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    ブラッドベリ『火星年代記』読書会(5)

    • 2018.01.03 Wednesday
    • 16:53

    ★2036年9月「火星の人」 火星人の悲劇

     

    fee「僕、この話は結構好きなんですが」

     

    残響「ぼくも好きですね。最後はドタバタになりますが、中盤までのブラッドベリの描く優しい世界観は好きです。こういうのを描かせるとほんとに巧いですよね。少し『第三探検隊』にも似ているような」

     

    fee「ですねぇ。あらすじを言いますと、老夫婦のもとに亡くなったはずの子ども、トムが訪ねてきます。来てくれて嬉しいはずなのに、疑ってしまうラ・ファージュさんの気持ちが悲しい……」

     

    残響「常識で考えればあり得ないですからね。幸せな夢というか……。ただ、最初は疑っていたラ・ファージュ夫妻ですが、後半になると火星人だろうがなんだろうが関係ない。これは私の子だ!と言うシーンがあります。

     

    ラ・ファージュ夫人は、トムをうしろにかばった。『これは、わたしの息子です。あなたがたは、この子にどんな罪をきせる権利もありません。わたしたちは、いま家へ帰るところなんです!』

     


    fee「幸せな夢を疑って、わざわざ覚める方向に行かなくてもいいのにと思っちゃいますが……そんなものなのかなぁ。アンナのこの啖呵は格好いいですよね。話を戻しますが、トムの正体は火星人ですが、『第三探検隊』の時と違って悪意はないんですね」
     

    残響「あ、そうだ。『歓迎と別離』にも似ているんだ」


    fee「おぉ、そうですよ! 押しつけられた役割を演じながら生きていくあの少年に、確かに似ている」
     

    残響「それもそうですが、あの時*1イノセンスというものについてお話しましたよね。この作品からも、そのイノセンスを感じるわけです


    fee「なるほど。しかし、ラストの悲劇を生んだのは、ラ・ファージュ夫人の責任ですな。『ぼく、町が怖いんだ。ひとびとが。行きたくないよ』ってトムが言っているのに。これは当たり前ですよね。ラ・ファージュ家以外の人に出会ったら、また違う姿に変身してしまうかもしれません。ラ・ファージュ一家もトムも、このままの生活を望んでいるわけだから……」
     

    残響「でも遅かれ早かれ無理だったんじゃありませんか? やっぱり町に行かないわけにもいかないし。トムと一緒にどこにも行けない、というのはやはり寂しいし……」


    fee「心情的にはわかりますけど、そこを我慢して、トムは家から出ちゃいけないんですよ。DVDを借りて来て家で一緒に見る、家でいろんなお喋りをする、そういった楽しみ方で我慢しなきゃいけなかったんです。トムと一緒にいたいなら。危機意識が足りませんよ」


    残響「案の定、トムはいなくなって、ラヴィニアという少女に変身してしまいます」
     

    fee「便宜上トムと呼びますが……かなり抵抗した後、またトムに戻りますよね。この力関係というか、変身のメカニズムはどうなってるんでしたっけ?」


    残響「

     

    『この家で、思ってらっしゃるのが、とてもとても強いのです。まるで牢屋に捕らえられているみたい。わたし、もとの身体には帰れませんわ』

     

    とありますね。人々の想いの強度で姿が変わるのかな」


    fee「この後、トムはたくさんの人々に追いかけまわされ、その都度姿が変わっていきますが……。
    皆が、亡くした家族や恋人を思い浮かべる中で、巡査がふるっていますね。『ちょっと待て』と、巡査が叫んだ。『これはわたしの犯人だ。名前をデクスターといって、殺人容疑で手配中なんだ』」


    残響「犯人逮捕に執念を燃やしていたんですねw どんな相手よりも、犯人に会いたいw」


    fee「寂しい人なんですよw この後も『かれは市長であり、ジュディスという少女であり、夫のウィリアムであり、妻のクラリッスであった』とありますけど、誰ですか! 市長に会いたがってたのは!」


    残響「なぜ市長www」


    fee「そのうち、トムのキャパシティが限界にきて……」


    残響「

     

    かれは石の上に横たわっていた。(略)その顔は、あらゆる顔、片目は青く、片目は金色、髪の毛は、茶色で、赤で、黄で、黒で、片ほうの瞼は厚く、片ほうは薄い、片手は大きく、片手は小さい。

     

    なんかもう、無茶苦茶になって、ついに死んでしまいます」


    fee「『アンナは、なにもいわずに、泣きだした。『さ、家へ帰ろう、アンナ。しょうがないじゃないか』と、老人はいった』。悲しいですなぁ……でもアンナが街に連れて行ったりしたから……」


    残響「悲しい話なんですよ。アンナだって、ただトムと一緒に街を歩きたかっただけなんです……」


    fee「そうですねぇ……。ラヴィニア(トム)が、(ラヴィニアの)父親にふるえる声で『ロッホローモンド』を歌っていたり、詩情に溢れた良い作品ですね」


    残響「『第二のアッシャー邸』も『火星の人』も、最後はドタバタ展開ですけど、だいぶ読み口は違いますね」


    fee「『火星の人』は物悲しく感じます」

     

    *1 イノセンス……『無垢なるもの。子供が大人に成長するにつれ、失われていくもの。近代以降の欧州の物語類型(「小説=ノベル」)では、それをポジティブに成長物語(いわゆるビルディングス・ロマン)とする例が多いように思うんですが、アメリカ文学ではむしろ成長と引き換えに失われていくもの、見失ってしまうもの。そちらに目を向けるケースが多くて。

    (中略)

    イノセンスの喪失だと、たとえば『ピーター・パン』とか『ハックルベリー・フィン』とか。あるいは『ライ麦畑でつかまえて』とか(ブラッドベリ『太陽と黄金の林檎』読書会(7)「歓迎と別離」より)(残響)


     

    ★2036年11月「鞄店」 核戦争突入直前の地球


    fee「ついに地球が核戦争に突入するということで、火星の植民者たちが地球に急ぎ帰還する、というお話です。でもこのお話、変じゃありませんか?」


    残響「変、とは?」


    fee「残響さんが植民者だったら、核戦争前夜の地球に帰りたいと思います? 僕なら帰らないですけど」
     

    残響「あぁ……そういう事か……。絶望の地に帰りゆくのか……」


    fee「なんでわざわざ死ぬために帰るんですか? いや、帰る人はいるとは思いますよ。でも……ネタバレになってしまいますが、ほとんど全員が地球に帰っていますよね?」


    残響「P304、4行目

     

    『まだ火星にきて長い年月が経ったわけじゃなし。せいぜい二年ってとこでしょ。四十年もこの火星に住んでるんなら、話は別です。だが、みんな地球にゃ親類がいるし、生まれ故郷の町もあるんですからね』

     

    とは言っていますが……」


    fee「説得力ないなぁと思います。そりゃ、独身老人とかは帰るかもしれません。でもたとえば『音楽家たち』にしろ『火星の人』にしろ、家族総出で火星に来ている人たちは沢山いますよね。その人たちが、わざわざこぞって地球に帰るんですか? 死ぬために? それはないわぁって思います」

     

    残響「なるほど……。自分だったらどうする、というふうに考えて作品を読んでいなかったので、『そんなもんかなぁ』と思って読んじゃいましたが、言われてみるとおかしいですね」


    fee「ほぼ全員が地球に帰る事にしないと『火星年代記』という作品は成り立たないですし、『火星年代記』という作品自体はとても面白い作品だと思います。しかし……物語としてはプロット段階で破綻していますよね。もし僕が作家で、このプロットに気づいたら、お蔵入りになっちゃいます。でもお蔵入りにせずに書かなきゃ、名作は生まれないという事でもあるんですけど……」


    残響「あんなに褒めてたのに破綻作品扱いに(苦笑)」


    fee「ブラッドベリ先生は、精密なプロットを構築して物語を作る人じゃないですからね……。いいんですよ、これはこれで……。でもこの展開はなぁ……。もしみんなが一斉に帰るとするなら、火星の地で新たな伝染病が発生したとかね。あるいは、同調圧力とか……もう少し何か理由をつけるかな」


    残響「なるほどなぁ……ブラッドベリ自体は帰る人なんでしょうね。なんだかそんな気がする。自分が帰る人だから、あまり疑問に思わなかったのかもしれません」


    fee「あぁ〜、わかる気がします」

     


    ★2036年11月「オフ・シーズン」 ついに地球が核戦争に突入


    fee「ついに地球が核戦争に突入した『オフ・シーズン』。主人公は我らがナイスガイ、サム・パークヒルです!」


    残響「いよっ! 待ってました!(ドラムロ―ル音)」


    fee「火星にホットドッグ屋を構えたパークヒル君の元に、火星人が警告にやってきます。地球が核戦争の危機だ、と。しかしパークヒル君は、火星人はみんな敵だと思ってるから、打ち殺して逃げちゃう。そうしたら火星人が追いかけてきて、激しいデッドヒートの末、ついに捕まってしまいます。火星人は土地の権利書をパークヒル君にくれまして、大地主、サム・パークヒル君が爆誕するわけですね。その夜、地球は火の海に……」


    残響「大出世を遂げたパークヒル君が、柄にもなくポエムを詠むシーンが最高ですね。『懐かしき地球よ』と、サムは愛しげにささやいた。『懐かしき、素晴らしき地球よ。汝がひもじく飢えたる者を、我に送れ。何ものか、何ものか……あの詩はどう言ったっけ?』ってのがパークヒル君っぽいですが」


    fee「火星人は地球の危機を教えに来たはずなのに、結局は言わずに去っちゃっていますよね」


    残響「あまりにもパークヒル君がバカだから、伝える気もなくしちゃったんでしょうね……愚かだし、臆病だし……」


    fee「まぁなぁ……この手のタイプの人は、エネルギーはあるんですけどね。差別主義者で、知性が足りなくて、行動的で、でも気前が良くて仲間には親切だったり……」


    残響「悪人ではないけどDQNみたいな……」


    fee「まぁw なんだろ、でもこの手の人には好かれてしまえば結構優しくしてくれるので、たまに顔を合わせる分には嫌いじゃないですよ。いつもだと疲れちゃうけど」


    残響「サムにはホットドッグが合っている気がしますね。こういう人が作ったホットドッグって、なんだか妙においしそうで」
     

    fee「いいなぁ。サムのホットドッグ食べたい!」


    残響「サムの奥さんのエルマはしっかりしていますよね。火星人相手にもサムほど動じていないし、地球が燃え尽きるのを見てガックリ来るサムを励ましていますし」


    fee「励まして……はいないんじゃないでしょうか?」


    残響「てきぱきと濡れタオルを腕にかけて、『もっと明かりをつけて、音楽をかけて、ドアを開きましょう』とサムの尻を叩いて活気づけていませんか?」


    fee「いやいやいや、これはエルマの皮肉ですよ」


    残響「あー、そう読みますか……いやでも確かに皮肉だと言われればそうも……」


    fee「まず、『ここ何日かのあいだで初めて、エルマの眼は輝いていた』んです。サムがホットドッグ屋を開業するという、この輝かしい準備期間に、エルマの眼は輝いていなかった。つまりホットドッグ屋を作るのには反対だったんですね。『(十万人の飢えたお客様が来るのは)原子戦争が起こらなかったらよ。原子爆弾は信用できないわ』と言っています。核戦争を予感しているわけです。でも、バカなパークヒルに言っても聞きっこないので黙っている」


    残響「はい」


    fee「で、最後になって急に活き活きしだすんですよw 『あと百万年もしたら、またお客がどっと来るわ。準備しとかなくちゃね』『ホットドッグ・スタンドに、なんて打ってつけの場所だこと』、この2つの台詞は完全にエルマの煽りですよ」


    残響「準備しとかなくちゃね(プークスクス)w って感じでエルマは草を生やしてるのかww」


    fee「そうですよ。今まで散々サム・パークヒルに我慢してきたのか、鬱憤晴らしで煽りまくり、草生やしまくりですよ。もし失意のパークヒルを元気づけたかったら、『地球に皆が帰ってしまう前に、最後にお客さんが来るかもしれないわ。たった1日かもしれないけど、精一杯営業しましょうよ!』とか、そんな感じになると思うんです」


    残響「なるほどなぁ、草を生やしまくるヒロインとはw」


    fee「今まで散々パークヒル君のわがままに振り回されてきたんでしょうし、仕方ないですね……」

     


    ★2036年11月「地球を見守る人たち」 植民者たちが一斉に地球へ帰還する


    fee「ついに核戦争が勃発し、皆が地球に帰り始めます」


    残響「はい」


    fee「……何か話すことはありますか? なんかこの辺りの話、全部『鞄店』で話しちゃったからなぁ……」


    残響「そうですねぇ。それにしても鞄店はボロ儲けでしたね!」


    fee「サム・パークヒルのホットドッグを食べてから地球に帰る人はいないのかな……」


    残響「w 意外と美味しかったりして」


    fee「『貯蔵原爆ノ不時ノ爆発ニヨリ濠大陸ハ粉砕サレリ。ロサンゼルス、ロンドンハ爆撃ヲ受ク。戦争勃発ス』

     

    とありますけど、オーストラリアって原爆持ってませんよね?」


    残響「……ですね。まぁきっとこの世界では持っていたんでしょうw」


    fee「せっかく31年追加したって、このありさまじゃなぁ……ロンドンとロサンゼルスが爆撃されたみたいですが、相手は誰なのかしら」


    残響「第三次世界大戦じゃー……っていっても、描写がないのでござった……」


    fee「この辺はなんかセカイ系っぽいですよね。どことどこが戦争してるんだかわからないけど、とりあえず戦争してる。さて、次行きますか」

     


    ★2036年12月『沈黙の町』 人のいなくなった火星。取り残された地球人は……


    fee「主人公はウォルターさん。山奥に住んでいた情報弱者のウォルターさんは、みんなが地球に帰っちゃったのに気づかずに、取り残されてしまったんですね。寂しくて色々と電話をかけたりしていると、なんとジェヌヴィエーヴという女性に繋がります。期待に胸を膨らませて会いに行くと、これがとんでもない女で、逃げてしまい……『そして、長い年月をおいて、ごくときたま、電話が鳴るが、ウォルターは、けっして返事に出たことがない』


    残響「人のいない火星の描写が実に良いですね。ぼく、こういうの好きなんですよ。人がいない街。世界崩壊後みたいな、ディストピアみたいな」


    fee「僕もそういうのは好きですね。しかもウォルターさんはジェヌヴィエーヴに会いに行くために何百キロも車を飛ばしていますし。無人の道路を突っ走る、ロードムービー的な……」


    残響「最高ですね! 2017年秋から始まるアニメで『少女終末旅行』という作品があるんですが」


    fee「どれどれ。(ストーリーを見る)あー、『ほのぼのと生き抜く』のか。あまりほのぼのしない方が好みです」


    残響「もっとガチというか緊張感のあるやつですか?」


    fee「僕のお薦めは、ロジャー・ゼラズニイの『地獄のハイウェイ』ですね。ゼラズニイ作品は苦手なんですが、この作品だけは好きなんです」


    残響「ふむふむ(ストーリーを見る)。あ、こういうの結構好きそう。Amazonの欲しいものリストに入れとこ」


    fee「ありがとうございます。250ページぐらいなので読みやすいと思います。後はそうですね、『キノの旅』とか」


    残響「あぁ、なるほど」


    fee「もう少し疾走感があるとロードムービーっぽくなるんですが……。あと、『Planetarian』とか」


    残響「ありましたねぇ」


    fee「僕たちRPGも好きですからね。FF6の世界崩壊後とか、ワクワクするでしょ?」


    残響「この対談はなぜかFFの話が多いw」


    fee「ちょっと脱線が過ぎましたね。えと、なんだっけ。そうだ、残響さんがディストピア描写が良いと言っていたところでした」
     

    残響「ですです。それと同時に、人がいなくなって、『火星年代記』という物語自体も終焉に向かっていくという、そういった寂しさも感じました」


    fee「なるほど……。確かにこの後は、ワイワイとたくさん人が出てくる話はありませんしねぇ。で、僕の感想なんですが……」


    残響「はい、お願いします」


    fee「これ、出会い系小説だなーって」


    残響「出会い系ですかww」


    fee「メル友とか文通でもいいですよ。相手の顔が見えない状態でメッセージを送り合って、それでいざ会おう、となった時の話です。男性は……女性もそうだと思うんですけど、相手に対してやっぱり『期待』しちゃうと思うんですよ。『美人』だったらいいな、みたいな。同時に『生理的に無理』なレベルの人が来たらどうしよう、という脅えもあると思いますが」


    残響「生理的に無理って……w」


    fee「一緒にいる時間をできるだけ減らしたい!レベルに嫌な人、ってことです。……僕だってこんな辛辣な事言いたくないですよ! でもジェヌヴィエーヴの話をこれからするんだから、しょうがないでしょ!」


    残響「まぁまぁww わかってますから大丈夫です」


    fee「こほん。とにかく、『期待』と『不安』入り混じる中、まぁたいていは超絶かわいいわけじゃないものの、『うん、まぁ割とかわいい』とか、『うーん、タイプじゃないな』と思いつつも、全力ダッシュで逃げたくなるほどの人にはなかなか会わないと思うんですよね」


    残響「そういうものですか」


    fee「いや、僕だってそんなに経験ないけどww で、ウォルター君は純朴だったのか、『期待』ばかり膨れ上がっちゃったんですな。火星で、ひょっとすると生き残りは自分とジェヌヴィエーヴしかいないかもしれない。となれば、高確率で一緒に住んだりとか、近くに住んだりする可能性もありますよね。やっぱり一人ぼっちは寂しいし」


    残響「ふむふむ」


    fee「もしジェヌヴィエーヴが美人だったら、ウォルター君に春がやってきたかもしれませんよ。『終末の世界をいちゃいちゃと生き抜くいちゃらぶディストピアが今、幕を開ける』かも」


    残響「なにそれ、最高じゃないですか!(早口)」


    fee「ウォルター君の描写はあまりないけど、恋人はいないですよね? そんなにモテモテでもないでしょう。そんなウォルター君が美女と結ばれるチャンスだったのに……何百キロも車を飛ばして会ってみたら……」


    残響「夢も希望もないww」


    fee「控えめに言っても最悪ですよね。ブスなだけじゃなくて……」


    残響「なんか汚いですよね」


    fee「チョコレートでべたべたの手で握手しようとしてきますし。食べるなとは言わないけど、手ぐらい拭いてほしいw」


    残響「性格だって……」


    fee「ジェヌヴィエーヴは空気が読めない。相手がドン引きしているのに婚礼衣装を持ってきたり」


    残響「ヤバいですよ。狙われてる感じがw」


    fee「人の名前をいっつも間違えるし、延々同じ映画見たりするしw

     

     『みんなが、あたいをいじめるからさ。だから、あたいは、いちんち中、香水をからだにふりかけても、なん万杯ビールを飲んでもかまわない、『おや、それはカロリーがありすぎますよ!』なんて言われないで、お菓子をどっさり食べられるところに、残ったのよ!』
     

    これもねぇ。ちょっとぶっちゃけすぎですよねw」


    残響「香水はさすがに勘弁してほしいなぁw」


    fee「欲張りすぎなんですよ。もしこれをやりたいなら、当然ウォルターの事も諦めなきゃいけない。ウォルターを手に入れたいなら、香水とビールとお菓子はほどほどに、ですよ」


    残響「でもジェヌヴィエーヴはきっと、『このままの自分を愛して』なんでしょうね」


    fee「少なくともこの時はそうですね。『きみはいくつだい?』に対する『あててごらんよ』のところも最高。『三十だな』と、ウォルターが言った。『あら、あたい、まだ二十七よ、失礼しちゃうわ!』ジェヌヴィエーヴは憤然と言った」。
    たいてい、外見年齢ってちょっと下めに言いません? 30に見えたら、『27歳ぐらいに見えますね!』みたいな。でも、下めに言っても30だとしたら、一体ウォルターにはジェヌヴィエーヴが何歳に見えたのかw」


    残響「ウォルターはもうこの時点で嫌気がさしていて、適当に本当の事を言ったのかもしれませんよ? こいつにお世辞言ってもしょうがないなと思って、『30に見えるな』って」


    fee「あー……そうかも。確かにそうかもしれないですね。となると、ジェヌヴィエーヴが27歳なのに35くらいに見えたという老け顔説は一蹴されちゃいますね」


    残響「まぁ一応3つ上には見えているわけですが」


    fee「3つ上ぐらいなら誤差範囲でしょw ちなみにウォルターはクラーク・ゲーブルに似てる、のかな? ほんとに?って感じもしますが」


    残響「クラーク・ゲーブル?」


    fee「昔の俳優さんですね。これです


    残響「おぉ、なるほど……」


    fee「ちょっと渋すぎる気もしますがw」


    残響「それで思ったんですけど、ブラッドベリはあまり人物の外見描写を書かないんですよね。でも、ジェヌヴィエーヴの描写はえらく気合が入っていて、10行も書いています。
     

    『女は、ふたの開いたクリーム・チョコレートの箱をかかえこんでいた。箱を抱いているその手は、ぶよぶよ肥って、色艶が悪かった。陽の光の中へ出てきたその顔は、まんまるく肥えていて、眼は、真っ白なパン粉を捏ねた中に突っこまれた、二個の大きな卵のようだった。脚は、樹の幹のように太くて、それを不格好に引きずって歩いていた。髪の毛は、判然としない茶褐色で、鳥の巣の御用を、何度もつとめさせられていたように見えた。唇らしいものが全然なく、その埋め合わせに、大きな、真っ赤に脂ぎった口が描かれていて、いま、その口が、うれしさにぱくりと開いたと思ったら、急に驚いたように、また閉じてしまった。眉毛は、余分な毛が抜かれて、細い、アンテナ線みたいな形にされていた』


    fee「もうね、何もかも酷いね……そんなジェヌヴィエーヴに言い寄られたら……」


    残響「そりゃ逃げますよw」


    fee「逃げるシーンも面白いですね。

     

    『ウォルター・グリッフ、もどってきてよお!』ジェヌヴィエーヴは、両腕をふりあげて、泣き声をあげた。『グリップだよ』と、ウォルターは訂正した。『グリップったら!』ジェヌヴィエーヴが叫んだ。
     

    ウォルターが名前を訂正させているのも面白いし、ジェヌヴィエーヴがようやくウォルターの言葉をちゃんと聞いて訂正しているのも面白いw」


    残響「この後、ジェヌヴィエーヴからの電話にウォルターが出る事はないんですね……」


    fee「ひょっとしたら、ジェヌヴィエーヴは改心して、すごい綺麗になって電話してきてるかもしれませんよ? でも電話に出なきゃそれもわからない……」


    残響「まぁ、ないと思いますよw」


    fee「電話に出ちゃうと、場所が分かっちゃいますからね。場所が分かったら、絶対会いにくるでしょ。それが怖いから出られないんですよ。もしこれが携帯電話なら出てちょっと話をするくらいしてあげても……と思うんですが。ジェヌヴィエーヴはきっと電話帳を何周も何周も、片っ端に上から下まで電話してるんでしょうね。健気だなあ」


    残響「うーん……」


    fee「ちなみにもし残響さんがウォルターの立場だったら、どうします? 電話して会いに行きますか?」


    残響「暇だったらいく感じですかね。ぼくなら、ジェヌヴィエーヴみたいに一人で好き放題やって楽しく暮らすかな……」


    fee「僕だったら……多分、寂しくて自殺しちゃうな……」


    残響「そこはぼくたちは全然違いますね。どちらが良いという話ではないけれど」


    fee「そうですね。だから、まぁジェヌヴィエーヴはヤバいと思いますが、僕はジェヌヴィエーヴに対して多少同情的なんですよ」
     

    残響「逆にぼくがジェヌヴィエーヴだったら、ウォルターのためにお菓子やビールを我慢したりはしませんね」


    fee「僕ならするなぁw いや、もちろんお菓子やビールが全部ダメ!とかだと嫌かもしれないけど、ほどほどにね。1日1回のお菓子、1日1〜2杯のビールを許してくれるならいいと思うんだけどなぁ。ところで、この後のネタバレになりますが、火星にはハザウェイさんもいたはずですよね。電話に出なかったのかな?」


    残響「そういえばそうですねw」


    fee「ハザウェイさんのように、ジェヌヴィエーヴにも火星人が来てくれれば良かったのになぁと思いました」

     

     

    第6回に続く……

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