫神経症になっていたことがあるんです。不安で不安で、大丈夫だと解っているのに何度も確認せずにはいられなかったりして。アクトンさんの行動も、割と普通なこと※注1.として読んでしまったw」

 

fee「まぁ、何度も確認してしまうというのは、分かります。不安というのはそういうものじゃないですか?」

 

残響「そうなんですけど、ぼくはずっと水道の蛇口を閉め続けたりとかしてたんですね。それは水道の蛇口が開いていたら、来月の水道代が怖いとか、そういう事を考えて延々蛇口を閉めたり……」

 

fee「うーん……。僕も何か不安があった時に、延々ネットで成功例や解決法を調べ続けてしまったりとかしたことがあるので、あまり他人の事は言えないんですが……どこまでがただの心配性で、どこからが強迫神経症なんだかよくわからないですね」

 

残響「強迫神経症の特徴として、儀式化するというのがあるんです。たとえば、不安があった時に解決法を調べるのは、一応『不安を解消する』ことに間接的に繋がるじゃないですか。でも、たとえば『朝起きたら3回南の方に向かって土下座をすれば、うまくいく』みたいな儀式を自分で勝手に作って、それを守らないと落ち着かない、みたいな……。土下座をすることと、うまくいくことには何らの因果関係もないはずなのに、してしまうんですよ※注2.」

 

fee「うーん……それは確かによくわからない話だけど……よほど失敗したくない事に対して、神頼みをして、それも全国の神社を回って歩いたりしたら、これは強迫神経症なのか、とか。近所の神社だけなら違うのか、とか……境目がやっぱりよくわからないですね。ただ、なんだろう。今、僕もあまり元気じゃないせいか、この話にはなるべく深入りしたくないですw 読書会を開いておいてこんな発言しちゃいけないかもしれませんが……」

 

残響「いえ、まぁやめましょうかw 次はどうします?」

 

fee「軽めに『ごみ屋』あたりどうでしょう?」

 

残響「じゃあ『ごみ屋』行きますか。と言っても、ぼく結構この話、語りたい事が多いんですけど」

 

fee「あ、そうなんですかw」
 

(※残響注1.ナチュラルな誤読とはこういうことを言う)

 

(※残響注2.妄想的思考とはこういうことを言う。これが精神病だ!!!!)

 

 

 

 

第6作目/全21作(「荒野」は除く)「ごみ屋」 P343〜352
残響評価A fee評価 B

 

 

fee「辛いながらも楽しく仕事をしていた、ごみ収集業者の主人公。ある日、仕事内容に死体処理も加えられ、心底仕事が嫌になってしまった。というお話です」

 

残響「この話はまず、描写が凄くいいですね。P346 3行目『オレンジの皮や、メロンの種や、コーヒーのだしがらが、一時にどさっと落ちて、からっぽのトラックがだんだん埋まってゆく。ステーキの骨や、魚のあたまや、玉ネギの切れっぱしや、古くなったセロリは、どこの家でもよく捨てる』。ぼくはリアル仕事で、食品加工業に携わっていまして、実は。仕事柄こういうゴミトラックなどで作業をしたことは日常的にあったんですが……コーヒーのだしがら……古くなったセロリ……すんごい臭いんですよ。よくわかるなぁ……リアリティを感じます」

 

fee「なるほど……僕はゴミトラックでの作業経験はないので想像することしかできませんが、そうなんですねぇ……」

 

残響「ほんっと臭いですよ。でもですね、P346 14行目『ひと月に一度か二度、かれは自分がこの仕事を心から愛していることに気がついて、自分でもびっくりする。そしてこんなすばらしい仕事はほかにありゃしないとも思う』、わかりますよ。辛い作業でも、ふっといい仕事をしてるなと感じる時はあるんですよね」

 

fee「僕はゴミトラック経験はないので、本当に大変な仕事だろうなぁと思っています。生ごみにウジ虫とかが這っていたりするのかなぁ、うぇぇ……俺には無理かも……みたいな」

 

残響「夏場、ハエがたかっていることはありますね……ふつうふつう」

 

fee「ハエぐらいなら大丈夫かな。もちろん、相当嫌ですけどw それに、作品内の描写だとウジっぽいのも湧いていますからねぇ。まぁこれはゴミトラックに限らず、僕が就いた事のない仕事全般について大体はそうですね。大変そうだなぁ、よくできるなぁって。
就活なんかだと、覚悟を問われたりするじゃないですか。ネット上でも仕事の楽しみを語る人よりも、愚痴を書く人の方が多いし。だからものすごく、しんどい事をやらされるんだろうなぁ、って思ってしまう。でも、意外となんとかなったり、その仕事に携わった事のない人には分からない、小さな楽しみを見つけられたりするんじゃないかなぁとも思っています。同業者あるあるじゃないですけど、『この仕事は本当につらいよなぁ。でも、こういう事があるからやめられない』みたいな」

 

残響「このごみ屋さんも楽しくやってたんですよ。なのに……これ、ほんとかわいそうな話ですよ。死体処理の仕事を新たに加えられて……」

 

fee「その仕事に縁がない僕から見たら、ウジ虫とかは本当に大変だし、死体処理も……程度が違うとはいえ、やっぱり大変だし……と思っちゃいます。でも違うんですよね」

 

残響「全然違いますね。ゴミの処理と、死体の処理は全然違います。ゴミはどこまでいってもゴミですが、これが人間だと、初期の大江健三郎(※注1.)じゃないっすか……。ぼくもリアルに人間の死体の処理をやらされたら当然かなわないですよ。……でも、食品を扱う仕事に関するぼくの妙な達成感とかもそうなんですけど、自分自身では、仕事……生業(なりわい)に納得してるんですよ。そこに、【人の死体】という明らかにカテゴリ違いのものがぶち込まれる。勝手な仕事を上層部から。その悲劇です」

 

fee「でも外野にはそれがわからない」

 

残響「うん。外野の、想像力の欠如」

 

fee「だから死体処理をごみ屋さんの新たな業務内容に平気で加えちゃう。主人公の奥さんも、政治家と同じ立場ですよね。ごみも、死体も、何が違うの?みたいな。僕もひょっとしたらそういう反応をしちゃうかもしれないです」

 

残響「でも、主人公から見たら全然違う仕事なんですよ。全く違う」

 

fee「ですよね。これ、勝手に転職させられちゃったようなものですよね」

 

残響「なのに、奥さんも子供もいるし辞められない。つらいですよ……」

 

fee「P350 2行目『トムとおれがやってたみたいに、遊び半分のような気軽なやり方でやれば、こんな面白い仕事はないんだ。ゴミにもいろいろあってな。金持ちの家じゃステーキの骨、貧乏人の家じゃレタスやオレンジの皮だ。馬鹿みたいな楽しみだけれども、どうせ仕事をするんなら面白くやるに越したことはないだろう』。僕が良いなぁと思ったのはこの文章ですが、携わった経験のある残響さんから見てもリアリティがあるなら、やはりきちんと取材したんでしょうね」

 

残響「ですね。あるいはブラッドベリも何かの形で経験したのかもしれないですね。アルバイトをしたとか」

 

fee「この、他人から見たら似たように見えるけど、自分的には全然違うというの、僕も解りますよ。たとえば、この対談記事は僕が文字起こしをして、色付けやリンク張りは残響さんにお任せしているんですが、僕、文字起こしするの結構楽しいんです」

 

残響「マジですか!? ぼくはいつも、feeさんには凄い負担をかけてしまっているなぁと思っていました。自分でやってみたら、大変だったので」

 

fee「そりゃ楽とは言いませんが、エロゲー批評空間に長文感想を投稿するのと同じような楽しさがありますね。あるいは、長文ブログ記事を書くような。でも、色付けやリンク張りなんかは、すんごい面倒に感じちゃいますね。しんどくて心が死にます」

 

残響「全然逆ですねw ぼくは色付けやリンク張りなんかは普通にできます。何の問題もない」

 

fee「うまく役割分担ができてますねw しかし、主人公はこの後どうするのかなぁ……」

 

残響「そればかりはわからないですね……」

 

fee「作中に、1951年12月10日付けのロサンゼルス、とやけに具体的な日時が出てきますが、さすがに実際にあったことじゃないですよねw?」

 

残響「さすがにないでしょうw メキシコとかならあるかもですけど……」

 

fee「朝鮮戦争の後、くらいですか。赤狩りとか」

 

残響「ですね」

 

fee「SFを読みたいということで、残響さんはこの本を読まれたとのことですが……この話はSF要素が全然ないですね。さっきの『鉢の底の果物』も全然SFじゃないし、短編集全体を見渡してみてもSF色はあまり強くないような……」

 

残響「そうですね。『ウは宇宙船のウ』とか、そういうタイトルを知っていたので、もっと宇宙とかをたくさん書く作家なのかと思っていました」

 

fee「他の短編集では結構描いてたりもするんですが……この短編集だと宇宙は全然出てこないですね。『荒野』と、最後の『太陽の黄金の林檎』ぐらいでしょうか……違う短編集を薦めれば良かったかなぁ」

 

残響「ははは。楽しんで読めているので大丈夫ですよ」

 

fee「それは良かったです。さて、次はどうしましょうか?」

 

残響「『四月の魔女』あたりどうですか? 百合的に色々熱く語っちゃいますよ?」

 

fee「え、百合要素なんてあったっけ……?」

 

(※残響注1.大江健三郎のデビュー作「死者の奢り」のこと。1957年。死体洗いのアルバイトの話)

 

 

 

第7作目/全21作(「荒野」は除く)「四月の魔女」 P39〜60
残響評価A fee評価 A

 

 

fee「主人公は魔女のセシーです。セシーは人の身体に乗り移る能力があります。ある日、セシーはアン・リアリという少女の肉体に乗り移って、トム少年に恋をします。アンはトムには興味がないんですが、トムはアンが好きで、アンに乗り移ったセシーもトムが好き、という関係性です。アンの身体に乗り移ったセシーとトムは、いい雰囲気になります。最後にセシーは、セシー自身の家をトムに教えて、アンの身体から離脱します。ちょっと長くなりましたが、そんなあらすじになっています」

 

残響「最初の1行目から本当に、情景描写で文章が展開していくのがいいですね。筆がノッてる。『空高く、谷を見おろし、星空の下、河の上、池の上、道路の上を、セシーは飛んだ。春先の風のように姿は見えず、夜明けの野原からたちのぼるクローバーの息吹きのようにかぐわしく、セシーは飛んだ』」

 

fee「いいですねぇ。じっくり味わいたくなるような文章ですね」

 

残響「しかも、セシーとアンの百合ですよ!」

 

fee「いや、そういう話じゃないですけどねw」

 

残響「アンの身体に乗り移ったセシー。アンは最初抵抗するも、段々……」

 

fee「セシーが好きなのはトムですよw」

 

残響「トムなんてどうでもええねん! セシーとアン、二人の世界が展開されているんですから、トムなんてどうでもいいんですよ!」

 

fee「じゃあそれは、残響さんが二次創作ということで書いてくださいw 書くならこのブログからリンク張りますよw」

 

残響「じゃあタイトルは『五月の魔女』で。うわー安直」

 

fee「それで思ったんですけど、『四月の魔女』ってタイトルは良いですね。これが『八月の魔女』だと違う気がする」

 

残響「確かに違いますね」

 

fee「こういう話はやっぱり春か秋が似合うかな。夏や冬じゃ違いますよね。春一択かな」

 

残響「春でしょう」

 

fee「で、ですね。これ、かんっぺきに少女漫画の世界ですよね」

 

残響「わかりますw」

 

fee「ノリノリで書いている感じがします。瑞々しさがとても良い」

 

残響「青春ですね」

 

fee「ブラッドベリは少年主人公、少年の瑞々しい感性を描いた作品は多いんですが、少女は珍しい気もします。でも、『四月の魔女』を読んでいると、女の子主人公も全然いけますね。少女漫画家の萩尾望都さんが、ブラッドベリの短編をいくつか漫画化しているんですが、残念ながら『四月の魔女』は入っていません。この短編集の中だと『霧笛』は漫画化されていて、というのは余談ですが……」

 

残響「『四月の魔女』は大島弓子か、いっそ陸奥A子がいいかな。萩尾望都とか大島弓子とかは『花の24年組』と言われ、少女漫画古典黄金期の…………」

 

fee「少女漫画にも興味があるので、このままお話を伺いたい気もしますが、とりあえず『四月の魔女』の話をしましょうw」

 

残響「わかりましたw」

 

fee「さて、セシーはトムが好きで、トムはアンが好き。でも、アンはトムの事はどうでもいいんですよね」

 

残響「そうですね。眼中にない感じw」

 

fee「アンの身体に乗り移って、セシーはトムにアタックをかけるんですが、アンはもちろん抵抗します。身体を操られて、好きでもない相手と恋愛させられそうになっているんですから、当然っちゃ当然ですね」

 

残響「そもそも、トムにあまり魅力を感じないんですけど。セシーはトムのどこがいいんだろう」

 

fee「普通の男の子ですね。あまり描きこみはされていません。でも重要キャラですよ」

 

残響「重要ですか?」

 

fee「百合を求める残響さんには申し訳ないですが、トムが、というか、トム的な立場のキャラクターは重要ですよ」

 

残響「トム的な立場、か。まぁ、それは確かに……」

 

fee「セシーがトムを好きな気持ちがどこまで真剣かは謎ですけどね。そもそも会ったばかりでしょ?」

 

残響「ですね。恋に恋してる感じがします」

 

fee「そう。だってトムと会う前からP42 2行目「『恋をしたい』と、セシーは言った」と書いてありますし。別にトムじゃなくても良かったんですよ。まぁ、セシー的に一発NGじゃなかったのは確かでしょうけど」

 

残響「アンの方はもっと描き込まれているのに。P44 6行目『すばらしい肉体だった、この少女の肉体は。ほっそりした象牙のような骨に〜』長くなるのであれですが、この後9行もアンの描写があります。セシー視点でアンの肉体をほめたたえているんです。こんなことをされちゃ、百合妄想するなっていう方が無理ですよ!」

 

fee「あぁ、それでですか……」

 

残響「なのに、全然そっちの方に行かなくて残念でしたけど」

 

fee「ご愁傷さまですw しかし、セシーに乗り移られたアンはいい迷惑ですね。好きでもないトムと恋愛ごっこをさせられるしw」

 

残響「ほんとですよw」

 

fee「アンの迷惑も考えないし、勢いで恋にのぼせちゃうし、若いなぁって。自己中というか、なんというか。ただ、その若さが羨ましくもあり、瑞々しい少年少女をブラッドベリは実に巧く描くなぁとも思います

 

残響「P59 13行目『まださっきの紙を持っている、トム? 何年後になっても、いつか、逢いに来てくれる? そのとき、わたしを思い出すかしら。わたしの顔をじっと見つめたら、最後にどこで逢ったか思い出してくれる? わたしが愛しているように、あなたもわたしを愛していたのよ。心の底から、いつまでも、わたしは愛し続けるわ』
ぼく、このセシーのセリフがすごく好きです……」

 

fee「冷静に考えれば明らかにおかしいんですけどね。いやいや会ったばかりで何言ってんだよwみたいな。ただ、そうは言ってもこのセリフは良いですよね。胸に響くというかなんというか」

 

残響「そうですよ。このセリフだけじゃなく、作品全体に漂うポエジーというか、詩情のようなものを感じます。こういうのがfeeさんが好きなブラッドベリ的なものなのかなって」

 

fee「セシーの自己中心的な感じもブラッドベリは狙っているとは思いますが、斜に構えたような読み方だけで終わらせるのは寂しいです。セシーの甘酸っぱい初恋を応援しながら、素直な気持ちで読む方がいいのかな。ところで、セシーの恋は実るんでしょうか? 最後、セシーはトムに自分の住所を渡しますが、トムはセシーのところに行くと思いますか?」

 

残響「これ、わかんないんですよねぇ」

 

fee「最初に読んだ時はセシーの完全な片思いかと思ったんです。トムはアンの事が好きなんだから、アンの身体に乗り移ったセシーが何を言ったって意味がないんじゃないかって。P54 13行目トムの台詞に『それで、ぼくはきみにまたあらためて恋をしちゃったんだ』とありますが、それも、成長したアンに惚れ直した、くらいの意味かと思ってたんです。でも、P54 10行目『そのあと、井戸のそばに立っていたとき、何かが変わったような気がした』というのは、かなり具体的な瞬間……つまり、アンの緩やかな成長ではなく、アンがいきなり変わったと、そうトムが認識しているように読めます」

 

残響「P55 17行目のセシーの台詞『アンがあなたを愛さなくても、わたしは愛してるわ』というのは相当踏み込んでいますよね。そしてですよ。その後の文章。P56 4行目『たったいま、なんだか、どうも――男は目をこすった』これは、かなり怪しい文章ですよ。含みがあるというか。この時、トムの中で何が起こったんでしょう。ひょっとして、アンの顔に重なるように、薄っすらとセシーの姿が見えたのかもしれません」

 

fee「最後、P60 5行目『そのてのひらに小さな紙片があった。ゆっくり、ゆっくりと、何分の一インチかずつ、指が動き、やがて紙片を握りしめた』。これもね。最初は、ぎゅって握りしめた……まぁこの時、トムは寝ているわけですけど、ゴミか何かのように握りしめた。それで紙はしわくちゃになって、セシーの住所は読めなくなってしまった。というふうに読んだんですよ」

 

残響「確かにそう読めるんです。でも、決意を込めて、『よし、行くぞ』と。セシーを離さない、そんな決意を込めて、セシーの住所を握りしめたのかもしれません。ブラッドベリは、敢えてどちらにも読めるように、慎重に慎重に書いているように思えます」

 

fee「そうですね。セシーの恋がどうなったかは読者の想像に委ねると、そういうことですよね」

 

残響「きっとセシーの恋は実りますよ。セシーの家を訪ねるのは、トムじゃなくてアンかもしれませんが……」

 

fee「百合の話はもういいからw」


 

 

第3回に続く……(「黒白対抗戦」など)

ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(1)

  • 2017.04.02 Sunday
  • 21:46

第1作目/全21作(「荒野」は除く) 「二度と見えない」 P167〜174

残響評価 D fee評価 B−

(S〜E評価です)

 

fee「とりあえず、あらすじを。メキシコ人のラミレスさんが、下宿先のおばさん、オブライアン夫人と別れるお話です。別れる際に、【二度と見えない】って言うんですね。はい、そんなお話……で、合ってますよね?」

 

残響「はい。ほんと、それだけの話ですよね。一応捻ってはいると思うんですが」

 

fee「捻っている、というのは……?」

 

残響「まず先に、feeさんの感想をうかがってからで良いですか?」

 

fee「わかりました。まず、この話はやっぱり【二度と見えない】という表現が良いですよね。翻訳の小笠原さん、頑張ったなぁって」

 

残響「確かにそうですね。これ、原題は【I See You Never】って書いてあるんですが、あんまり口語っぽい言い回しじゃないんですよね」

 

fee「お、英語が苦手な僕にはよくわからないぞ! 僕より残響さんの方が、深く読み込んでそうだなぁ……」

 

残響「Seeという単語があるじゃないですか。これは【見る】という単語ですけど、慣用表現では【I'm glad to see you.(お会いできてうれしいです)】とか、【See you again!(さよなら)】というふうに、【会う】みたいな意味でも使うんですね」

 

fee「確かにそうですね!(全然考えないで読んでいた、と言いだしづらい流れだw)」

 

残響「だから【I See You Never】で、【二度と会えない】になるのかなと思うんですが、【二度と見えない】と訳していますよね」

 

fee「メキシコ移民なので英語が苦手なんですよね」

 

残響「そうです。でもまぁ、ぼくの認識では、【捻りはそれだけ】って言うか……」

 

fee「あぁ、うん……まぁ確かに……」

 

残響「feeさんの感想をうかがっても良いですか?」

 

fee「はい。まず、最初に書きましたが、P174 4行目の【さよなら、オブライアンさん。あなた、親切でした。さよなら、オブライアンさん。あなたと、二度と見えない!】というセリフは良いなぁと。【二度と会えない】だと普通なんですが、【二度と見えない】とすることで、ラミレスさんがオブライアンさんとお別れする悲しみが、より伝わってくるというか」

 

残響「そうですね。うまく言いまわしてないがゆえの、パセティック(悲愴)な思いというか。エロゲで言うと……(やめとこう) *1」

 

fee「ラミレスさんとオブライアン夫人はとても仲が良いんですね。だからこんなに別れを惜しんでいるんですが、ラミレスさんはメキシコ移民じゃないですか。オブライアン夫人というのは、作中で書かれてはいませんけど、名前からしてアイルランド系の移民だと思うんです」

 

残響「そういわれれば、なるほど」

 

fee「なので、メキシコ移民とアイルランド移民。人種は違いますが、アメリカ社会ではマイノリティというか、弱者の立場にある人同士。だからこそ、お互い親しみを持ったんじゃないでしょうか?」

 

残響「アメリカでのアイルランド移民って、貧しい人が多いんですよね。警官とか、消防士みたいな肉体労働者(ブルーカラー)。貧しいからこそ、結束力が強いというか、アイルランド移民のコミュニティみたいなものもあります。怒りっぽくて頑固で、情に熱い、っていうのがアイルランド移民コミュのステレオタイプでしょうか。まあ、同じ白人でも、上流階級ではない。だからこそthe Poguesの名曲「ニューヨークの夢」が感動的な曲でして……って大いに話がずれてるっ!w しかしそう考えると、メキシコ移民に対しても、弱者同士で親近感というのはあるのかもしれませんね。パンク!」

 

fee「オブライアン夫人も、子供はいるみたいですが、旦那さんも出てこないですし。僕は、ブラッドベリ作品の特徴の一つに【寂しさ】があると思うんですが、この『二度と見えない』も寂しい人たちの話という感じがします。そういう意味ではブラッドベリっぽい話ですし、嫌いじゃないです」

 

残響「あー、確かにこの短編集も寂しい話が多い気はしますね。しかし、ブラッドベリという作家さんは、こうして考えてみると【社会派】としての側面も持っているというか、少なくとも絵空事、空想100%の世界だけじゃなく、現実の問題についても興味を持って作品を作っている感じがしました。この方向性を突き詰めていくと『華氏451度』みたいな作品になるんでしょうか」

 

fee「まぁ確かに、全部の作品がそうというわけでもないですが、そういう作品もありますよね。この短編集にもいくつか『華氏451度』路線と言うのかな? 社会派っぽい作品はありますし。えーと、『二度と見えない』についてはこれぐらいでいいのかな?」

 

残響「あっ、もう終わりですか?」

 

fee「え、いや……っていうかこの作品7ページしかないんですよw 10分ぐらいで読める作品なのに、僕らもう13分も話してるじゃないですかw このまま話すと、『二度と見えない』本編の文字数よりも、僕らの対談の文字数の方が多くなっちゃいますよw」

 

残響「10分ぐらいで読める、というのがぼくとfeeさんの小説における読書スピードの違いを感じるわけですが……まぁこれぐらいですかね」

 

fee「もちろん、何かまだ語りたい事があればいくらでも語ってほしいんですが、残響さん、この作品は一番どうでもいいみたいな扱いをしていたのにw」

 

残響「ははは、確かにw」

 

fee「一番どうでもいいはずの最初の一作で13分か……。これ、前回の『ラブラブル』並のボリュームになりそうですね。さて、では次はどの作品にしましょうか……『華氏451度』路線、という話が出たので、そちらから攻めてみますか?」

 

残響「それでいきますか。『華氏451度』路線というと……『人殺し』とか『歩行者』、『黒白対抗戦』あたりですか?」

 

fee「『黒白』は少しズレる気もしますが……『人殺し』や『歩行者』はドンピシャですね。じゃあ次は『人殺し』行きますか?」

 

残響「行きましょう」

 

 

*1 どろり濃厚(残響)

 

 

第2作目/全21作「人殺し」 P137〜154

残響評価 B+ fee評価 B+

 

fee「あらすじから行きます。主人公のアルバート・ブロックさんは、ちょっと神経質な人なんですね。この世界ではどこに行っても音楽が流れていたり、無線腕時計とかいう携帯電話みたいなものがあったりして、なんだか現代日本みたいな感じ。ブロックさんは、我慢できなくて、壊しまくってしまう。結果、精神病院に入れられてしまう〜と、こんな感じのお話です。『華氏451度』にもこういった描写はあったと思いますし、かなり近い感じの作品だと思います」

 

残響「ぼく、この作品結構好きなんですよ」

 

fee「僕も好きですねぇ」

 

残響「まず、この作品の評価を大きく分けるポイントとして、読者が主人公のブロックさんをどう思ったかというのがある気がします。……ぼく、ブロックさんの気持ち、すごくよくわかるんですよね」

 

fee「あぁ、残響さんもわかってしまいますか……。僕もすごくよくわかりました。ただ、読者によっては、ブロックさんを全く理解できない人もたくさんいそうな気がします。そういう人々にとっては、この『人殺し』という作品は駄作になりかねないような。かなり好き嫌いが分かれそうな作品だと思うんですが……」

 

残響「……ブロックさんを全く理解できない人って、やはりいるんですかね?」

 

fee「いると思いますよ? これ、現代日本まんまじゃないですか。病院に行けばテレビがついている、電車に乗ってもテレビがついている、下手をするとラーメン屋に入ってもテレビがついている。渋谷かなんかを歩けばビッグビジョンで、やっぱりCMを流しているし、お店に入れば音楽が流れている。ネットやスマホを開けば、今日のトップニュースみたいなものを教えてくれるし、Twitterを開けば今日のトレンド、みたいな。ものすごい量の情報が、これでもかとばかりに押し付けられてくる。家にいるだけで移動販売車の騒音とかが来るし:汗。でも、そういう状況に疑問を抱かない人ってたくさんいると思うんですよね。

テレビ流れてるの? 別にいいじゃん、暇だし。音楽? いいじゃん。ニュース? 便利だね! 移動販売車? 季節の風物詩だねぇ。何が気に入らないの? 何文句言ってんの? めんどくせー奴だなw みたいな」

 

残響「あぁぁ、うん……(世界苦)」

 

fee「だからまぁ、ブロックさんを理解できちゃう人っていうのは……それだけでストレスを抱えるわけだから生きづらいですよ。僕も残響さんも、あるいは『人殺し』を読んで共感しちゃった人も。『人殺し』? ナニコレ、主人公キチガイ乙w で済ませられる人は勝ち組じゃないですか?」

 

残響「それはそれでw でも、この作品をユーモアだと思って笑える人はいるかもしれませんね」

 

fee「笑える……かぁ? これは僕らには笑えないですよね……」

 

残響「笑えないですね……。こうなってくると、何が正常で、何が異常かという話にもなってくるんですけども」

 

fee「多分世間一般から見たら、ブロックさんは異常だし、僕らもまぁ神経質な人に括られるかなと。僕なんかから見たら、あの音や情報の洪水に疑問を持たない人たちの方がちょっと……というのは言い過ぎかな……。結局、正常と異常を分けるのは、どちらが多数派かという……」

 

残響「この作品が書かれたのは1950年代……ですよね? アメリカはこの当時からこんなだったんでしょうか。それとも未来を先取りしたのかな」

 

fee「わかりませんねぇ。この作品で面白かったのが、P149  5行目の【うちに帰ると、女房がヒステリーを起こしています。どうしてでしょう? 半日の間わたしからの連絡が途切れたからだそうです】」

 

残響「うわっ めんどくせーw」

 

fee「ケータイ依存症でこういう人いますよねw いや、かくいう僕も割と連絡はマメな方なので……半日じゃキレないですけども。今の世の中、連絡頻度が合う・合わないというのは、交友関係や恋愛関係にも大きく影響していると思います」

 

残響「まずぼくが面白いと思ったのは、最初の方に出てくる一連の音楽の描写です。P140 5行目の【ストラヴィンスキーバッハと番い、ハイドンラフマニノフを拒もうとして拒みきれず、シューベルトデューク・エリントンに殺されていた】。これ、音楽同士の相性が無茶苦茶なんですよ。音楽傾向、ジャンル的に、一気に鳴らされたら不協和音にしか思えないと言いますか」

 

fee「へぇ……その辺はさすが音楽に詳しい残響さんの感想ですねぇ」

 

残響「ブラッドベリは音楽も好きだったのか、取材したのか……この描写はなかなか【わかってる】なぁと思いました」

 

fee「現代日本でもそうですが、勝手に流されてくるテレビとか音楽とかを、まじめに聴いている人って、どの程度いるんでしょうか。残響さんの指摘で考えれば、この作中では誰も音楽をまじめに聴こうとしていませんよね。ただ流しているだけの音楽がぶつかりあっているというか」

 

残響「ですねぇ。流行とか、話合わせとかいうチャラい意味すらない」

 

fee「大体、まじめに音楽が聴きたい人はスマホなりにイヤホン挿して聴けばいいわけで、何も興味のない人にまで流さなくてもいいのになぁと個人的には思っちゃいますね。僕は本を読みたい人なんですけど、音楽が鳴っていると集中しづらいので、正直迷惑だなぁと思っています。特にテレビがついている飯屋は基本避ける傾向にありますね。こういう事を言っちゃうと【まじめに本が読みたい人は家でだけ読んでろ】と言い返されちゃうかもしれませんし、別に権利を主張したいわけではないけども……。歯医者に流れている環境音楽みたいなのは特に嫌ではないんですけど、それだって別になくたっていい」

 

残響「カクテルパーティー効果という、科学的に証明されてるものがありまして。喫茶店とかで音楽をフロアに流しておくと、各々の雑談を周囲からシャットアウトできるんです。ざわめきみたいなのが伝わりにくくなると言いますか」

 

fee「あぁ、なるほど。そういう効用があるんですね」

 

残響「そういう意味で、音で各々が孤絶している、ディスコミュニケーションの話とも取れますが……。

それから、ブロックさんの無双ぶりも面白いですね。P145 17行の【大入りのフレンチ・チョコレート・アイスクリームを一パック買って来て、スプーンですくって、車の無線送信機へ流し込んだんです】とか」

 

fee「暴れまくっていますよねw」

 

残響「ところで、ジアテルミーっていうのはなんだったんでしょう? ちょっとよくわからなかったんですが……」

 

fee「ジアテルミー? どこですか?」

 

残響「P148 7行目とかです」

 

fee「うーん、分からないなぁ」

 

残響「あ、調べればいいのか。えーと、ジアテルミー……皮膚を通した温熱療法で、超短波、超音波、電流で……療法なんですかね??」

 

fee「んー、これ、前後の文脈を考えると、ブロックさんがバスに乗っていますよね。で、ラジオやケータイがうるさい。そこでブロックさんがジアテルミーを使うとバスが沈黙……ということは、なにか妨害電波みたいなのを発生させる装置なんじゃないでしょうか? ジャミング的な」

 

残響「あぁ、なるほど」

 

fee「いや、わからないですよw でも確かジアテルミーの説明にも超音波、超短波とか書いてありましたし……本来の意味とは違う気もしますけど、そんなニュアンスかなと」

 

残響「ブラッドベリさんの誤用なのかしら。やっと謎が解けたw」

 

fee「タイトルの『人殺し』っていうのも、結構ドギツイ単語ですよね。器物損壊じゃなくて、人殺し」

 

残響「ぼく、精神的にちょっと参っていた時に、周囲の音にすごく過敏になっていた事があるんです。静かなはずのゴルトベルク変奏曲 がものすごいデスメタルのように聞こえた、それぐらい過敏になっていた事があって」

 

fee「僕も、精神的につらい時は活気のある雰囲気が苦手でしたね。魚売り場でおじさんが【いらっしゃい! いらっしゃい!】って威勢よく売っているのを聞いて、うわっって気分が悪くなったことがあって。全然悪い事じゃない、むしろ元気があって良いとたいていの人は評価するでしょうし、ダメージを受けた僕の方がおかしかったんですが、それでもつらい時ってあるんですよね」

 

残響「【周囲の音を消せ!】というのは、【周囲の普通の人々の価値観を殺せ!】みたいな、そんな意味があるんじゃないでしょうか。本当におかしくなっている人にとっては、【殺るか殺られるか】そんな切羽詰まった状況なんじゃないかなと。ブラッドベリもこういう問題意識を抱えていた……のかなぁ」

 

fee「科学技術の発展にともなって窮屈になっていく時代。そういったものに無関心な人だったら、こういう話は書かないでしょうね。だからブラッドベリもブロックさん寄り……じゃないのかな? 僕も残響さんも、ブロックさんの気持ちがよくわかる方だと思うんですが、公共のものを壊しちゃダメですよねw それはそれでやっぱり怖いですよ」

 

残響「確かにw」

 

fee「バス会社に、【ちょっと車内の音がうるさいんじゃないか】と投書を送るとか……それぐらいですかねぇ、できることは。そんなことをしても、何も変わらない気もしますが。結局は、我慢するしかないんでしょうかね。大多数の人は気にしていないわけですから」

 

残響「生きづらいですなぁ。実に生きづらい。」

 

fee「この作品はお互い、【ブロックさんわかるなぁ】という感想になりましたが、どれくらいの比率でブロックさんに共感が集まるのかはちょっと気になるところではありますね。

では、次の『歩行者』に移りましょうか?」

 

残響「行きましょう、行きましょう」

 

 

 

第3作目/全21作「歩行者」 P27〜37

残響評価 B+ fee評価 B−

 

 

fee「散歩をしていた無職未婚者のミード氏が警察車に捕まる話、です。警察車、というのはこの作品独自の設定で、無人の警察車が街を走って不審者や犯罪者を捕まえてまわっているんですね。」

 

残響「あらすじはそんな感じですけど、この話、ユーモラスな部分もあって面白かったです」

 

fee「ユーモラスかなぁ……すごく怖い話だと思います」

 

残響「確かにそうなんですが、やりとりが面白いんですよ。P33からのミード氏と警察車のやりとりを多少省略しつつ引用します」

 

警察車「職業は?」

ミード氏「作家、というところです」

「無職か」と、警察車は独り言のように言った。

ミード氏「まぁ、そういっても構いません」

「無職か」と、レコードのような声が言った。

警察車「外で何をしていた?」

ミード氏「歩いていました」

警察車「歩いていた!」

ミード氏「ただ歩いていたのです」

警察車「歩いていた、ただ歩いていたのか」

ミード氏「はい、そうです」

警察車「どこへ歩いていた? 何のために?」

ミード氏「いい空気を吸うために歩いていました。景色を眺めるために歩いていました」

警察車「きみの家にはいい空気がないのか。エアコンはあるのだろう? きみは既婚者かね?」

ミード氏「いいえ」

警察車「未婚か」

ミード氏「結婚してくれる相手がいませんでしたのでね」と、レナード・ミードは微笑した。

警察車「質問されないうちに喋ってはいけない!」

 

残響「とまぁ、長くなりますが終始こんな調子なんです。警察車の【歩いていた!】とか【無職か】とか、こういった台詞が、なんだかおかしみがあるなぁと」

 

fee「確かに……。何か、ちょっと変な行動をしていたり、他人から理解できない行動をしていると、寄ってたかって後ろ指を指すようなところ、日本にもありますよね」

 

残響「ありますね……同調圧力的な……一つの理想的な生き方があって、そこからハズレた人間に対する冷たい目というか」

 

fee「アメリカでもやっぱりあるんでしょうね……。ミード氏は単に散歩してただけなんです。無職で未婚者かもしれませんが、単に散歩していただけ。なのに捕まっちゃうんです。酷い話です」

 

残響「ですよねぇ。かわいそう」

 

fee「この警察車みたいな人って、日本にも結構いるんじゃないでしょうか。無職なら求職活動をしたらどうだ? 未婚者なら結婚相手を探したらどうだ? 散歩なんてしている場合じゃないだろ、頭おかしいんじゃないか? みたいな」

 

残響「そこまでラディカルかはわかりませんが、いるでしょうね」

 

fee「別に、他人が何をしようがいいでしょうに。散歩くらい好きにさせてやれよと思っちゃいますけども」

 

残響「なぜか自分の狭い物差しを他人に当てはめて、口出ししたがる人っているんですよね」

 

fee「ミードさんと警察車が、全く意思疎通できていませんよね。ミードさんは場を和ませようとして【結婚してくれる相手がいませんでしたのでね】と言っているのに、【質問されないうちに喋ってはいけない!】とか言われちゃって。警察車は全く歩み寄らないし、ミードさんを理解しようという気がない。これは、【警官】ではなく【警察車】なので歩み寄らないのは当たり前なんですけども……治安維持行為をする【警官】から、人間味が失われてきている。そういった警官への、皮肉にも読めるかなと思います」

 

残響「ディスコミュニケーション」

 

fee「この作品、アルベール・カミュの『異邦人』という作品と似ている気がします。『異邦人』でも、母親の葬式の翌日に海水浴に来ていたとか、キリスト教を信じていないとか、そんな理由で死刑になっちゃうじゃないですか。そりゃ、母親の葬式の翌日ぐらい静かにしてたら?とは思いますけど、海水浴に来たかったんだから、他人がとがめだてすることもないでしょう。でも、世間の圧力としては【母を悼む優しい心】をアピールしてほしかったわけですよね。

【なんだこいつ? 何考えているのか意味が分からん。死刑】みたいな」

 

残響「『異邦人』のラストで、ムルソーがキレるシーンがあるじゃないですか。あそこがぼくは本当に好きでしてねぇ。ぼくはあれは、【勝手な物差しで他人の幸せを量るんじゃねぇ!】というムルソーの怒りだったと思うんですよ。もし警察車が【どうして結婚しないんだ? どうして働かないんだ? 働いて結婚するのが幸せだ】と決めつけるようなことを、ミード氏に言ったとしたら、キレていたと思います」

 

fee「ミードさん、優しいですからね。人当たりも良いのに。僕ならイラっとしますね。

まぁでも、無職で未婚者で、毎日夜散歩する事だけが生きがいなミードさんは、警察車みたいな人から見たら不審者でけしからん奴なんですよ。P29 2行目【草の生えた敷石の継ぎ目をまたいで先へ進むこと、ポケットに手をつっこみ静寂のなかを歩きつづけること、それがレナード・ミード氏の最大の喜びであった】……最大の喜びなのか……それはちょっと寂しくないかw」

 

残響「いやでも、散歩は良いですよ。ぼく、散歩すごく好きですし、ミード氏の気持ちはわかります」

 

fee「僕はあまり散歩は好きじゃないからなぁ。【数年前から毎晩です】【この散歩は時として何時間も何マイルもつづき、帰宅は夜半近くなることもあった】……うーんw」

 

残響「なんか学生時代のぼくみたいだな……。音楽を聴きながら、延々5kmくらい近所のでっかい自然公園をちんたら歩いてました。あれは綺麗な思い出です」

 

fee「ごめん、僕はちょっとわかってあげられなかった……。でもまぁ、いいんですよ。誰に迷惑かけてるわけじゃないし」

 

残響「そうですよ」

 

fee「この話、たぶんミード氏が会社役員の既婚者で、【息抜きに散歩していました】とでも言えば、多分捕まらなかったと思うんです。あるいは、無職で未婚者でも【今、求職活動してます】アピール、【恋人探して、いろんなパーティー出てます】みたいな婚活アピールでもしていれば。でも、【毎日散歩しているだけ】。だから、警察車みたいな人から見ると、【理解不能】なんでしょうけど……。面倒くさいですねぇ。無職で未婚者で、お金が続く限り毎夜の散歩が最大の楽しみだっていうなら、そういう人がいたっていいと僕なんかは思いますけど。僕自身がそうなりたいかはさておいてw」

 

残響「なりましょうよ!w」

 

fee「……これ、よく読むと未来設定なんですよ。P29 5行目【2053年の世界にあって、かれは孤独だった】」

 

残響「2053年!?」

 

fee「全然未来っぽくないですよねw ただ、P32 11行目に【人口300万の都会に、警察車は一台しかないのである。一年前の2052年に選挙があり、それ以来、警察車は三台から一台に削減されたのだった】とか、よくわからない謎のSF設定もあるし……」

 

残響「うーんw なんか無茶苦茶な設定ですねw」

 

fee「まじめにSF書く気はないですよね。まぁブラッドベリらしいっちゃらしいですけど……」

 

残響「あまりハイテクとか科学の進歩を歓迎しているようにも見えませんし……。むしろ、旧き良きものを残したいというか」

 

fee「そうですね。その辺がハインラインあたりとは真逆というか。ハインラインは、前向き、楽観的な感じがするんです。健全なんですよね。だから、ハインラインが好きな人とかの方が、社会で健康に生きられそうな気がする。ブラッドベリなんか好んでちゃダメですよ、クヨクヨした人生になっちゃいますよw」

 

残響「ちょっw アナタ、ブラッドベリのファンのくせして!w」

 

fee「まぁ、太宰治みたいなものですかね。健康に幸福に生きたいなら、ブラッドベリなんか好きになっちゃいけないんです」

 

残響「ブラッドベリは太宰だったのかw」

 

fee「【ブラッドベリが好きなんです】と口に出すのは、少し後ろめたさというか恥ずかしさみたいな気持ちはあるにはありますね。そういうのは大学生ぐらいで卒業しとけよ、みたいな。きちんとしたまっとうな大人になって、ミード氏を弾圧する側に回らないと……」

 

残響「これが後に伝えられる独裁者fee千年王国の誕生であった……」

 


第2回に続く……(「四月の魔女」など)

ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(0)

  • 2017.04.02 Sunday
  • 16:43

 

【前口上】

 

去年行われた怒涛の「『ラブラブル』対談」は、feeさんと残響のお互いの立場の違いが明確となり、なかなかに白熱した対談となりました。ありがたくも、この「『ラブラブル』対談」には、何人もの方々が熱いコメントをお寄せくださいまして、それにより一層議論・対談が深められました。企画者・ブログ編集者として、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

さて、二人の次の対談企画として、この度「読書会」をやってみよう、という案が持ち上がりました。

題材は、レイ・ブラッドベリ『太陽の黄金(きん)の林檎』。feeさんは昔からのブラッドベリのファンであり、残響はまーったくブラッドベリを一冊も読んでいないというSF素人。この極端な立ち位置の違いというのもまた面白かろう、ということで、今回から数回にわたって「『太陽の黄金の林檎』読書会」を、当対談ブログ「止まり木の足りない部屋」の連載企画として展開していきます。

 

エロゲに何の関係があるんだ! と言うツッコミは想定済みですが、本ブログ編集者としては、より広い意味で「物語を語る」という行為を通して、feeさんと残響という、物語読み、物語書きの哲学みたいなものを、面白おかしく語っていけたら、と思っています。ネタバレ全開の対談記事をあげておいてなんですが、これを機に一人でも多くの方が当作品に興味を持っていただけたら、あるいは再読の良い機会となれば幸いです。

 

くどくど書きましたが、「なんだこの二人、古いSFをやけに楽しく語ってるなぁ……?」と、ゆるりと対談記事を楽しんでいただけたら幸いです。もちろん、ガチSF者の方の「俺ブラッドベリ観」によるツッコミもお待ちしております!(どきどき)

 

(残響)

 

作品語り、その前に

 

fee「レイ・ブラッドベリの短編集『太陽の黄金の林檎』の読書会を始めたいと思います……が……どういう流れでやったらいいのかな?」

 

残響「そもそも我々がなんで、この本の読書会をすることになったのか。その話を最初にするのが良いんじゃないでしょうか?『ラブラブル』からブラッドベリ、っていろんな意味ですごい落差っすよ」

 

fee「確かにw そもそもの発端は、2016年の12月に、僕が書いたSF紹介のブログ記事でした。その中でブラッドベリにも触れたんですが、残響さんがその記事を気に入って下さって。それで〜という事……ですよね?」

 

残響「そうです。自分もオタクとして、こういう形での【好きな作家&代表作】を語らないとなぁ、としみじみ。そんで、自分のブログでも似た形の、漫画家紹介なことをしたんですが。まあそれはさておき、feeさんのご紹介のなかで、とくに琴線に触れたのがブラッドベリでした」

 

fee「でもなんで、『太陽の黄金の林檎』にしたんですか? あの記事では幾つか作品を挙げましたけど、その中でなぜ『太陽の黄金の林檎』を残響さんがチョイスしたのかはちょっと気になるかも」

 

残響「三つあって、一つはもちろんfeeさんが書いてくださった内容に触発されてなんですけど、その後の二つは割としょうもない理由なんです……」

 

fee「どうぞw」

 

残響「一つは、表紙が格好良かったからですw」

 

fee「ww ちなみにどのバージョンですか?」

 

残響「新しいやつです。黒くて赤い」

 

 

fee「グーグル画像検索してみました。これですか。僕が持っているのは恐竜のやつですね」

 

 

残響「あ、これか。なるほど、ということは自分のはやっぱり新装版ということですな。……それでですね、もう一つの理由はタイトルが格好良かったからですw」

 

fee「まぁ確かに『刺青の男』とか普通ですからね……。僕的には『10月はたそがれの国』とか格好良いと思うんですけど」

 

残響「いわゆる【メルヒェン】な感じがいいですね。今ブラッドベリのwikiを見ているんですけど、『歌おう、感電するほどの歓びを!』とかすごくカッコよくないですか?」

 

fee「その下の『ブラッドベリは歌う』はすごくダサいんですけどw」

 

残響「酷い。『ウは宇宙船のウ』、『スは宇宙(スペース)のス』っていうダジャレシリーズも古典タイトルとはいえ、改めて思うと安直ですなぁ……」

 

fee「原題も『R is for Rocket』『S is for Space』だからしょうがない……。僕は『二人がここにいる不思議』とかいいなぁって思いますね」

 

残響「あぁ、いいっすねぇ。センス・オブ・ワンダーだなぁ。てか、『歌おう、感電するほどの喜びを!』と『ブラッドベリは歌う』って、これどっちも原題は『I Sing the Body Electric!』じゃないですかw 同じ本をサンリオと早川で出していて、訳が違うってことでいいのかな? ガンバレ! サンリオ文庫! もう亡(な)いけど!」

 

fee「多くのSF読みはサンリオ文庫を恨んでいると思いますよ。多分。ハヤカワの古書は読める本が多くても、サンリオの古書を読むのは難しい……プレミアムがついてたりしますし……。話を戻しますと、確か、『I Sing the Body Electric!』という作品をそのまま訳したのが、サンリオの『ブラッドベリは歌う』。分厚い作品なので、ハヤカワはこれを『キリマンジャロマシーン』と『歌おう、感電するほどの喜びを!』の2冊に分けて出版した……はず……」

 

残響「なるほど……。そういえば、読書文化トリビアなんですが、アメリカって【the Great American Novel】みたいな、アメリカ人の求める本のあり方があるんですね。【長くて分厚いのが偉い】みたいなんで、本もすんごく分厚かったりする。ペーパーバック(文庫)でも。それを避暑地やプールにもっていって、じっくり読む楽しみみたいなのもある、らしいです。夏の避暑地の古本屋はなかなか読書人にとって、楽しい時間らしいですよ」

 

fee「へぇ、それは面白いですね。全然知らなかったです……。

僕が知っているのは、アメリカはとにかく一冊で済ませる文化があって。どんなに分厚くても、上下巻で分けるような事は基本的にはしない。スティーブン・キングの短編集の『スケルトン・クルー』なんかも日本では三分冊になるほど分厚いんですが、アメリカでは一冊で出ています。『指輪物語』なんかはあまりにも分厚いので、全部で一作にも関わらず、無理やり第一部、第二部、第三部に分けて【三部作】という体裁にしたんですよね。ほんとは一作なんですが、【三部作】とか【シリーズ】という体裁にしないと、【本を買ったのに、なんで結末まで書いてないんだ! 未完商法、続編商法かよ!】って怒られちゃうから」

 

残響「どっかのエロゲみたいですねw どことは言わない。慈悲の心」

 

fee「ごめんなさい、脱線しました。話を戻します。ブラッドベリの代表作は『火星年代記』だと僕は思うんですけど……」

 

残響「『華氏451度』じゃないんですか?」

 

fee「えっ!?」

 

残響「いや、ぼくの認識ではそうなんですけど……。『華氏451度』って焚書のディストピア話じゃないですか。現実が『華氏451度』を追い越していく……、的な比喩表現とか結構、ぼくのいる界隈では聞いていて……」

 

fee「あぁ、なるほど……。なんだろうなぁ、『華氏451度』も面白いとは思うんです。思うんですけど、僕が考える【いわゆる、ブラッドベリらしい作品】とはちょっと違うというか。これはこれで良いんですけど、このテのストーリーだったらジョージ・オーウェルとかの方が巧いと思うし……」

 

残響「『1984年』とかですね」

 

fee「そうです。もちろん【ブラッドベリらしさ】というのも、僕が勝手に考えているだけなんですけど。僕が考える【ブラッドベリの良さ、らしさ】が出ている作品の中で、一番有名なのは『火星年代記』かなって」

 

残響「そうなんですね……。今回『太陽の黄金の林檎』を読んで、なんとなく一般的イメージだけではない真の作風をわかった気もするんですけど、読む前は【ブラッドベリ=華氏451度の人】という感覚でした」

 

fee「そうなのかぁ……」

 

fee「ブラッドベリの短編集は色々ありますが、初読者の方にどれをお薦めするかというのは割と難しいと思っていまして。好きな短編集がたくさんあるので、やっぱり色々薦めたくなっちゃいますけど、どんな短編集にだってハズレ作品はありますし、ハズレ作品が多い短編集にも珠玉の一作とかもありますし……。『太陽の黄金の林檎』は、あくまでも僕個人の好みを言いますと、【アベレージが非常に高い短編集】だと思っています。本当に大好きな短編作品は他の短編集に入っていたりするんですが、【太陽の黄金の林檎】は読んでがっかりするような大外れ作品が一番少ない短編集かなと」

 

残響「『ウは宇宙船のウ』というのもよく聞くタイトルなんですが、feeさん的にはこれはあまりお薦めはしないんですか?」

 

fee「あぁ、それはですね……。『ウは宇宙船のウ』は、音楽で言うベストアルバムみたいなやつなんです。代表作を集めました、みたいな。ブラッドベリを1作だけ読んで、それで満足、卒業!というならば、『ウは宇宙船のウ』を読むのは良いかもしれません。ただ、これは僕のワガママですが、良い作品はたくさんあるので、せっかくだから何冊か読んでほしいんですw ベストアルバムから入って、次にいろんなアルバムを聴くと【被り】が発生するじゃないですか」

 

残響「わかる。まさにベストアルバムのパラドックスです。The Clash の『エッセンシャル・クラッシュ』と、1stアルバム『白い暴動』の被りは相当だからなぁ(どうでもいい)」

 

fee「僕としては、もしブラッドベリが気に入ったなら、『太陽の黄金の林檎』と『刺青の男』、『10月はたそがれの国』、『火星年代記』、この辺りをどんどん読んでほしいんですw これらを読めば、大体『ウは宇宙船のウ』に入っている作品は読めますし、ベストアルバムには入っていない良作、名作も読めますし」

 

 

残響「なるほど。しかし、ブラッドベリってSFの人だと思っていたんですが、あんまり【いわゆるSF】……もっと限定すると設定バリバリのハードSF、っぽくないですよね。『太陽の黄金の林檎』を読んで思ったんですけど」

 

fee「少なくとも、【科学技術】にこだわりがある人ではないですよね。だからこそ、SFファン以外の、普通の読者にもとっつきやすいかなとは思います。コテコテのSFが読みたい人向きではないかもしれませんが」

 

残響「ところで、ちなみに先ほどfeeさんはハズレ作品が少ないと仰っていましたが、feeさんはこの短編集の中で、ハズレだと思った作品はありますか?」

 

fee「いきなり爆弾を投げましたねw 言っちゃいますか?」

 

残響「お願いしますw」

 

fee「まず、表題作にして短編集のラストを飾る『太陽の黄金の林檎』」

 

残響「Oh……ww」

 

fee「それから、『草地』。あと、僕、『発電所』はちょっと難解でわからなかったのでこれもハズレかな。自分が分からないからハズレ、っていうのもどうかとは思いますがw」

 

残響「今思ったんですけど、やっぱり我々は全然好みが違いますね。ぼく、その三つ、結構好きなんですよw 好みも、恐らく読み方も違う二人だからこそ、読書会というか、話して面白いというのもあるんですけども」

 

fee「ごめんなさいw ちなみに残響さんのハズレ作品は?」

 

残響「まず、『二度と見えない』。それから、よくわからなかったのが『ぬいとり』。【こんなもんか】、って落胆的に思ったのが『空飛ぶ機械』。この辺りですね」

 

fee「なるほどw 僕、この三つはどれもB評価ですね。嫌いじゃないです。大好きというわけでもないですが……さて、そろそろ作品個別の話をしていきたいと思います……どの作品から行きますか?」

 

残響「どうしましょう(ノープラン)」

 

fee「あ、一番最初に。『荒野』という作品なんですが、これ、実は 『火星年代記』にも *1 後から収録されたんです。もし残響さんが『火星年代記』を今後読んで、またこうやってお話しする機会があるなら、【『火星年代記』読書会】の際に触れた方が面白い気もするんですが……」

 

残響「そうですね……お約束はできませんが、『火星年代記』は読みたいと思っているんです。連作短編集であり、feeさんがブラッドベリのマスターピースとしておられますし」

 

fee「おっ、それは楽しみだなぁ! じゃあ今回は『荒野』は飛ばしましょう。残りの21編について、語っていきたいと思います」

 

残響「はい」

 

fee「で、順番ですが……じゃあ残響さんのハズレ作品『二度と見えない』から行きますか?」

 

残響「そこから行くんだw」

 

fee「だって、短い作品だし、残響さんあまり好きじゃないって言うし、僕もそんなに語る事はないので、手始めにいいかなって」

 

残響「わかりました。じゃあ、【『太陽の黄金の林檎』読書会】第1作目『二度と見えない』、行きましょう

 

 

*1  1950年に出版された『火星年代記』は、1997年に改訂版が刊行された。1950年版とは収録作品が微妙に異なっている。『荒野』は1950年の『火星年代記』には収録されていなかったが、1997年版『火星年代記』には収録された。(fee)

 

エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」第7回 おたより編2

  • 2016.12.07 Wednesday
  • 21:35

前回(2016/11/6)に公開した「エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」第6回 おたより編」で、dovさんからの当対談ブログに対するおたよりをご紹介し、それに基づく形でfeeさんと残響は対談を行いました。

その後、dovさんからご感想メールを頂きました。

今回は、dovさんと残響との間で返信をし合ったメール(の一部)をご紹介します。

(なお、dovさんはfeeさんともメールを交わしておりますが、少々私的に込み入った話ですので、割愛させて頂ました)

 

今回の記事で、残響がdovさんとのやり取りをご紹介したいのは、主に「だらだらイチャイチャ」「ダウナーイチャラブ」についてです。

この、グダグダ極まりない新時代のイチャラブについて、残響とまた違ったタイプのイチャラバー・dovさんのご意見を聞きながら、認識を深めたい、という考えあってです。

 

残響の認識では、従来イチャラブゲーは、ジャンル領域として、テンション高めのギャグゲー・抜きゲーと近しい、と思っていました。

イチャラブライターとして、保住圭や早瀬ゆう、という人材が煌めきを放っていたから、とも言えます。言わば「陽」のイチャラブ。

それに対するアンチテーゼ、として、地味ではあるけども、しかし静かに染み入るような「陰」のイチャラブは?

と、dovさんのメールを頂きながら考えるようになりました。

 

もともと、この「ダウナーイチャラブ」の概念自体、保住圭がどこかで(たぶんTwitterだと思うけど探しきれなかった)「こんなんどうだろうか?」と提唱していて、そのあまりにやる気のない主人公&ヒロイン造形に、「これは新時代の黎明かもしれん……!」と残響がひとりで勝手に妄想&萌えていたものでした。

それから年月は経ちましたが、最近、百合の界隈で「グダグダ百合」とでも言うべきシチュが多くなってきました。

前回の記事でも、社会人百合の一部として、「夫婦もの、所帯もの」というように紹介したのがそれです。

例えば、『ガールズ&パンツァー』の二次創作SSとして、「ぐだぐだプラウダ」という作品があるのですが、この作品において重要なのは、

(1)濃厚な百合関係が当たり前のように前提となっている世界

(2)しかしキャラ全員にやる気がない、ゆるいアトモスフィア

(3)そのくせやるこたぁしっかりやっている

……というふうに、テンションが常時低く、しかし奥底にある熱いラブ度はほとばしっている、ということです。これが最近、残響は大変オイシい!

 

……という経緯があり、ぼく残響はdovさんと語り合うことになったのですが……しかしさすがに識者の意見は違った。dovさんは豊富な知見から、このサブジャンルの歴史的経緯を語ってくださったのでした……。

 

(dovさんには、今回のメールを記事に転載させていただく旨、御了解を頂いてあります)

 

残響

 

 


11/12 dovさんからのご感想メール(抜粋)

 

逆にfeeさんの、

 

>義妹って、子供の頃から同棲している幼馴染みたいな感じでしょ?

 

は、自分はどちらかといえば残響さんに近い立場かもしれません
気心の知れた年下の可愛い女の子とイチャイチャするのって最高ですやん!(『だらだらイチャイチャ』でも良し)
ただ「幼馴染」「兄妹」と一口に言っても関係は色々ありますし、一番身近だと思っていた義妹と向かい合ってみれば色々と発見があった、というお話もそれはそれで自分は好みです。


 

11/17 dovさんへの残響の返信メール(抜粋)

 

dovさんへ

 

こちらこそレスが遅くなりましてすいません、残響です。
ご丁寧にありがとうございました。

 

>「だらだらイチャイチャ」

 

別名この「ダウナーいちゃラブ」とも呼ぶべきシチュは、新時代のいちゃラブと思ってはいるのですが、なかなか現れず……というのも、

 

(1)ヒロインの造形が難しい。
(2)主人公の造形も難しい
(3)「だらだらイチャイチャ」という行為そのもので「読ませる」というのは高難度

 

 例えば、「ましろ色シンフォニー」の義妹ルートですが、非常に味のあるダウナー系のカワイイキャラ。ですが何をトチ狂ったか、義妹ルートでは「別にええやん!」とこっちがツッコミたくなるくらいの、ウジウジ近親相姦テーマ話……。そのあたりをdovさんもえろすけ一言感想で書かれていますね。

 

>「桜乃シナリオはイ ベントが全て茶番で評価に値しない。こんなに酷いシナリオも珍しい。」

 

まさにその通りです。

 

「だらだらイチャイチャ」は、最初から「だらだら」なので、
(a)プロットのダイナミクスもない
(b)感情のダイナミクスもない
という、最初から盛り上がらないこと確定の茨の道。

 

トノイケダイスケ?
たしかに、あのライターは本対談でも取り上げましたが、「静」のいちゃラブを書く技量のライターです。
ですが、「だらだら」とはやはり違う……。
難しいですね。

この「だらだらイチャイチャ」と正反対にあるのが、このラブラブルのライター、早瀬ゆうであります。
それはもう説明不要ですねw

だらだらしつつ、詩情をどこかたたえた、繊細で静かないちゃラブ。
……例えば、
porori氏(夜のひつじ)はそれに近いところまでいっているのですが、何分同人短編エロゲ。もっと尺を!尺を!というわがままがこちらにありマスナー。

 

 

 

11/17 dovさんからの返信メール(抜粋)

 

 

>「ダウナーいちゃラブ」


これは残響さんと私の見解がかなり異なるようなので、ちょっと語ります

そういうゲーム、私は結構あると思ってるんですよね
例えば『夏めろ』のつぐみ(実妹)は、自分にとってほぼパーフェクトに「だらだらしつつ、詩情をどこかたたえた、繊細で静かないちゃラブ」でした
ライターさんの筆力もトノイケダイスケに負けてません
Love Sweets』の伊織(実妹)、『キミへ贈る、ソラの花』の杏(この子は義妹&通い妻)も同様のシナリオだと思っています
それから……『恋×シンアイ彼女』の菜子は攻略こそできませんでしたが、彼女と洸太郎のやり取りは静謐な音楽もあり、胸がキュンキュンしました。残響さんもしませんでした?

ただ、確かに残響さんが仰る通り、この手のシナリオはどれも尺が短いですね……

 

 

 

11/20 dovさんへの残響の返信メール(抜粋)

 

>「ダウナーいちゃラブ」

 

これはぼくの見識の薄さ甘さでした……!不勉強を恥じるばかりです。
というか、たぶんですけど、同じいちゃラブ好きといっても、ぼくとdovさんとでプレイ傾向が違うように見受けられるのですね……。
dovさんは「いちゃラブ(萌え)も、シナリオも、両方味わい深いもの」を求めておられるようにぼくには見受けられ(勝手な推量ですが)、

ぼくは、えろすけサマリー(近況報告)にも書いてあるように、「B級」「バカゲー寄り」「テンション高め」のいちゃラブゲーを好む傾向があるみたいです。「それでなくては認めん!」という狭量さではない(つもり)ですが、傾向はあるかもしれません。

また勝手な推量ですが、だからこそdovさんは、この対談ブログ(シナリオゲー×いちゃラブゲー)にご興味を示してくださったのかな、と思っております。

 

>恋カケ・洸太郎と菜子の國見兄妹

 

ああ、あの独特の距離感はいいですねぇ。……とはいいつつも、ぼくは菜子を「攻略対象」としては見られなかったのです。
魅力がない、というわけではなく、「攻略対象としては見られない」。
ある種のリアリズム距離感があったというか……。うまく言えない。
不可侵というわけではないですが、でも「ぼくは、手を出す対象には見られなかった」ということです。
何でだろう……? ちょっと考えさせてください。

エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」第6回 おたより編

  • 2016.11.06 Sunday
  • 19:41

9月の終わり(花穂回の前)に、エロゲー批評空間でレビューを書いておられる「dovさん」から、feeと残響にメールを頂きました。

以下がその内容(おたより)です。今回のラブラブル対談第6回目は「おたより紹介、Q&A」と題しまして、dovさんからの鋭いご指摘に対して、feeと残響が語ったものとなります。

 

 

残響さん、feeさん、こんばんは
いつも楽しく拝見しております。dovと申します
お二人の対談を見て謎のパッションが沸き上がり、その赴くままメールしてしまいました
深夜書いたラブレター状態なのは許してー


さてさて、お二人の対談はいよいよ真のメインヒロイン(起動アイコン担当)の花穂ちゃん回へ差し掛かっています
この花穂ちゃんについて、お二人にどーしても訊きたい! インタビューしたい! ついでにちょっと私も語りたいことがあってメールいたしました
訊きたいこととはズバリ、


花穂ちゃんのシナリオって、お二人が以前対談されていた「糞シリアス」じゃないですか?(実妹厨的意見)


いや花穂ちゃん可愛いんですよ! わたし花穂ちゃん本人にはなーんの不満も持ってません! そこんところは誤解しないで下さい!
ただシナリオがね……うん……実妹厨の私としては「えー」って思っちゃったんです
お話が花穂ちゃんの可愛さを邪魔してるなーって感じちゃったという
これはラブラブルの発売時期が(実妹厨的には)良くなかったってこともあるとは思うんですけれども……


↓WARNING! ここから実妹厨の語りが入ります↓

ラブラブルって2011年2月発売だったじゃないですか。この時期って実妹厨的にはテンション下がる時期だったんですよ
もしかすると残響さんはそーいう実妹厨の阿鼻叫喚を横目で見てたかもしれないですけど、実妹厨がどういうキモチでこの作品を迎えたかちょっと語らせて下さい
大昔にはWith You(後に『ヨスガノソラ』を生み出す高橋タカシ氏の処女作)の乃絵美とか久遠寺明日香とか今関凛子とかもいましたけれど
2004年の実妹解禁以後、「実妹」って属性はどちらかと言えばシナリオ厨向け・ニッチな方向性で細々とやってたと思うんです
お二人が語った『さくらむすび』(2005年)も(もちろん残響さんが仰る通り『萌え』作品でもありましたが)シナリオの充実した作品でした
DUEL SAVIOR JUSTICE』(2005年)は現在の意味でのキモウトの始祖・当真未亜を生み出しました
その他実妹属性は『鎖 -クサリ-』(2005年)、『Clover Point』(2007年)といった骨太なシナリオを持つ作品を生みましたが
こうした時期の作品は「実妹と恋愛する」という禁忌と真摯に向かい合ってたと思うんです
現実では許されないことをしてしまう、その一線を踏み越える覚悟(狂うなり目を背けるなり、『さくらむすび』みたいに悩み抜くなり)
そこを描くことで実妹キャラは良質のシナリオに恵まれてきたと思うんですけど、この風潮が段々変わってくるんですね
最初の変化は、たぶん『あかね色に染まる坂』(2007年,2008年アニメ化)だったと思います
同ゲームの妹・長瀬湊は媒体によって実妹だったり義妹だったりしてシュレディンガーの妹状態でしたが
実妹(の可能性があるキャラ)が遂にテレビアニメデビューを果たしてしまった、という点はその後の実妹ブームへ繋がる橋頭堡になった気がします
その後は一気に……といいますか、2010年が決定的な分水嶺になったという点ではおそらく異論が殆どないと思うんですけれども
この年は『ヨスガノソラ』(エロゲは2008年)、ラノベ業界から『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』がアニメ化して、実妹が一気にメジャー化しました
ただこうしたメジャー化はシナリオの質的変換も伴うわけで、それ以降の「実妹」ってもう禁忌でも何でも無くなっちゃったんですね
(古くからの幼馴染ファンやツンデレファンの方は、この辺の流れをよくご承知かと思います)
エロゲ業界でいうと、feeさんもプレイされている『黄昏のシンセミア』(2010年)を最後の打ち上げ花火として、近親相姦禁忌を扱うエロゲはほぼ絶滅した感があります
代わりに台頭したのが近親相姦禁忌を無視するか極めて非現実的に扱うエロゲで……いやこうしたジャンルは『やっぱり妹がすきっ!』(2006年)のように昔からあって
それはそれで自分も嫌いじゃないんですが、2011年以降は「それだけになった」。しかも「売れるからとりあえず実妹にしとけ」みたいな雑な扱いが増えたように感じます
特に2011年〜2013年辺りは「とりあえず実妹」がメジャーレーベルまで侵蝕して、そうした風潮が吹き荒れたように感じます

↑実妹厨の語りここまで↑


こうした流れの中で生まれた花穂ちゃんのシナリオを眺めると、近親相姦を公衆の面前でカミングアウトという非現実的展開にどーしても付いていけなくなってしまう
何でこんな雑な片付け方をするんだ! こんな終わらせ方なら花穂ちゃん義妹で良かったじゃん! 義妹となら結婚できるし!
単にイチャイチャしたいんなら「実妹」って設定むしろ邪魔だよ! これじゃ花穂ちゃんと籍入れられないよ! 社会生活を送るのも大変だよ! 子供はまず作れないよ!
花穂ちゃんを実妹にしたのって、俺妹ブームとかがあって単に「売れる」からだったんじゃないの! こんなの絶対おかしいよ! そんなのあたしが許さない!
……みたいな被害者めいた陶酔(半目状態)に至ってしまい、実妹厨的には素直に楽しめなくなっちゃったんです
確かに花穂ちゃんのシナリオは、読んでいてそれほど苦しくなるようなシーンはありません
でも不必要な(と私が考える)「実妹」という設定がイチャラブに水を注している。これって「糞シリアス」じゃないのと思った次第です
花穂ちゃん自体は可愛いのが余計もったいない!


私のこういう問題意識って、エロゲプレイヤー独特の「こだわり」(『こだわり』って元々悪い意味の言葉ですけど、そういう悪い意味での)なんだと思います
例えばfeeさんは「千夏以外の四人なら僕は喜んで付き合う」って明言してますが、これは「僕は実の妹と喜んで付き合う」という意味を含まないだろうと推測します
feeさんにとって花穂とは「年下の、気心の知れた、同居している、可愛い女の子」でしかなく、「実妹」であることはあくまでフレーバーなのだろうと
勝手に忖度しますけど、feeさんは『さくらむすび』的な状況に耐えてまで花穂と付き合う覚悟なんてさらさらないと思います
私は「そこまで覚悟して実の妹と付き合えますか?」とか考えちゃうんですが、それはfeeさんが「現実に千夏みたいな地雷女と付き合えますか?」と仰る意識に近いんでしょう
大半のプレイヤーにとって、「花穂が実妹」であることは「花穂が中学生(18歳以上)」であるのと同じくらいファンタジー設定なのかなーって
わたし、エロゲがプレイできるお年頃になった今、リアル女子中学生・女子高校生(18歳未満)とはお付き合いできません。お二人もきっとそうですよね?(にっこり


――と、大変長くなってしまいましたが、この辺の問題意識について「ア、ハイ。アナタはそうなんですね」以外に何か思うところがあったら聞かせて欲しいなーって思いました
ぶしつけ極まりない内容ですが、話のタネにでも使っていただければ幸いです


PS:
feeさんへ
「(千夏シナリオは)恋愛というよりも、おままごとかなって」「ヒロインをいじめたい」と仰ってるのを見てnarcissuを書いた片岡とも氏の作品『そらいろ』のつばめルートをやると願望が叶うかもなぁ、と思いました

千夏みたいな子を親・つらい労働・妊娠などのゲ・ン・ジ・ツ♪がいじめ抜く話らしいです(未プレイ)


残響さんへ
姫さま凛々しく!』をオススメしたいなーと思いました
こみパやONE時代の雰囲気を残した昔懐かしい作品で、アティリーン(性的な意味でもお世話してくれるメイドさん)・マナフィーゼ(ちっちゃな実姉)という姉キャラがいます
百合要素もあります。DMMで10月19日(水)23時59分までセール中でして、1500円と非常にお安いです
エロゲの好みってとっても難しいと思いますし、こちらも残響さんオススメの『幼馴染の心が読めたらどうするか?』をやってないんで、とりあえず言ってみるだけです

 

1

 

fee「まず最初に確認したいんですが、残響さんって兄弟はいますか?」

 

残響「生粋の一人っ子です」

 

fee「実は僕も一人っ子です。なので……dovさんに妹がいるかどうかはお聞きしていないので解らないんですけど、妹がいるエロゲーマーと妹がいないエロゲーマーで、認識が違う可能性はあるんです」

 

残響「あぁ……なるほど……。妹がいるエロゲーマーにとっては、実妹設定はリアルかもしれないけど、妹がいないエロゲーマーにとってはどこまでいってもファンタジーという……。まあ、それに関わる話ですが、自分の【シリアス苦手】の一要因に、リアルさ、リアル属性の一部が、非常に自分にとってキツい、っていうのはありますね。最近『聲の形』って映画あったじゃないですか」

 

fee「残響さん絶対ダメそうですねアレw 僕は見てきましたけど、すごく良かったです!」

 

残響「絶対ダメですよ! 完全に先入観ですが、人間のイヤらしいゲス根性を描くというか、集団の暴力が陰湿とか、過去のトラウマがー、とかって、ぼくの嫌いなモンばっかじゃねえか」

 

fee「んー、どちらかと言うと、人間それぞれが嫌なところやダメなところを抱えていて、それでも人間が愛おしいみたいな話なんですけどね……いい青春ストーリーだと思いました。まあ無理には薦めませんけども」

 

残響「自分にとっては、その手のリアリティっていうのはキツい。共感性羞恥、って最近話題に出ましたけど、それも含めて。【ファンタジーだと気にならない】けど【リアルだと過度に気になる】っていうのはある」

 

fee「リアル視点で考えると気になるけど、ファンタジーだと思えば気にならない。dovさんは実妹設定を見るとリアル視点で考えちゃうけど、僕らはファンタジー視点で読んでいるので気にならないってことですよね。dovさんのお便りを読んでいくと、まずdovさんは近親相姦禁忌がきちんと描かれているかどうか、についてこだわりがあるみたいですね」

 

残響「そういう話が好きなんじゃないかなぁ。というか、ぼくは半ば確信してるのですが、近親相姦のダーク面があるからこそ、こういう物語が【オイシイ!】的にdovさんは思ってらっしゃるのではないかと」

 

fee「ここで難しいのは、僕自身はあまり近親相姦禁忌の話が好きではないということで……」

 

残響「実はぼくもそうですw ヒシヒシと迫りくるような圧迫感、神経が張り詰める状況というのは好きじゃない」

 

fee「ただ、実妹だって言ってるのに、周囲が祝福しまくってて違和感がある、嘘くさい! リアリティがない!みたいな反応は解らなくはないですね」

 

残響「ふーむ。確かにそういうエロゲはありますからね……というかdovさんが仰っているように最近増えている気がします」

 

fee「ただなぁ……ちなみにこれは義妹ファンの人に怒られそうだけど……気分を害したらごめんなさいね。僕、義妹ってあんまり興味ないんですよね……」

 

残響「ぶっちゃけたww」

 

fee「義妹って、子供の頃から同棲している幼馴染みたいな感じでしょ? ずっと一緒に暮らしてきてお互いのあらゆるところを知っている……まぁあの、老夫婦みたいなもんでしょ? 恋愛って付き合い始めのときめきみたいなのが楽しいと思っちゃう人なんで、あまり興奮しないっていうか」

 

残響「ぼくは逆で、長年付き合ってお互いを知り尽くし、関係を熟成していった先に生じる萌えみたいなものがすごく好きなんですが……百合でも社会人百合の一部に【夫婦もの、所帯もの】みたいなのがあって、倦怠感を漂わせたり、惰性感があるようで、それでもお互いをグダグダの中でも愛し合う熟成感の果てに、奇妙な萌えが……って、まーた百合の話になってるよコイツw」

 

fee「うーん。僕はあまり……あ、義妹と言っても、物語開始直後に親が再婚したとか、生まれてからずっと離れ離れになっていて1年前に再会した義妹とかは全然アリです」

 

残響「ですよね。そこには【長年の連れ添い】はない」

 

fee「それと、義妹はあまり興味ないと言っておきながら、『夜明け前より瑠璃色な』に出てくる朝霧麻衣ちゃんは超かわいかったので、やっぱりキャラによりますね。で、ですね。抜きゲー的な話になるんですが……実妹と言われるとそれだけで、僕は<あっ、いいのかな?>的な感じで、インスタントに背徳感を得られるというか。
あの、AVの話をして恐縮なんですけど、『女子校生痴漢電車』みたいな作品がありますでしょ? 女優さんが女子校生じゃない事ぐらい解っているし、そもそも本当に痴漢現場を捉えているわけじゃない事ぐらい解っているけれども、そこは気づかない振りをして、【女子校生が痴漢されてる!】と思い込んで興奮するわけです」

 

残響「ありますでしょ、って言われても知らんがなw(相変わらずぶっちゃけるなこのひと……)」

 

fee「実妹というのもそれと同じで、実妹って思うだけで背徳感が出て興奮するけど義妹にはそれは感じないんで……義妹ファンに喧嘩を売る気はないし、義妹キャラがいて全然いいけど、僕自身は実妹キャラの方が好きです」

 

残響「なるほど」

 

fee「で、ですね。dovさんは、実妹を出すなら近親相姦禁忌の話をしろという事を書いているわけですが……どうなんですかね? 近親相姦禁忌の話が、僕はなぜ好きじゃないかというと、花穂の記事でも書いたんですが、2人の恋愛について他人が口を出す展開が嫌いだからです」

 

残響「あー、やっぱりそこですか。まあ考えれば、ドンズバのそれですよね、このシチュエーションは。他人口出しの」

 

fee「dovさんの挙げている『黄昏のシンセミア』がうまかったのは、口を出す相手が、普段は良い人で主人公達の面倒をずっと見てきた親代わりの叔母さんだったんですね。この人には本当に恩があるので、それぐらい口を出す資格はあるだろうと思って、特に嫌な気にはならなかったんですが、どうでもいい世間体で<お前ら兄妹なのにオエー>みたいな事を言われても、ハァ?っていうか」

 

残響「近親相姦禁忌の話があっても良いとは思うけど、実妹ヒロインを出したら近親相姦を書かなきゃいけないというのは違う気はしますね。花穂の記事でも言ったんですけど、花穂の父母が『同棲ラブラブル』花穂ルートの最後の最後で出てくるんですね。兄妹の母親は<まあ普通よね>という感じでスルー、父親は<えええっ!なんで主人公お前なんじゃーっ!>って感じで激高しますが、父親は<近親相姦だからアカン>とは言わないんですね。父親は花穂を贔屓してるので、【主人公みたいな野郎がなんでやねん】という貶しネタなんですけど。ただ、これもどこまで近親相姦をタブー視してるかは判然としなく、ラストになって父親が主人公を一発ケジメとして殴るのですが、それも【近親相姦がいかん】っていう断定でもなく、むしろ感じとしては……【この先兄妹でそうして一生生きていくことは大変なことなんだぞ】っていう感じのケジメのつけかたですね……」
 

fee「大体、実妹ヒロインを出すたびに近親相姦禁忌の話をしだしたら、もう実妹ってだけで話の先が読めちゃうじゃないですか。昔、ロボッ娘ヒロインが少しだけいたんですけど、僕が読んだロボッ娘ヒロインの話って、必ずロボッ娘の調子が悪くなって壊れちゃうという。もう、ヒロインを見ただけで話の展開が読めちゃってつまんなかったです。だから僕も、あってもいいけど、必須ではないという立場ですね」

 

残響「なるほど。テンプレの問題かー」

 

fee「もちろん『さくらむすび』ぐらいガッツリやってくれるなら良いんですけど、力のあるライターさんがやらないと、大体酷い事になるかなっていう」

 

残響「異論はありません」

 

fee「ただ、dovさんは

 

>>いやこうしたジャンルは『やっぱり妹がすきっ!』(2006年)のように昔からあってそれはそれで自分も嫌いじゃないんです

が、2011年以降は「それだけになった」。

 

とも仰っていますね。つまり、【それだけになった】のが問題というふうにも読めます……というか、多分そっちが言いたかったんじゃないかなと。 本当に【それだけ】になったのか、実はdovさんや僕が知らないだけでどこかにあるんじゃないか……という話はひとまずおいといて、【それだけ】になったのだとしたらやはり問題だとは思います」

 

残響「そうですね。実妹を使うなら近親相姦禁忌の話にしろ、も嫌ですが、近親相姦禁忌の話をなくせ、も嫌ですね」

 

fee「僕も全く同じです。つまりdovさんは『ラブラブル』単体で怒ってるんじゃなくて、『あかね色に染まる坂』からの流れでダメージを受け続けて、『ラブラブル』に至って「またかよ!」という事なんじゃないでしょうか。だとするならばdovさんが怒っちゃう気持ちは解ります。一方で、『ラブラブル』単体の評価で考えるなら、今までの流れでdovさんがダメージを受けた事は、言い方は悪いですが、まぁ『ラブラブル』単体の責任ではないわけで、今までの流れを『ラブラブル』の感想にぶつけられても困るよ、とも言えます」

 

残響「まあ『あかね色に染まる坂』が分水嶺で、『ラブラブル』は【その後の流れ】ではありますからね。【その後の流れ】の中でも強烈なブツだった、というのも事実ですが」

 

fee「これは僕の処女厨云々と同じじゃないかな。こないだ話題に出た『DRACU-RIOT!』で言いますと、作品単体で見れば<不自然っぽい処女だなー>で終わりなんですけど、萌えゲーのフォーマットにおいて処女キャラが絶滅していて、しかも一部の過激派処女厨が暴れているという流れで見てしまうと、<ゆずソフトはこじらせた人の意見を聞いちゃうメーカーなのかな?>とか、【作品の質よりもユーザーへの媚び】を優先したかな、みたいな気持ちが生まれて僕みたいな人は萎えるという。でもそれを『DRACU-RIOT!』単体の作品評価にしていいのかどうか、というのは難しいところですね。でもそう思っちゃう気持ちも解るんだなぁ」

 

残響「前の記事での、【処女厨見ないでね】看板の有用性がやっとわかってきましたw 見るひとは見るんだなぁ

 

fee「自分の事を批判されたら怒る気持ちは理解できるんですけど、そういう不幸な事故を防ぐための注意書きなわけで、だから読むなと書いたのに……ってところです。日本語で書かれた注意書きが読めない人を読者として想定はしていないし、単に処女が好きなだけの人までは非難しないように、慎重に考えて書いてもいます。実際、単なる個人の好みを攻撃する意図はありませんから。そこまで気を遣ってもあぁいう反応が来るというのは、改めて怖いなぁって思うし、本来それじゃいけないとは思いますが製作者だって人間ですから。そんな人たちが大挙して押し寄せてきたら、ビビっちゃってもおかしくはないかな。実際ビビってるかどうかは知りませんけど」

 

残響「関係ないかもですけど、百合の議論で、明らかに百合作品の話をしているのに、<男を出さないのはダメだ>とか言い出す人がいて、ぼくはそういう人は嫌ですね。<ち●こを出せ、そうすればこの百合ゲーはエロゲとして深まるのだ!>とか、<エロゲなんだからち●こを出すのが普通!>とか。大抵百合ゲーの話をしていると、そういう確信犯が一人は出てきて場を荒らすのがテンプレだったりします」

 

fee「それは酷いですね。いや、僕もこないだ『報復の女装痴漢』ってゲームをやったんですよ。で、思ったんです。僕は【報復されるようなクソ女】に報復痴漢したいんじゃなくて、無垢で何も悪い事をしていないかわいい子を痴漢したいんだってw でもタイトルが報復の〜ってあるのに、そこを叩くのはおかしいよなぁと思ってw」

 

残響「……またすごいものをなさってますねw しかし批判の筋は正しい」

 

fee「僕はレズが好きなんですけど、これは実妹設定への背徳に近いかもしれません。差別意識とかではないつもりなんですが、厳密に突き詰めて考えれば差別意識なのかな? 本来的に女性同士でHをするのはあまり……というのがあって、にも関わらず、同性同士のHで感じてしまう女の子、ダメなのに……と思っても……みたいな、そういう背徳というか。そういうのに興奮するんですw」

 

残響「あ、少しだけ解る気がします。自分にもそういうところは少しだけあって、でもハッキリとはしていないので、もう少し考えてみたいなこれは(真剣になる)」

 

fee「女装なのでレズではないんですが、被害者のヒロインは女装主人公の事を女性だと思っているなら、僕の興奮には何の問題もないわけですw 痴漢モノは元々大好きですし、いいじゃんと思ったんですが……前述のヒロインの人格はともかくとして、Hシーンのテキストが短かったり、ヒロインの声優さんの演技が微妙だったり、妙に難易度が高かったりで、あんまり良いゲームではなかったですね。クソゲーではないけど、もっと上を目指せたのになぁ」

 

残響「熱いですねw こんなに熱く語るとは思わなかったw」

 

fee「いやいや、というかdovさんのお便りからズレてるw 話を戻します」

 

fee「今までの流れで、近親相姦禁忌がない実妹ゲーばかりをやってきて、今回もまた近親相姦禁忌がない実妹ゲーをやってしまったdovさん。いい加減にしろよ、という気持ち自体は解ります。ただ、それと並列して書かれている実妹設定が邪魔という方は、僕はそうは思わなかったというところでしょうか。実妹設定があっても、僕は別にイチャラブに水を差されないので」

 

残響「ぼくも差されないですね」

 

fee「そもそも、現実の近親相姦について考えてみますと、僕らの感覚は割と緩いですよね」

 

残響「そうですね。近親相姦と言ったって、他人の事ですし、目くじら立てるのも……」

 

fee「まぁ、自分の親友が実は妹とHしてるって聞いたらびっくりするかもしれませんし、やめといたら?ぐらいは言うかもしれませんけど、無理に引き離したりとか、白い目で見ることはないと思います。実際にそういう経験はないんで、保証はできませんがw」

 

残響「ぼくもそうですね。<やめといたら?>も言わないかもしれません。ぼくの基本的な考えに、【自分が何を言ってもどうせ他人は考えを変えないだろう】という諦めがあり、【どうせ人のこと】ですので、そういう無駄な事は言いたくないんです……人が人を変えようと考えて、実際に口に出したり行動するのは傲慢ですよ(だからこその【人が人を変えた】という事実が奇跡的な希少性の輝きなのであって)」

 

fee「オトナだなぁ……僕はついつい言っちゃう方なので良くない。でもそもそも近親相姦がいけないのって、文化の問題でしょ?」

 

残響「ですね。文化の問題と言っちゃっても良い。生物学的な問題もありますけど」

 

fee「障害を持った子供が生まれる率が高いというやつですよね。でも、それはHしなければ問題ないわけだし、避妊していれば問題ないわけだし、無責任かもですが、結果的に障害を持った子が生まれなければ問題はないわけですよね」

 

残響「やっぱり我々はすこぶる緩いですねw dovさんは実妹についてこんなに真面目に考えているのに」

 

fee「僕たちは非常識人ですからね。世間体にある程度左右されるところはあっても、内心では世間体なんてクソだろって思っちゃってるし。だから、本人達がOKなのに世間体が許さない、みたいな近親相姦禁忌の話はあまり好まない。冷静に考えれば中出しはやめた方がいいかなとは思いますが、それはまぁ学生ヒロイン相手の中出しはみんなやめた方がいいですからw dovさんは常識人なのかな? この辺も聞いてみないとわからないですね」

 

 

2

 

fee「それとは別に、dovさんの

 

>>わたし、エロゲがプレイできるお年頃になった今、リアル女子中学生・女子高校生(18歳未満)とはお付き合いできません。

お二人もきっとそうですよね?(にっこり)」

 

についても触れたいんですが。残響さんはどうですか?」

 

残響「まぁさすがに、そう(付き合えない)ですねぇ……」

 

fee「僕もそうですけど、ただ何で付き合えないのかということについては考える必要がありますね。大きく分けると3つぐらい理由があって、(1)そもそも女子中高生との出会いがない。(2)ロリコンではないので、さすがに女子中高生は精神的に子供っぽすぎて、付き合う気にならない。(3)18歳未満とHすると捕まっちゃうかもしれないから付き合えない。と、こんな感じかな?」

 

残響「おぉ、なるほど。わかりやすい。」

 

fee「(1)はまぁおいときましょ。出会いがあったと仮定してです。(2)なんですけど、どうですか?」

 

残響「さすがに難しくないですかね、やっぱり」

 

fee「僕も難しいと思います。が、これは年齢イメージで語ってますよね」

 

残響「いきなりリアル女子中高生って言われても……という」

 

fee「そうです。頭の中で思い浮かべた女子中高生は、大人になった私たちからすると幼い感じの印象なので、付き合うのは難しいかなって思う。でも、近所にすっごくかわいいしっかりした女子高生がいて、大人顔負けの知性と理性を持っていてフィーリングも合って、自分の事を慕ってくれるなんていう夢物語みたいなことがあったら……本当に恋しないって言えますか?っていう話で」

 

残響「……うーん……」

 

fee「だから、頭で考えた恋愛と実際の恋愛は違うわけですよ。理想の恋人像と現実の恋人が違うように。さて、ここまでが前フリなんですが、dovさんが言いたいのは文脈を考えれば(3)の話ですよね」

 

残響「んーと……あ、そういうことかぁ……これはぼくとdovさんは全く立ち位置が違うんだなぁ」

 

fee「そのお話もお聞きしますが……僕の方から言いますと、まぁこれはそうよねとは思います。面倒くさいのやだもんねっていう。でも一方で、中学生はさすがに無理だけど、高3とかなら付き合い始めちゃって、1年経って19歳になってからHすればいいわけでしょ? 別に問題ないじゃんとも思う」

 

残響「ぶっちゃけるなぁww」

 

fee「まぁこれはdovさんの例が微妙で、ペナルティがもっとずっとキツければまた話は変わってきます。18歳未満と手を繋いだだけで死刑とかw さすがにそれは付き合えないです……が、これも解らないですよ。頭ではそう思っていても、本当にものすっごい理想の女子高生が現れて、いざそういう状況になったら、そういう理性がきちんと働くかは解らない。まぁさすがに死刑なら無理かな、僕はチキンだからw」

 

残響「はいw」

 

fee「dovさんも

 

>>勝手に忖度しますけど、feeさんは『さくらむすび』的な状況に耐えてまで花穂と付き合う覚悟なんてさらさらないと思います

 

と仰っていて全くもってその通りなんですが……。たとえば僕は『Fate』の桜ちゃんが好きですし、可愛いなぁ付き合いたいなぁとか思いますけど。衛宮士郎になって、よくわからないバケモノと戦ったりするのはご免ですよ。そこまでしないと桜ちゃんと付き合えないなら、そりゃ付き合えません。この調子で行くとバトル系のエロゲヒロインとは全員付き合えませんね」

 

残響「それはもちろんw」

 

fee「だからまぁ、<リアルにいたら軽々しく付き合いたい〜なんて言うな>というお話なら、はいごめんなさい、で済むと思うしそこは僕の表現に問題があったかなとは思いますが。dovさんも仰ってるように、<キャラを見て可愛いなぁ〜付き合いたいな〜>なんて言うときには、リアルの自分とかはあまり考えませんね。僕は物語の中に没入したい方なので、リアルの自分なんかを一々考えていたらそれこそ水差されというか……dovさんは実妹というワードを見ると、リアルに意識が向かっちゃうのか、それとも普段からリアルの自分を意識しながらプレイなさっているのかはお聞きしないとわからないのですが、もし普段からリアルの自分を意識なさっているとしたら、学園モノのエロゲとか無理なんじゃないでしょうか。ご本人も

 

>>お付き合いできません

 

って言ってるし……」

 

残響「そうなっちゃいますよね……じゃあ、参考事例としてぼくの話をしてもいいですか?」

 

fee「ごめんなさい、どうぞw」

 

残響「ぼくはfeeさんともちょっと違って。ぼくなんて、【自分にとっての恋愛】はそれ自体がファンタジーだと思っていますからねw 自分には縁のないものだと思ってます。ミステリで殺人事件があっても、リアルの殺人事件には縁を持ちたくないでしょう? そんな感じです。そもそも、主人公になりたいとかも全く思わないので。ぼくは主人公とヒロインがイチャイチャしているのを、近くで見ていたい、観測していたいと思っているのでw」

 

fee「あー、自分にはできないと考えて恋愛を諦めてらっしゃるのかと思ってたけど、そもそも恋愛をしたくないのか」

 

残響「あははw これが本音なのだから困る。まあ、だからこそファンタジー(恋愛)とか、【奇跡的にこの世にもええ話がある希少性】みたいなのに心が動かされるんでしょうね……なので、ここはぼくとfeeさんとでは違いますね」

 

fee「なるほどなぁ。……dovさんが自身で仰っているように、

 

>>ア、ハイ、あなたはそうなんですね

 

っていうのはまぁそうなんですが……そういう他人から見るとよくわからないけど、ふっとリアルに引き戻されて物語への没入が妨げられるワードっていうのは人それぞれありますよね。僕は結構ありまして、千夏編で書いたような事もそうですし、対談記事では言っていない事でもあるんですが……」

 

残響「ぼくもありますね。奈々子編や、今回の対談記事の『聲の形』あたりで書かれていますけど……」

 

fee「そう。だからまぁ、それで無理に自分を正当化して暴れすぎたりしなければ、別に問題ないんじゃないですかね。誰にだってありますよ、他人からは解らないけど自分的には萎えちゃうウィークポイントって」


fee「こんな感じでdovさんのお便りを紹介して好き勝手に語らせていただきましたが、大丈夫かなこれ。dovさんのご意見をクッソミソに叩くみたいな事はしていないので問題ないかなとは思いますが、意思を確かめないで憶測で話している部分はありますからね」

 

残響「まぁ、何かあればまた訂正のお便りをいただけるかもしれませんし、大丈夫だと思いますよ」

 

fee「dovさんの希望に添えたかは解りませんが、色々好き勝手に喋る材料をいただけた……というと言葉が悪いかな。でも本当に嬉しいんですよ。記事を読んで、こういうお便りを下さる方がいるというのは」

 

残響「そうですね。それは本当に思います。コメントを下さった cyokin10wさんもそうですけど、ありがたいことですよね」

 

fee「この場を借りて、本当にありがとうございます!」

 

 

3

 

fee「ところでPSについても少し語った方がいいかな?」

 

残響「そうですね……feeさんへのお薦めは『そらいろ』ですか」

 

fee「これは、申し訳ないけどdovさんは僕の好みを多分勘違いなさっていますね。ちょうどこの記事にも書いたんですけど、僕は嫌いな子がいじめられるのが見たいのではなく、好きな子がいじめられるのが見たいんですよ。好きな子がいじめられるのは、同情と、共感や悲しみと、ふつふつとした黒い感情と、まぁそういった得もしれない感覚があるわけですが、気に入らない子がいじめられても、それは<ざまぁwww>というだけで、悪役をぶっ倒した爽快感と変わらないです。そうして成長していくヒロインを見て、成長物語として高く評価する可能性はありますけど、本音を言えば気に入らないヒロインとはそもそも関わりたくないので、いじめられているのを見たいとも思わないです」

 

残響「千夏は悪役みたいなものなんですねww」

 

fee「いやまぁw なので、『そらいろ』が面白いかどうか、僕に合っているかどうかはまた解らないんですけど、少なくともdovさんの紹介文に関して言うならば、僕向きの紹介文ではないです。残響さんの方はどうですか?」

 

残響「1500円と非常にお安いです、と宣伝されていますねぇ。とりあえずチェックしようかな」

 

fee「残響さん的には、夜のひつじは『幼馴染の心が読めたらどうするか』がイチオシなんですか?」

 

残響「いや、というより、dovさんがぼくのこのゲームのえろすけ感想に投票していただいた、という流れがありまして」

 

fee「なるほど。いや、僕、dovさんの好みをちゃんと掴めていないのであれなんですが、夜のひつじなら『相思相愛ロリータ』(feeの感想)か『彼女、甘い彼女』(feeの感想)あたりがいいんじゃないかなぁと。僕個人としては『義妹ホールと妹ホールド』(feeの感想)も大好きなんですが……ってその辺は今年の正月にブログに書いたんでした」

 

残響「ですね。『幼馴染の心が読めたらどうするか』はあまり評価していらっしゃらなかったですよね」

 

fee「ここで夜のひつじ作品について語り始めてもいいんですが、まぁせっかくブログに書いたので、記事のURLだけ貼らせてくださいw あ、でもネタバレあるんでdovさんは見ちゃダメです」

 

残響「dovさんのお便り紹介対談だったのにそんなオチですかw」

エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」 第5回/全5回(?)

  • 2016.11.03 Thursday
  • 15:28

 

 

ラブラブル〜lover able〜2011.02.25発売予定!

 

 

3

 

 

fee「僕はシナリオに6点をつけているとは言っても、別にそんなに叩きたいわけでもないんですが……残響さんが9点をつけているから、<まぁそこまでじゃないだろ>っていうのはあってw」

 

残響「笑うしかないなぁwww」

 

fee「残響さんから、<トライアスロンには、お祭り騒ぎ的な面白さがある>というお話を聞いて、なるほどと思いました。そういう楽しみ方もあるのか、と。……なんか<トライアスロン要らない話>がしにくくなっちゃいましたねw」

 

残響「はははw しかし立場というか、意見表明は伺いたいです。というかそれしなかったら話が進まないじゃないすか」

 

fee「一応トライアスロンシーンの楽しさはなんとなく理解できたので。それを軽々しく<あれは要らなかった>と言っちゃうのはどうなのかなと思いまして。ただまぁ、プレイ中はトライアスロンシーンで興ざめしていた自分もいるので、予定どおりその辺を話したいと思います」

 

残響「お願いします」

 

fee「何が気に入らなかったか、ということで主に2点。ー膺邑の態度。⊆囲を巻き込みすぎ。この2点です」

 

残響「おっと周囲を巻き込む話だ。どうもこのあたり、千夏編で散々したのに、と突っ込みを入れたいですが、しかしよほどfeeさんはこのパターンがお好きでないとお見受け」

 

fee「そうなんだよなぁ……。で、とにかく、主人公くんなんですが。この人の初登場シーンなんですが、かなり面白かったです。奇人変人の域なんですけど」

 

残響「いやぁ全くその通りです。この主人公がはじめて世に出たとき、ファンコミュの間でもすげえ反応でしたもん。<すげえマジキチだ!>みたいな」

 

fee「痛々しいけど面白いんです。でも、これって……ごめんなさい、主人公くんには申し訳ないんですけど、これはモブキャラの面白さでしょっていうところがあって」

 

残響「うわあ容赦ないw」

 

fee「クラスにこういう奴、一人くらいいると思うんです。お調子者というか、ムードメイカーというか。いじられキャラ的な感じで、<こいつ面白いなw>っていう。ある意味で人気はあるんですけど、あまりモテはしないんだよなっていう」

 

残響「うーん、否定できないゾー」

 

fee「身体を張った汚れギャグをかましたりもして、なんだろう、ちょっとだけ下に見られている。軽く見られているというか。いじめられたりはもちろんしません。実はみんな結構、そいつのこと好きなんですけど、格好いいとかそういう評価じゃない」

 

残響「全くもってモブ、男友達の定義ですな」

 

fee「僕の中での主人公くんはそういう人物像なんです。これが実は……花穂のことを守るためにそういう道化キャラを演じている、という設定があって。その設定がどこまで作品の中で活きているのかは、検証していないんでわからないんですが、一応そういうことになっている。実は格好いい奴ではあるんです」

 

残響「そうですね。感動のシーンじゃないですか」

 

fee「そういう事情を知っちゃったら、基本的に<花穂を選ばなきゃ嘘だろ>っていうのがあるんですけど」

 

残響「ははは、全くそうなんですけどね。だから花穂は『ラブラブル』ではグランドヒロインですよ、結果的に」

 

fee「更に言えば、それが本当なら花穂ルート以外では道化を演じる必要はなさそうなのに、なんで他ルートで他のヒロインとくっついてからもバカをやり続けてるんだって話もあるんですけど……。で、主人公くんは結構態度が大きいんですよね。初対面のクラスメイトにもめちゃくちゃなれなれしかったり」

 

残響「結果論ですが、あそこでキョドる主人公って全く想像出来ないなぁ」

 

fee「花穂ルートでは、花穂が主人公を思ってスピーチするところはいいんですよ。花穂はカッコいい子ですから」

 

残響「ふむ」

 

fee「でも主人公くんは、君は笑える道化キャラでしょっていう。<びし、俺が花穂の恋人だ、文句あるか>って言われても……。主人公くんが大きな態度をとっていても面白かったのはクラスの道化キャラだったからであって、真の勝ち組になっちゃったら、その大きな態度が鼻についちゃうというか」

 

残響「うーん、でも今も似たこと言いましたけど、この主人公がこうじゃなかったら、『ラブラブル』という作品は成立しませんよね」

 

fee「まぁそうなんですけどね。彼は冷静に見れば結構傍若無人なところもあると思うんですが、それが許されるのは愉快な芸人ポジだったからというか。そんな奴が、理想の恋人を得て、<どうだ見たか>までやられるとちょっと調子に乗ってる感が……」

 

残響「はははww いいじゃないですか、幸せになってもw」

 

fee「これまでは、愉快さと痛々しさの間で愉快さがギリギリで勝っていたのが、最後に痛々しさに傾いちゃったかなと。だからトライアスロンシーンは……というか、最後の啖呵のシーンの処理はもう少し違う形が良かったなぁと」

 

fee「ちょっと話がズレるんですけど……『ラブラブル』全体に言える事なんですが、主人公が独占欲をえらく剥き出しにしてますよね」

 

残響「そうっすね。肉食とまでは言わないまでも」

 

fee「剥き出しにというか、恋愛ゲーム的に【恋人を誰にも渡さない】というのはわかるんですが、このゲームに関しては【独占してやる】とか【独占されたい】というワードがピンポイントで出ていて、僕からすると<うーん>って感じなんですよ」

 

残響「うーん、なるほど。そこらへんに関しては、この主人公は何事に関しても中途半端なところで落ちつけられないんですよね。独占するということに関しても」

 

fee「これは、僕がそういう機微を解らない人だというのがあるんですが。独占するっていうのは、他の人には見せたくないっていうことですよね?」

 

残響「見せたくないまで行っちゃいますか……いや、原理的にはそうなんですけど」

 

fee「要するに、<俺の女をじろじろ見んなよ>っていう。その割に、主人公は人前でイチャイチャしてるんですよ」

 

残響「そうなんですよね」

 

fee「それが、僕は割と<ハァ?>って感じで。イチャイチャを見せびらかしたいのか、独占して誰にも見せたくないのか、どっちなんだよっていう。割とわからなくて」

 

残響「見せびらかしているという意識が段々なくなるのがバカップルなんでしょうな、きっと。この主人公はそこら辺が微妙なところで、<見てくれよ!>っていう意識はあるんだけど、実際にじろじろ見られると<やめろぉ!>みたいな」

 

fee「それはちょっと自己中すぎません? まぁ、人間ってそういうものなのかもしれないんですけど」

 

残響「どうしょうもない事を言うなら、視姦という言葉があるように、じろじろ見られるというのは疑似的に精液をぶっかけられているような感じなんじゃないでしょうか」

 

fee「汚いなぁw」

 

残響「いや、ほんと汚い言い方で恐縮なんですけど」

 

fee「確かに汚いオヤジがグヘヘとか笑いながらジロジロ見てきたらそりゃ気持ち悪いかもしれないけど」

 

残響「じゃあ誰なら見てもいいんでしょうか?」

 

fee「誰ならというか、別に普通に見る分にはいいんじゃないでしょうか。見せびらかしたいなら見せびらかせばいいし、隠したいなら隠せばいいけど、僕は隠したい人の気持ちはよくわからないから、主人公くんにそう言われても<ふーん、そうなんだ、ふーん>としか思わないし……えーと、なんでしょう」

 

残響「いや、この主人公ってところどころでヘタレになるじゃないですか。全般的にヘタレなのかもしれないけど、部分部分で更にヘタレになるというか」

 

fee「見せびらかしたいなら、ジロジロみられるのもある程度仕方ないし、隠したいなら、ヒューヒューって祝福してもらうことはできないし、両方美味しいところを求めようとしているんだけど、お前が本当に求めてるのはどっちなんだ?っていうのがよくわからなくて。という……」

 

残響「ふむ……」

 

fee「そもそも僕は、【1対1の束縛しあう恋人】を唯一最高のものとする概念が、そんなに好きじゃないんですよね」

 

残響「えっ……あれ? 失礼ながらなんか齟齬が。千夏の時には【恋愛は1対1が好きで、部外者を巻き込むな】って言ってたような……feeさんの部外者ヘイト観ってそういうもんじゃなかったでしたっけ?」

 

fee「それとはまた少し違う話なんです。なんて言えばいいのかな。人の気持ちを、【恋人】という言葉や形で無理やり縛るもんじゃないだろうっていうのがあって。その人と一緒にいたいから、その人と遊ぶ。別に他の異性と仲良くしたっていいし、自分も他の異性と仲良くするかもしれないけど、一番好きなのはあなた、という関係が僕は好きです」

 

残響「ふーむ……そこは恋愛観の相違かな。ぼくは、ある程度は束縛し合ってるほうが良いです。人の恋愛観はとやかく言いませんが」

 

fee「だから別に、1対1の恋愛を否定しているとかではもちろんないんです。お互いを想い合う美しさはわかる。ただそれは、別に相手に強制されたからではなく、自分が相手と一緒にいたいから。【恋人だから一緒にいる】んじゃなくて、【好き同士だから】一緒にいるんでしょって思うんです。だから、<独占してやる>とか<独占されたい!>とか言い合っているのを見ると、なんだか息苦しい関係だなぁと僕は思っちゃいますね。千夏のところで話した、焼きもちが嫌いというのもそういう部分だと思うんですけど」

 

残響「ぼくは逆に百合的【隷属】というか、【契約】みたいなのを愛しているところがあるんですよねぇ……そこが今言った束縛的恋愛観、ですが。……考えたらこの話題、相当前からお話してますねw」

 

fee「独占とか、束縛とかを過度に強調しないでも、一緒にいるのがごく自然だから一緒にいる。そんなカップルが個人的には理想なんですよね。本当に好き同士なら、声高に【お互いのもの】宣言をする必要もないはずなんです。普通に<好きだよ>って気持ちを伝え合うだけでいい。これは少しズレますが、学生カップル同士でろくに他の恋も知らず、大して絆を深めるエピソードもなかったりするのに、さも一生の相手が決まったみたいな雰囲気のゲームが多いのも、重たいなぁって思います。もちろん付き合い当初はそれぐらい気分が盛り上がっていたっておかしくないし、結果的に一生を添い遂げたって構いませんが、もう少し自然に付き合えないもんかなぁと」

 

残響「うーむ」

 

fee「これは重たいのが悪いというより、一生を添い遂げるのが当然と思えるほどの【絆の深さ】を描けていない、そちらの方がより問題だと思いますけどね」

 

 

4

 

 

fee「すみません、主人公繋がりで脱線しちゃって、話す順番を間違えた気がします。【トライアスロン要らない話】に戻したいんですけど、いいでしょうか? ,亮膺邑の態度については話したので、△亮囲を巻き込むというところなんですが」

 

残響「はい、どうぞどうぞ」

 

fee「大昔に『メモリーズオフアフターレインvol2 想演』というゲームがありまして。主人公とヒロインが、文化祭でクラスがやる演劇を私物化するんです。ヒロインのほたるが、<はーい、ヒロインはほたるがやるー。相手役はもちろん(主人公の)健ちゃんねー>みたいな感じで。<これはお前ら2人のものじゃねーから、クラスの出し物だから>と思って、うんざりしちゃった事があるんですが、『ラブラブル』のトライアスロンでも似たような気持ちになりました。

花穂が景品になるというのは花穂にとっても寝耳に水なので、花穂に責任があるとは言わないんですけど、普通に考えて断れるよねというのが一点。断れないなら断れないで、花穂は一応景品なんだから、景品らしくしなきゃダメでしょ」

 

残響「景品らしく、とはww」

 

fee「一競技者に肩入れしちゃダメだと思います。そりゃ、大好きなお兄ちゃんを応援したくなる気持ちはわかるけど、このイベントは街のみんなのイベントだから。主人公が<うぉぉー俺の花穂―>って頑張るのはいいとしても、花穂ちゃんが<お兄ちゃん頑張れ>みたいなことを言うのはNGでしょ」

 

残響「なるほど。理屈としては理解できる」

 

fee「他の参加者からしたらたまったもんじゃないです。まぁそもそも景品が花穂のキスというのもよくわからないし、そんなもののために参加者が熱くなったり、主人公が<うぉぉー俺の花穂―!>って頑張るのもイマイチわからないですけど。優勝者と花穂がエッチするとかならムキになっちゃうのもわかるけど、キスぐらい……舌を入れたりとかもしないでしょ? たぶん、チュ、ぐらいで終わりでしょ。割とこんな感じで冷めてプレイしていました」

 

fee「で、トライアスロンイベントの前の花穂のスピーチが結構良かったから。そこで終わっておけば良かったのに、0.5点ぐらいは評価が上がったのにって思って」

 

残響「なるほど」

 

fee「一応、花穂が頑張ったから、主人公もお返しに頑張らなきゃというシナリオ上の要請はわからないでもないんですが、それが面白さにつながったかというと……。そりゃ主人公が活躍した方が良いことは確かだけど、主人公の活躍は絶対条件ではないから。花穂ちゃんが格好いいところを見せて、終わりでいいじゃんって。主人公は今までバカキャラを演じて花穂を守ってきたんだから、それだけで十分ですよ。それだけで主人公は、花穂に愛される資格があるから、派手な猪武者みたいな活躍を無理に入れなくてもいいんじゃないか、というのがありました」

 

残響「なるほど……ラストの解釈について、ちょっとわけわからない事を言いますけど。イチャラブは最終的に世界になるんですね」

 

fee「確かによくわからないですねw」

 

残響「つまりイチャラブが物語の中でどんどん熟成されちゃって、イチャイチャにグチャグチャにイチャイチャにグチャグチャにハートマークを乱舞して混ぜ合わさって行ったら、イチャラブが世界全てを包み込んじゃうんです。世界はすなわちイチャラブするから世界であって、イチャラブすなわち世界であると。後は爆発して宇宙に行くか、二人の内部に収縮していくかという。その上で、もう周りの世界すべてがイチャラブになっちゃってるんですよ、二人にとっては。『ラブラブル』の最後に至っては。だから、二人が世界なんだから、世界のルールが二人なんだから、だから自分が景品であっても主人公に肩入れするのは当然というか」

 

fee「批判とかじゃないんですけど、<感情移入しないで観測を〜>と普段仰っている割に、感情移入してません?」

 

残響「これは感情移入なのかな。どちらかと言うと、観測しているぼくのテンションが上がっているという感じなんですけど。もはやこの世界を愛するしかない、みたいな」

 

fee「主人公か花穂に感情移入するなら、その瞬間、相手のことしか想っていないから、周りが見えなくてそうなっちゃうのもわかるけど。一歩引いて神の視点から見ると、<お前ら周りの人のこと全然考えてないんだな>っていう」

 

残響「最終的に言えば、周りの事を全然考えていない二人の関係性が好きなんですね。なんというかイチャラブ時空が歪んで歪んで爆発してみたいな。これまで自分が見ていた世界が爆発していく開放感みたいな」

 

fee「イチャラブというか、バカゲーみたいな感じが……」

 

残響「だって『ラブラブル』ってある意味バカゲーじゃないですか」

 

fee「まぁ、『ラブラブル』はある意味バカゲーだとは思います。ただ、残響さんのこの発言をイチャラブゲー全部に当てはめていいのかなっていう」

 

残響「イチャラブゲーは大なり小なりバカゲー的な要素は含みますよ」

 

残響「含まないのはトノイケゲーぐらいですね。トノイケゲーは別のものを含んじゃっていますから。……もっとも、ぼくはさっきからむちゃくちゃなことを言っているという自覚はありますw」

 

fee「まぁ、周りのことを考えないということを、許容できるかできないかというところはあるんでしょうけど。おとなしく恋をしているカップルを見ると、頑張れ頑張れって言いたくなるし、別に周囲を気にせずイチャついてもいいんですが、周囲を巻き込んだ挙げ句に<どうだ見たか>みたいなカップルを見ると、あーはいはいって感じになるから……」

 

 

5

 

 

残響「そこはシナリオ的な見方というか。シナリオ的というと変かもしれませんけど、リアリティを求めるみたいな」

 

fee「景品云々はリアリティというか、他人に迷惑をかけるなというか……。別にみんなの前でイチャイチャしていても迷惑だとは思わないんです。けど、あれは確か市のキャンペーンか何かでトライアスロンをやっているわけでしょ。その景品があれをしたらダメでしょっていう」

 

fee「花穂が中学生なのにバイトしているのは……と思った後に、親戚の店だからまぁいいかと思い直したのもあるんですが。ファンタジー世界の話なら別にいいんですが、一応作中の設定を現代日本っぽくしている以上は、リアル世界のルールを意識する必要はあるんじゃないでしょうか」

 

残響「『こいびとどうしですることぜんぶ』や『ツナガル★バングル』というゲームで(というか保住圭シナリオで)、とんでもない解決法を見た事があります。登場人物が学生で結婚したりお酒を飲んだりしているんですけど、この登場人物達は全員18歳以上ですからっていう」

 

fee「それはダメですね」

 

残響「ダメですかw」

 

fee「たとえば西暦3000年で、学生からどんどん子供を産んで結婚していくような社会になっているとか。あるいは、法律とかはきちんと作らなくてもいいんですけど、西暦3000年の世界では15歳からお酒を飲んでもいい世界になっているというのならいいんです。あるいは、ヤンキーが主人公だっていうなら学生でお酒を飲んでいてもまぁいいと思います。それにまぁ、お酒ぐらい多少はね? そんなに咎めないけど」

 

fee「だけど、たとえば『この青空に約束を――』っていうゲームでは、主人公たちの寮が潰されそうになっているのに、寮でお酒を飲んでいたりする。これはまずいだろうと僕は思いました。そんなんで、寮存続をアピールしても説得力がなさすぎます。飲酒を理由に寮が潰されても文句は言えないでしょう。危機意識がなさすぎるだろという意味で、お酒を飲んだらダメかなっていう。そういう作品だと、やっぱりダメかなと思いますね」

 

残響「なるほど、シナリオ中の説得力というか」

 

fee「そういうところはやっぱり気になっちゃう。家族が金持ちで主人公たちを養ってくれるなら、学生で結婚してもいいと思います。けど、普通に考えたら厳しいんじゃない? まぁ結婚って言っても、子供を作らなければ別にいいとは思うけど、さっき挙げられていたゲームでは多分子供も作るんだよね?」

 

残響「はい、作りましたね」

 

fee「だからその辺は難しいところですけど」

 

残響「そこら辺、『ラブラブル』は不思議な解決をしていまして。『同棲ラブラブル』花穂ルートの最後の方なんですけど、親父に殴られるんですね。<殴られてでもやっていくならいいけれど、けじめとして一発殴らせろ>みたいなことを親父に言われるんです。微妙なリアリティなんですよね。ここまで、実妹でいいじゃんって言っておきながら」

 

fee「いやまぁ一発殴らせてもいいんじゃない?」

 

残響「はははw」

 

fee「その後、祝福してくれるんでしょ?」

 

残響「そうですね、ええ」

 

fee「じゃあいいんじゃない。一発ぐらい」

 

残響「そっすか」

 

fee「え、殴られたくなかった?」

 

残響「難しいところですね。ぼくは殴られたくなかったと思いますが、殴られても仕方ないとも思っていて、ここら辺は微妙ですね」

 

fee「そりゃ僕だって、他人に殴られたくはないけどw 客観的に言うなら、パパも多少鬱屈したものがあるんだけど、一発殴る事でスッキリして、それでこれから後腐れなく祝福してくれるならいいんじゃないかという話で」

 

残響「その後の花穂のCGとかも良かったのでいいんですけど、最後に少しゴチャっとさせるのはどうなのかなと思ったんです。まぁいいんですけど。バランス感覚の違いなんでしょうか? 倫理性そのものの違いじゃなくて」

 

fee「難しいですね」

 

 

6

 

 

残響「なんだか難しい話になっちゃいましたね。『ラブラブル』の話なのに」

 

fee「ファンタジーなら気にしないんだけどなぁ。金持ちとかでも気にしないし。それにまぁ、エロゲなんだから中出しぐらいしてもね?」

 

残響「そこが最大のファンタジーじゃないですかww」

 

fee「いや、まぁまぁまぁまぁそうなんですけどw でも、エロゲでもリアル路線のゲームだったら、やっぱり中出しには慎重になってほしいし」

 

残響「それは言えてますな。世界観は大事ですよ」

 

fee「たとえば、『ef』というゲームがあって、僕はかなり好きな作品なんですが。1章の話をしますと、主人公が将来の仕事を悩むというストーリーラインなんですね。主人公は高校生兼、売れっ子の漫画家なんですけど、漫画でいつまで食べて行けるかわからない。だから、ちゃんと進学すべきなのか、いっそのこと漫画に全て打ち込むか、延々と悩むというリアル志向の物語なんです。しかし、子供を作っちゃったら、漫画家か進学かで悩んでいる場合じゃなくなるんだから、こういう話だとちゃんと避妊した方がいいのではないかと思うんです。そういうテーマのゲームじゃなきゃ、別に中出ししてていいです。いやまぁ、そういうゲームでも中出ししたからって怒ったりはしないけどw 僕は別に、いつもリアルじゃなきゃいけないとかそういうことは言わないですよ」

 

残響「大丈夫です、それは解っています。リアル寄りのゲームの場合は、っていう話でしょ?」

 

fee「そうです。まぁ、『ラブラブル』がリアル寄りの作品かどうかというのは難しいところなんですけど……」

 

残響「内容面、というよりは製作面、なんですけど。実は製作者側も<リアルな要素を入れる事が、女の子の萌えに繋がるのだ>みたいなことを公言していたりするんですよね。そこら辺、都合よく取り入れてってところなんでしょうけど」

 

fee「しかも、僕に関してなんですけど、リアルさで抵触して減点する部分って、花穂のトライアスロン一点ぐらいしかなくて。他は特に問題ないから、ここだけちょっとバランスが悪いというか。まぁ残響さんはそれが良いと言っているので、あれなんですけど……というか、他人に迷惑をかけるかどうかというのは、リアルかどうかとはまた別の話な気もするんですけど……」

 

残響「まぁ、イチャラブが宇宙だとか、イチャラブが爆発だとか言っている人の言葉ですからね」

 

fee「たとえば奈々子ルートなんかは本当に現実的な話で。つぐみなんかも現実的な話ですよ。さつきと千夏は何も起こらないんで、ある意味現実的です」

 

残響「花穂はファンタジーですね」

 

fee「花穂も最後だけなんですよ。まぁ、実妹なのにみんなが祝福してくれるのだってある意味ファンタジーですけどw」

 

残響「でもそれを言い出したら、そもそも主人公はトライアスロンで泳いでないですからね。なんで船なんだっていう」

 

fee「だからトライアスロンのところだけがバカゲーっぽくて。いや、それ以外のシーンもテキストはバカゲーっぽいんですけど、展開はバカゲーじゃなかったんですよ。でもここは展開もバカゲーで、まぁいいんだけど……もう少し他の人にも配慮しようよっていう。

だって、僕がトライアスロンの参加者で、花穂ちゃんのキスが景品と聞いて張り切っているのに、当の花穂ちゃんから<お兄ちゃん頑張れ>とか言われた日にはどうですか」

 

残響「まぁあれは、そもそも何もかも仕組まれた出来レースみたいなものなんですけどね」

 

fee「それもどうかなって思うけど」

 

 

7

 

 

残響「そっか。ちなみに最後の疑似結婚式はどうでしたか?」

 

fee「……全然覚えてないんですけど」

 

残響「えっ!?

 

fee「いや、マジで全然覚えてないぞ?」

 

残響「最高のCGだったじゃないですか!」

 

fee「ちょっと待って……ちょっと待ってね」

 

残響「一番最後ですよ?」

 

fee「あー? (ゲームのCG鑑賞モードを見ながら)あーあーあー、こんなシーンあったっけ?」

 

残響「あったんですよww」

 

fee「いや、CGがあるってことはあるんですけど、全然覚えてないぞ? いや、クリアはしてますよ!? 最後飛ばしたりしてないですよ?」

 

残響「はははww」

 

fee「そんなシーンもあったんでしょう。……言われればあったような気もする」

 

残響「言われればってw」

 

fee「僕はそもそも抜きゲーとしてプレイしていますからね。それ自体がちょっとおかしい気がする。そんな人、あまりいないんじゃないかな……」

 

残響「いや、いないわけではないけれど……」

 

fee「僕は、イチャラブゲーというかキャラゲーをプレイする動機の7.5割は抜きなんです」

 

残響「ふむふむ」

 

fee「シナリオゲーって、エロいゲームはあまり多くないんですよ。最近そうでもなくなってきた気がして、『この大空に、翼をひろげて』とか『あの晴れわたる空より高く』とか、最近のシナリオゲーはエロくなってきたなぁとか思うんですが。『サクラノ詩』も結構エロかったし。でも、全体的にはシナリオゲーはあまりエロくないというのがあって。キャラゲーの方がエロい。抜きゲーの方が更にエロいかもしれないけど……」

 

残響「ぼくは抜きゲーに関してはバカゲーだと思ってプレイしていますね」

 

fee「抜きゲーをですか!?」

 

残響「はい」

 

fee「僕は抜きゲーは、一部例外を除いて基本抜きしかないから、それはそれでいいんだけど、ちょっと味つけが濃すぎるかなぁみたいなところがあって。抜きたい時にしかプレイできないという。キャラゲーは抜きたい時じゃなくてもプレイできて、抜きたい時にもプレイできる」

 

残響「抜きゲーに関しては、ファンタジーテキストをげらげら笑いながら面白おかしく読んでいる感じですね」

 

fee「それは……そういう人はそんなに多くはいないと思うぞ?」

 

残響「やっぱりそうなのかなぁ」

 

fee「いや、わからない。僕は他の人のことは知らないのでw」

 

残響「先日Twitterで<抜きゲーのテキストは時代遅れになるんじゃないか>みたいな事を言ったんですけど、それは笑えるか笑えないかで見ているからそういう発想が出てきたんですね」

 

fee「20年前のフランス書院とかを読んだら、<ひぃ、堪忍して下さい>とか書いてあって……」

 

残響「そういう事ですそういう事です」

 

fee「へ? とか思っちゃって。これはヤバいだろって思いましたけどね」

 

残響「いずれ<んほぉぉぉぉ>とか<ひぎぃ>みたいなのもテンプレ化して陳腐化するんじゃないかと思うんですけどね」

 

fee「それは流行っている今ですら、僕は気持ち悪いと思っているから……。そりゃないでしょって思っちゃうんで。これは時代遅れになるとかならない以前に最初からおかしい。もちろん趣味の話ですけど。それを抜きゲーのテキストと言っちゃっていいんですか?」

 

残響「ははははw」

 

fee「アヘ顔と同じで、それはニッチな感じというか……」

 

残響「『ラブラブル』に関しては境界線上のところがあって、レイプ目を最初に使い出した萌えゲーメーカーがsmeeなんですよね」

 

fee「僕はその辺は大丈夫でした」

 

残響「ぼくも大丈夫でしたけど、これはちょっと賛否両論でした」

 

fee「白眼むいてよだれ垂らさなければいいです……」

 

残響「まぁそうっすねw」

 

fee「白眼むくのだけはやめてほしい。あれはかわいくないから、ほんとに」

 

残響「ひょっとこも個人的には……」

 

fee「ひょっとこもダメ、かわいくない!」

 

残響「かわいくないっすよね」

 

fee「やっぱりかわいくなくちゃ!」

 

残響「でも人によってはレイプ目も嫌だっていう人はいるでしょうしねぇ」

 

fee「それは……僕もレイプ目がそこまでキツかったら嫌かも。ギリギリ許せたという記憶があるので、逆に言えばギリギリだったという……」

 

残響「レイプ目も使いようですからね。毎回はキツいけど(実際、SMEEの以降の作品ではそのきらいがあった)、<ここぞ!>というときに使う破壊力はなかなかですよ。レイプ目……デストローイ……(意味不明)」
 

fee「『ラブラブル』については大体こんなところでしょうか?」

 

残響「そうですね、今日は本当にありがとうございました」

 

fee「いえ、こちらこそ楽しかったです。ではまた!」

 

 

次回予告

 

『ラブラブル』についてはこれで終わりかと思いきや、読者からの熱いお便りが!

次回、「ラブラブル 第6回 お便り紹介対談」に続く

エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」 第4回/全5回予定(?)

  • 2016.10.30 Sunday
  • 20:00

 

ラブラブル〜lover able〜2011.02.25発売予定!

 

 

1

 

fee「花穂に一番力が入っているのは間違いない」

                 

残響「はい」

 

fee「間違いないし、その力の入れ方は、僕から見てもまぁまぁ成功している」

 

残響「裏話をすれば、ライターさんは妹が好きで好きで仕方ない人なんです。前作の『らぶでれーしょん』は、ライターのデビュー作だったため、ディレクターが<妹は敢えて封印しろ>と。封印して、今はライティングの力を上げろというディレクターの指示があったんですね。で、今回、第二作目にあたる『ラブラブル』を書く際に、ライターが<やっぱり理想の妹が書きたい>と申し出た、そういう経緯があったんです」

 

fee「好きなものを書くというのは良いことです……ってなんだか月並みなコメントになっちゃったな……」

 

残響「『ラブラブル』以降、このライターさんは妹を描いていないんですね」

 

fee「おぉ、そうなんですか」

 

残響「幼馴染は何パターンか書いているんですけど、妹は書いていない。花穂が出た時は凄かったですね。これが完成形だ、みたいな」

 

fee「『ラブラブル』は花穂のゲームですよね」

 

残響「パッケージでも花穂ですし……いや、そういうことはどうでもいいんだ。とにかく内容を見ても花穂ですよ」

 

fee「明らかに力の入り具合が違うからね……と言っても僕は6点だけど……」

 

残響「ははは」

 

fee「プッシュされてるよね」

 

残響「プッシュされてますね。プッシュされていても問題はないですし、キャラ自身も、何かからプッシュされていても、それでも私は魅力的なんだみたいなところがあるじゃないですか」

 

fee「ん? プッシュされるキャラは魅力的ではない、というのが前提にあるんですか?」

 

残響「発売前から、いかにも特定のキャラに力を入れているのが見える、解ることってありますよね。でも、実際にゲームをやってみると空回りしていることってありませんか?」

 

fee「あーあー、要するに、<そのキャラ、プッシュされてるけど大して良くねーよ>って話ですか?」

 

残響「そうです。少なくとも花穂に関しては評判倒れでは全然ないんですよ」

 

fee「まぁ、このゲームは花穂のゲームだし、花穂で成功しているでしょ」

 

残響「逆に言えば、花穂が失敗していたら、かなりのところでダメになっていると思うんですよ」

 

fee「まぁ、そうでしょうね。僕、花穂ルートがダメだったら、5点ぐらい下がって63点ぐらいになってます」

 

残響「あぁ、それはだいぶ下がるなぁ。ぼくも同じですけど。昔、トノイケダイスケさんが、『水月』という作品のビジュアルファンブックで、琴ノ宮雪というヒロインを<誰にも嫌われない存在として描かなければならなかった>と言っているんですね。そういうキャラだから、と。完璧でなければならないと。欠点さえも、完璧でなくてはならないと。好かれることが大前提で、その上でどう魅力を描いていくか。そういうふうにインタビューで言っていましてね」

 

fee「僕、『水月』で一番好きなのは宮代花梨ちゃんで、二番が……香坂アリスかなぁ。雪さんは嫌いじゃないけど……」

 

残響「でも、どうでもいいキャラではないでしょ?」

 

fee「作品テーマ的にはどうでもいいキャラじゃないけど、ヒロインの魅力的には割とどうでもいいです……」

 

残響「そうかぁ」

 

fee「雪さんファンは結構いるので成功はしているんでしょうけど、僕は二番がアリスで三番が牧野那波かなぁ。鈴蘭は嫌いじゃないけど、ロリすぎて女性としては見られないのでダメで、眼鏡ちゃん(新城和泉)もダメで……」

 

残響「そこなんですけど、大体眼鏡ちゃんはダメって言われていますよね。少なくともアリスや眼鏡ちゃんは、嫌いから入っても話は進むんですけど、雪さんに関しては、<好きになってもらわないと話が始まらない>。少なくとも、嫌いから入ったら話が始まらないというのを聞いて、ぼくは納得しちゃったんですけども」

 

fee「僕は雪さんは、7人のヒロインの中では真ん中ぐらいで、特に好みでもないし、別に嫌いでもないしで。ネットなどを見ていると、<みんな結構雪さん好きなんだなー、へー>と思って。シナリオが一番好きなのは、雪さんルートなんですけど、雪さんルートで一番良かったのは誰かと聞かれると雪さんじゃなくて僕は花梨だったし」

 

残響「あぁーーー」

 

fee「雪さんルートが好きだけど、雪さんというヒロインが好きってわけでもないんだよなぁ」

 

残響「で、<好きになってもらわないと話が始まらない>というのは花穂にも言えるんですね。力を入れるというのもあるんですけども、物語中の役割というか、キャラとの関係性というか、ある種完璧な要素がかなり多くを占めていなくちゃいけないというか」

 

fee「ほぉ……なるほど」

 

残響「花穂は下ネタを言う事もあるんですけど」

 

fee「そんなにあったっけ?」

 

残響「少なくとも、全くないわけではない。そもそも、女版ハル君(主人公)みたいなところがあるんです。多分作中で言われていると思うんですけど。そういうキャラでありながら、ばっちりかわいいみたいな。全く弱さがないわけでもないけど、その弱さもかわいいみたいな」

 

fee「花穂は、なんか女王様っぽい」

 

残響「それはそうですね。絶対人の下にはつきませんよ」

 

fee「ヒロインに、<こいつつえーな>というオーラを感じることって意外とないんですが、花穂にはそういうオーラを感じる」

 

残響「作中で、<強い>とは言われてないですけど、明らかに強いですよね」

 

fee「強い」

 

残響「無敵ですよね」

 

fee「太陽みたいな強さ」

 

残響「それそれ」

 

fee「僕はつぐみみたいな、地味だけど健気で頑張っていて、芯が強い娘が好きだからそっちに行ってしまうけど、花穂は常に<どんと来いや>みたいな感じの強さ。こいつはつえーな、という」

 

残響「もし花穂に何か欠点があるとしたら、屈折的な影がないところでしょうか。変な話ですけど、うつ的な感じには絶対ならないですよね、花穂は」

 

fee「花穂はならないね」

 

残響「そういう意味での闇はないんですよね。だって太陽だもの。太陽に<お前、闇がないからダメだ>と言っても、それは的を外した批判にしかならない。じゃあこの子の批判がどこにあるかというと実妹なんですね」

 

fee「それは批判なんですか?」

 

残響「批判というか、世間的な批判ですね」

 

fee「あー、弱点って意味ですか」

 

残響「はい。でもそれも自分の太陽的なもので、ノリと勢いで<いーじゃん>みたいにしちゃいましたから」

 

fee「僕はあまりそういうキャラに惹かれるというわけでもないんですけど」

 

残響「ぼくもそういうわけでもないですが……」

 

fee「昔、『夜明け前より瑠璃色な』っていうゲームがあって、フィーナというヒロインが圧倒的女王オーラを出していたんです。花穂が持つ太陽オーラとはまた違うんですが、こういう独特のオーラが出せるヒロインって」

 

残響「少ないですよね」

 

fee「そう。偉そうな奴はどこのゲームにもいるんですが。<ほーっほっほ>みたいなお嬢さまとか、お嬢さまでスポーツ万能成績優秀みたいな、設定だけの最強キャラは見ますけど。そういう設定のヒロインなんだね、とは思いますが、<すげーな>とはあまり思わない。でも、花穂は割とそういう意味でも成功していて。『ラブラブル』内では花穂だけですね」

 

残響「カリスマですよね」

 

fee「そう、カリスマ。まぁ元々、『ラブラブル』の中でカリスマで売っているキャラは花穂しかいないというのもあるけれど……」

 

残響「作中で、同性からも好かれている描写がありますね」

 

fee「花穂なら好かれると僕も思います」

 

残響「先輩の同性からも好かれるという。後輩からも……まぁ花穂の下はいないんですけど……いることはいるか、つぐみの方が下っぽいポジションというか」

 

fee「つぐみは年上だべ?」

 

残響「確かにそうなんですけど、でもつぐみが花穂に何か敵うかというと……」

 

fee「……つぐみは同性からは嫌われるタイプだと思うな」

 

残響「ぶっちゃけましたね。否定はしないけど」

 

fee「でも、同性から嫌われるタイプほどかわいく見えるんだって」

 

残響「はっはっは、なるほど」

 

fee「でも、現実では同性から嫌われている子は実際に性格が悪いから、付き合ったら地雷だと思うよ。つぐみちゃんは二次元の子だから、性格も良いよ!」

 

残響「ははは」

 

fee「それに、『ラブラブル』の作中に、まさかつぐみちゃんをいじめるような心ない奴はいないと思うから……少なくとも奈々子さんとか、お店で働いている人たちの中にはいないよね。まぁ僕はつぐみちゃんをいじめたいけど、そんな話はどうでもいいかw」

 

残響「おあつらえ向きなCGが『同棲ラブラブル』にあるんですけど、犬のコスプレさせて首輪させてっていう」

 

fee「いいねぇ、わかってるじゃん。そうだよ、そうでなくては(興奮)」

 

残響「ははは……」

 

fee「つぐみはかわいいな……って花穂の話じゃなかったのか!」

 

残響「ほんとですよw!」

 

fee「なんでもつぐみはかわいいなに繋がってしまう……花穂はオーラが出ていていいんだけど、花穂は人間として見ちゃいますね。女の子として愛でたいのはつぐみとさつきで、人間として尊敬とか、そっちだよね花穂は。別に女性を下に見るつもりもないんですけど……自分よりも女性が上でもいいけど、上すぎると僕はチキンなので声をかけづらいというか。花穂ちゃんと付き合っている自分が想像できないw」

 

残響「はぁ、なるほど」

 

fee「花穂ちゃんはちょっと遠くから見る感じかなぁ」

 

残響「作中人物もほとんどはそう思っているんじゃないでしょうか」

 

 

2

 

 

残響「キャラの話はこのぐらいにして、シナリオの話をしましょう。ぼくはシナリオに9点をつけているんですが、よく言われるのが<最後のトライアスロンは余計だろ>というものなんですね」

 

fee「割とというか、それは以前、僕が残響さんに主張したことじゃなかったっけ……」

 

残響「いや、ラブラブル発売直後から、ファンの間でもよく言われてるんですよ」

 

fee「お、そっすか、そっすか」

 

残響「えぇ。で、それに対してぼくは<いや、あれがあってこその大団円だろ>と、当時から強く思っています」

 

fee「先にそれを言われるとあれですよね。僕、これから<トライアスロンは余計だろ>って話をしますからねw」

 

残響「はははw オールベストというか、スーパーラブラブル大戦という感じで、モブキャラも含めた全キャラが出てきてワイワイ騒ぐんですけど。そのワイワイ感というのが、総出で、今まで良かった奴も嫌な奴も、ヒロインも全員出てきて、とにかくぐっちゃぐっちゃでわけのわからないことをする。わけのわからないことをすることで、この兄妹が輝く。そういうふうにぼくは読みました」

 

fee「運動会的な楽しさがあるという指摘は、僕は意識していなかったので、面白いですね」

 

残響「そうですか。運動会的な、スーパーラブラブル大戦的なストーリーの流れが、そのままこの兄妹への祝福に繋がっているんですね。で、最後に花穂の肩を寄せて、主人公が啖呵を切るところで<決まった!>みたいな。ぼくが10点をつけずに9点にしたのは、どちらかというと僻みみたいなところもあるんですけど、あまりにも眩しすぎたから。後は、『ラブラブル』全般に言える事ですが、後半に山あり谷ありのダイナミクスがあるかというとそれはないなと。少し一本調子だなというのはありまして」

 

fee「ふんふん」

 

残響「もちろん奈々子さんシナリオなどに山や谷があるにはあるんですが、それでも一本調子で、各チャプターでガーンとぶつけてガーンと終わるという。それが続くかなというのもあります。まぁ、テンポの良さにもつながっているので、些細なところではありますが」

 

fee「なるほどなぁ」

 

残響「それから、他の4人は作中季節が夏でなくてもいいんですけど、花穂だけは夏の開放感が必要というのもあります」

 

fee「あー、まぁ少なくとも冬ではダメだな」

 

残響「ラストへ向けてのスピード感、開放感は、やはり夏でなくてはダメでしょう」

 

fee「なるほど。季節感を大事にする感じですか」

 

残響「夏の開放感は大事にしていますね。開放感あふれる夏の雰囲気は、共通ルートから描写されていますし」

 

fee「店がそもそも夏っぽいんですけど」

 

残響「そうなんですね」

 

fee「店が夏っぽいからいいかなって。僕は元々あまり季節感というのは重視しないので」

 

残響「ぼくも普段はそこまでこだわるわけでもないんですが、この『ラブラブル』という作品は、作品テーマ・作品内容・雰囲気・季節感が見事にマッチしているので。今回に関しては季節感も大事にしたいかなと」

 

fee「なんだろうなぁ。『ラブラブル』の夏って、僕の中では『Pia キャロットへようこそ!!』に通じるものがあって」

 

残響「あー、はいはい。意識はしているでしょうね、確実に」

 

fee「やっぱり意識していますかねぇ」

 

残響「今言われて初めて気づきましたけどw 言われてみれば確実に意識はしている」

 

fee「海もあるし。まぁ、夏で海というのは定番だけど……」

 

残響「このブランドは、良い意味で作りが古いというのもありまして。今のゲームの流行を追うよりは、昔のゲームの良い所をルネッサンスしようという、そういう気概はあるんですね」

 

fee「『ラブラブル』は……まぁ単に短かったからかもしれないけど、イチャラブゲーの中ではとっつきやすい方かなぁ」

 

残響「ですね」

 

fee「じゃあ、次は僕が……」

 

残響「はい、お願いします」

 

fee「僕はシナリオに6点をつけているとは言っても、別にそんなに叩きたいわけでもないんですが……残響さんが9点をつけているから、<まぁそこまでじゃないだろ>っていうのはあってw」

 

残響「wwwww」

 

 

次回、花穂編2に続く

エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」 第3回/全5回予定(?)

  • 2016.09.22 Thursday
  • 22:09

 

ラブラブル〜lover able〜2011.02.25発売予定!

 

 

1

 

fee「意気込んだのはいいんですが、つぐみはそんなに語る事もないんだよなぁ」

 

残響「シナリオの完成度は高いと思うんですが、キャラがぼくのツボというわけではないんですよね……」

 

fee「つぐみがですか?」

 

残響「これはもっと刺さる人がいるんだろうなという感じで。悪くはないんですよ。悪くはないんですけど、そもそも後輩キャラはそんなに好きじゃないというのもあります。つぐみシナリオは、段階を踏んでいってそれなりの長さで、キャラの魅力を描いて、ちゃんとしたエンドで良かったね、みたいな」

 

fee「残響さんはシナリオが7点でキャラが6点なんですよね」

 

残響「はい、そこまでのめりこめなかったってだけなんですけど」

 

fee「僕はシナリオが6点で、キャラが7.5なんです。逆なんですよね。シナリオとキャラの配点が」

 

残響「ふむ」

 

fee「僕は、つぐみのシナリオは悪くはないけど、あんまりうまくもないと思いました」

 

残響「なるほど」

 

fee「つぐみのシナリオって、結局昔悪い事があったっていう話で。そこに悪役をぶつけてきているんですけど、悪役の初登場シーンでちゃんと伏線が貼ってあったかっていうと、伏線は貼ってないでしょ」

 

残響「貼ってはないですよ」

 

fee「もし昔に因縁があったら、つぐみがもう少しリアクションをするはずだと思います。因縁のある人と会ったのにリアクションもしないで、それで実は因縁が〜って言われても、それは展開的に無茶でしょと思いました」

 

残響「ぼくはそこはまるっきり逆なんですね。というのも、つぐみ先生というキャラは、昔嫌な事があっても自分の中で押し殺しておける健気さをもった人間なんだと、勝手に解釈しています。シナリオの過去の因縁に関しても、そこまでシナリオのメインに関わる事なくうまく処理したなと思います。イチャラブに専念できるようによくバランスをとってくれた点を評価して、7点をつけました」

 

fee「つぐみの過去の話は僕もバランスが良いと思います。これぐらいのバランスにしておけば、つぐみの魅力も際立ちますし……」

 

残響「そうそう、スイカに塩の理論ですよ」

 

fee「簡単に言えば、薄幸キャラを守ってあげたいという気持ちにプレイヤーをさせつつ、そこまで重い話にしないというバランスは良いと思います」

 

残響「ふんふん」

 

fee「逆に言うと、それだけの話です」

 

残響「うーん」

 

fee「僕のシナリオ・キャラの点数のつけ方が良いかどうかはともかくとして、このつぐみシナリオは、<つぐみちゃんがかわいい>っていうだけの話なんですよね」

 

残響「はい、そうですね」

 

fee「奈々子さんのシナリオは、キャラのかわいさとは独立したところで、シナリオとしてちゃんと成り立っていると思うんですよ」

 

fee「でもつぐみちゃんの話は、過去にこういう事があったからつぐみちゃんを守ってあげたいよね。健気だね、かわいいねっていうそのためだけにあると思っているので。それが良い悪いかはおいといて、僕はそんなに評価はしない、というところです」

 

残響「はい」

 

fee「で、その分の点数は、シナリオではなく、つぐみさんのキャラクター点のところにつけておきました」

 

残響「なるほど」

 

fee「実際つぐみちゃんはかわいいし、守ってあげたいなと思ったし、健気だなと思ったから、キャラクター点は高い」

 

残響「ふんふん」

 

fee「そういう意味では、シナリオがうまくキャラをサポートしていると。縁の下の力持ちで、シナリオは目立たないが、キャラの魅力を引き立てるサポート役に回ったとは思っていて、それは悪いシナリオではないと思っているけれども。シナリオ単体で見ると……ちょっと辛い」

 

残響「なるほど」

 

fee「現代でもつぐみちゃんは頑張るんですけど、ちょっと過去の比重が大きすぎるイメージ。文章量はそうでもないんですけど、イメージ的には過去の比重が大きくて。つぐみちゃんには辛い過去があるんですが、まぁそうは言ってももう終わったことじゃないか。というのがあって」

 

残響「はい」

 

fee「現代でも多少試練はあるけど、もうちょっと試練があっても良い。『グリザイアの果実』というゲームがありまして、評判の良いルートに天音ルートというのがあるんです。天音ちゃんの過去シーンはなかなか読ませるものがあって、天音ちゃんシナリオサイコ―!って言う人もよくみるんですけど……」

 

残響「はぁ」

 

fee「でも天音ちゃんのシナリオが最高なのは過去シーンだけなんですよ」

 

残響「ははははww」

 

fee「僕も、天音ちゃんの過去シーンはいいねと思った一人で、天音シナリオもそこそこ評価はしているんですけど、でも現代ではなんも起こってないやん!っていうのもあって。過去の話は過去の話でいいけど、もっと現代の事を語ってほしいというか。つぐみシナリオに関してもその辺が物足りない。まぁ、現代でもちょっとは頑張りますけどね、最後」

 

残響「まぁ、確かに」

 

fee「過去に主題がおかれていて、現在への流れが秀逸ならば、過去メインでも全然いいんですけどね。『秒速5センチメートル』の過去エピソードや、『久遠の絆』の平安編のように、過去に重きが置かれていても全然気にならない話もありますし……でもつぐみシナリオは叩くほど悪くはないですね……僕、叩いてないよね?」

 

残響「叩いてはないですね。そこまで高評価もしていませんけど」

 

fee「シナリオゲーでもないしね」

 

残響「そうなんですけどね。それを言っちゃ……」

 

 

2

 

fee「つぐみちゃんはかわいいよね」

 

残響「それは確かですよ」

 

fee「絵もかわいいと思った」

 

残響「うん、それも確かです」

 

fee「つぐみちゃんはいいなぁ……それしか言えないw」

 

残響「www」

 

fee「つぐみちゃんは、パジャマを着ててオナニーをするシーンが最高によかった」

 

残響「なるほどw」

 

fee「そんな話を聞かされても困りますかね?」

 

残響「いやいや、重要なところじゃないですか」

 

fee「そうですよね。つぐみちゃんのHシーンは基本的にいじめてオーラが出ていて、大変よろしいです

 

残響「いじめてオーラ、それは重要ですね」

 

fee「僕、いじめてオーラが漂っているヒロインが最高に好きなんで」

 

残響「あ、そうなんですか?」

 

fee「好きなんですよ、僕Sなんで。こういう娘を見ると、いじめたくなって仕方がないんで。もう嬉しくなっちゃいますね」

 

残響「なるほど」

 

fee「だからつぐみちゃんは最高ですよ。最高って言っておきながら7.5ですけど」

 

残響「はははww 自分はいじめるよりも、甘やかしてほしいみたいなところがあるんですけど。姉属性的な」

 

fee「じゃあ奈々子さんはなんで5点なんすか……」

 

残響「そこら辺が消化不良だったんですよw」

 

fee「……奈々子さんは別に甘やかしてくれるヒロインってわけでもないか」

 

残響「そう、そこが消化不良だった。甘やかしつつ、甘やかされたいみたいな。ある種の共依存をぼくは求めているんです」

 

fee「僕はあまり甘やかされたいわけでは……どうなんだろう。僕、現実世界では、甘やかしてほしい」

 

残響「ふむふむ」

 

fee「僕は、甘やかされたい!」

 

残響「www」

 

fee「けど、ゲームの中で主人公が甘やかされているのを見ても、実はそこまで嬉しくはなくて」

 

残響「あらら」

 

fee「そうじゃなくて、ヒロインをいじめたい」

 

残響「あらー」

 

fee「僕の恋愛属性的には、いじめたいんですよ。守ってあげたい、いじめたい。そういう娘を好きになるんですけど。そういう子って、現実世界では裏があることが多いっていうね……。僕の数少ない恋愛経験で言わせてもらえば、裏があるんですよね……」

 

残響「ふふふw」

 

fee「そういう子に限って性格が悪い。儚そうに見せているだけ。男を釣ろうと思って」

 

残響「はははww」

 

fee「そういう子に惚れちゃうんだけど、そういう子を好きになっても僕にとって良い結果にならない事は解りきっているから。いくら胸がときめいても、そういう子にアタックする元気はなくて。僕を甘やかしてくれる子の方が、僕も楽だしそれがいいなってw 

だから現実では甘やかされたいんだけど、エロゲーの中ではもっとアグレッシブに行ってもいいでしょってw そこまで性悪な子はエロゲの中にはほとんどいないし」

 

残響「www」

 

fee「エロゲ世界では、いじめて、守ってあげたいヒロインとイチャイチャしたいですよ。現実ではできないけど!」

 

残響「なるほどw」

 

fee「なんで僕こんな話を始めたんだっけ……なんか自分の恥部を無駄に晒した気がする……」

 

残響「いや、結局の話、イチャラブゲーなんて自分の恥部をどうにかするための手段なのかもしれませんよ……奈々子さんの話いきますか?」

 

fee「お、奈々子さんいっちゃう?」

 

 

ラブラブル〜lover able〜2011.02.25発売予定!


 

3

 

残響「奈々子さんのシナリオが一番ダメでした

 

fee「マジですかー?」

 

残響「『実家』、『家を継ぐ』、勘弁してくれよっていうのがありますね」

 

fee「それはこう、僕も他人のことは全く言えないんですけど、リアルに根ざしたw」

 

残響「バレました、やっぱり」

 

fee「そういうのはあるよねww」

 

残響「プラス、奈々子さんのお母さんがいるじゃないですか。こうしなさいああしなさい的な。勘弁してくれよっていう。もっとイチャコラに専念させてくれよ、生々しいことはやめてくれよみたいな。『ラブラブル』で印象に残った嫌なシーンは、共通ルートで初心者の時にバイトで失敗しちゃうシーンがあったじゃないですか。ぼくも以前のアルバイトでこういう経験をしたことがあるものですから、身につまされる感じで辛かったです。しかもそこら辺をじっとりと描写するもんですから……。奈々子さんの話も、イチャイチャよりも周りとの兼ね合いというか、自分は頑張っているのにどうすればいいの? みたいなところをしっかり描いているので、うーんっていう感じでしたね」

 

fee「バイトの失敗は覚えていますけど、共通ルートだし、奈々子さんとはあまり関係ないような……」

 

残響「その後では奈々子さんが励ましてくれるっていう場面なんですけど」

 

fee「いただけない客が来て……みたいな話ですよね?」

 

残響「えぇ、そんな感じです」

 

fee「それは、接客業をやっている人とか、これからやる可能性のある人的にはちょい辛いかもしれんなぁという」

 

残響「これをドシリアスとは言いたくないですけど」

 

fee「大したシーンではなかったようなw」

 

残響「過去にこういう経験があったなぁ、なんだかなぁ、これをイチャラブゲーで出すのかいなみたいなところはありましたね。キャラ的には姉属性で悪くないところもあるんですけど、甘やかし度というか、その辺りが物足りないというか」

 

fee「奈々子さんは、オーソドックスな姉キャラではないですね」

 

残響「そうですね」

 

fee「奈々子さんは年上だけど、かわいいタイプですよね」

 

残響「そうです」

 

fee「だから僕は評価が高いんですけど……高いって言っても6.5か」

 

残響「さつきと同じぐらいってことですよね」

 

fee「『ラブラブル』のヒロインは全体的に割と好きですからね」

 

残響「千夏以外?」

 

fee「そうっすね。奈々子さんも結構好きですけど、奈々子さんはシナリオが良い。シナリオが良い……とまでは言えないけど、『ラブラブル』の中では一番良い。ちょっと小さくまとまっちゃったかなとは思っているんですけど、非常に丁寧で、王道だと思う。奈々子さんシナリオは、夢に向かって頑張る奈々子さんを主人公が応援していって、悪役は夢を邪魔するお母さんということで、オーソドックスな型にビシっとはまっていて。主人公が奈々子さんを、肩の力を抜いて大人っぽく頼れる感じでサポートしているんですよ。このルートの主人公が僕は一番好きです」

 

残響「なるほど」

 

fee「主人公頑張ってるじゃんって思って。将軍が敵を蹴散らしていくような、派手な格好良さではないけれど、この主人公は安心して頼れるなと。落ち着いて読めたし、話としてもそんな変わった事はしていないけど、丁寧にまとまっていて、過不足なくビシッといったなという意味で評価できるなと。このシナリオで印象的なのは、夢に向かって頑張る奈々子さんの姿。読んでいくうちに、人間としての奈々子さんに好感を持てるようになるという意味でも、良いシナリオだったと思っています

 

残響「人間としての奈々子さんに好感が持てるというのは、かなりの褒め言葉じゃないですか」

 

fee「敢えて批判するなら、ちょっと王道すぎるかなっていうのはありますけど。王道は決して悪い事ではないし、障害の大きさも大体ちょうど良いぐらいで。千夏とさつきの障害はちょっと小さすぎたし。つぐみは障害の大きさは良かったのだけど、障害に向かうシーンという意味では過去の比重が大きすぎていて。奈々子は現代にちゃんと比重が置かれていてそれもまた良しで、いいことづくめじゃないかなぁと。

僕は奈々子さんはヒロイン的には特にツボではないし、キャラデザもハッキリ言って地味だし」

 

残響「はははっwww」

 

fee「多分このキャラ、あまり人気ないでしょって思っちゃうし」

 

残響「うーんw まぁ事実ですなぁ」

 

fee「でも、『ラブラブル』の中でシナリオが一番良いのは、花穂か、奈々子さんですね。で、どうせ花穂はみんなが推すんだから、僕は奈々子さんを推します」

 

残響「ふんふん」

 

fee「推しますって言っておいて、僕が一番かわいいと思っているのはつぐみですけど」

 

残響「ww」

 

fee「シナリオでは奈々子ですね……何故か奈々子の絵はあまり好きじゃないんですよ。何でだろう。自分でもよくわからないんですが」

 

残響「あまり意味がない仮定かもしれませんが、奈々子シナリオが他のヒロインだったらどうなんでしょう?」

 

fee「たとえば奈々子さんのシナリオを、千夏がやったらどうかってことですか?」

 

残響「千夏はさすがにfeeさんの評価が低すぎるから、つぐみやさつきがやったらってことですね」

 

fee「うーん……」

 

残響「奈々子さんは店のチーフなので、立場も違うし、難しいのはわかっているんですけども」

 

fee「つぐみに関しては、ちょっと交換不可能かなって思います。さつきに関してはシナリオがあんまりにもかわいそうだったので……さつきシナリオがこの内容なら、さつきのキャラ点は多分7.5とかになっていますね。たぶんね」

 

残響「7.5、そこまでいきますか」

 

fee「いや、わからないけど。多分。まぁ僕、奈々子さんは好きでも嫌いでもないぐらいですけど……これで結構かわいいところがあるんですよ。あと僕は、実はあまり年上キャラは好きじゃないんですよ」

 

残響「じゃあ奈々子さんはかなり頑張った方じゃないですか?」

 

fee「そうですね。年上キャラが好きじゃないというか、甘やかし系ヒロインが苦手なのかな……。人気キャラなので怒られそうなんですけど、『ダ・カーポ2』というゲームの朝倉音姫ねーちゃんが、僕は好きじゃないんですよ。甘やかしてくるんですけど……」

 

残響「いいじゃないですか」

 

fee「甘やかしてくるんですけど、主人公くんの生活を、<私がちゃんと面倒を見て、主人公くんが悪い道に走らないようにしないと>みたいな……」

 

残響「あーーなるほど! そこら辺で甘やかしも分かれるんですよね。<主人公をまともにしてあげよう、立派にしてあげよう>系か、<主人公のダメなところも含めて全部赦してあげよう、包みこんであげよう>系か」

 

fee「包みこんであげよう系ならいいんですけど……。矯正してあげよう系はあまり好きじゃなくて」

 

残響「矯正系も別に嫌いじゃないけど、ぼくも全部包み込んであげよう系の方がいいですね」

 

 

 

次回、花穂編に続く

 

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