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    ブラッドベリ『火星年代記』読書会(4)

    • 2018.01.03 Wednesday
    • 12:28

    ★2034年 5月「荒野」 火星に行った男を追って、女もまた旅立つ

     

    fee「あらすじから行きます。主人公はジャニスとレオノーラという二人の女の子です。ジャニスには火星に行っているウィルという婚約者がいます。そのウィルが、ジャニスと一緒に住んでいた地球の家を、火星でそのまま再現しまして、その写真をジャニスに送ってきたんですね。で、それを受け取ったジャニスが、ホームシックと戦いながらも、『火星へ行くぞ!』という、出発前夜を描いたお話です」

     

    残響「出発前夜なんですよね。実際にはまだ行っていない」

     

    fee「地球にある家を、そのまま火星で再現して写真を送ってくるという発想が、ブラッドベリらしいなぁって」

     

    残響「あぁ、わかります」

     

    fee「こういうの好きですよね、ブラッドベリって。『第三探検隊』でもあったし、『第二のアッシャー邸』でもあったし、『太陽の黄金の林檎』にも『草地』がありましたし……」

     

    残響「めちゃくちゃ使いまくってますね、この【再現】系の設定w」

     

    fee「昔のものを残したい人なんですよ、ブラッドベリってw」

     

    残響「あぁ、なるほど」

     

    fee「多分、母校が統廃合とかになると悲しんじゃうタイプですよ。自分がいた部活が潰れちゃうと悲しいし、OBとしていつまでも後輩の顔を見に来るタイプかなと」

     

    残響「『次、行こ、次!』 ってタイプではないですよね」

     

    fee「そうですね、『次、行こ、次!』が読みたかったらハインラインを読みましょう。地球がダメになったから違う星に行くぞ! 違う星もダメになっても、まだ宇宙には無限の星々があるんだ! 完 みたいな」

     

    残響「またハインラインがやり玉にあげられてるw」

     

    fee「いやいやww 読んだ時に驚いただけですw そんなストーリーでいいんか!?っていうね。でも、そんなストーリーでいいんか!?って思っちゃうのが僕の立ち位置とか、ブラッドベリの感覚で、そうだー未知の世界が待ってるぞ!って胸をワクワクさせるのがハインライン的な感じではないでしょうか。冒険漫画的な」

     

    残響「なるほど」

     

    fee「『荒野』に話を戻します。出発前夜なんですが……レオノーラっていうのは何者なんですかね?」

     

    残響「ほんと、なんなんだろ。ジャニスの親友なんでしょうけど、よくわからないんですよね。……そこで出てきた仮説が」

     

    fee「3Pカップルなんじゃないかっていう。3Pカップルっていうか……シェアですよ。やっぱりいい男性は貴重だから、みんなでシェアしないとねって話で」

     

    残響「シェアですか」

     

    fee「シェアですけど、正室はジャニスです」

     

    残響「レオノーラは愛人というか、【サブポジションで満足している】女性なのかなって思ったんですよね」

     

    fee「サム・パークヒルを独占するよりもウィルを二人で分け合った方が、絶対お得ですしね」

     

    残響「まぁね……(沈黙の納得)」

     

    fee「ジャニスが相手ならいいんじゃないですか。友だちであるジャニスと二人で分け合って、二人で絞りつくせばですね、ウィルは他のところに浮気に行く元気もなくなってしまって、これでもうめでたしめでたしですね」

     

    残響「純愛系の路線なんだけど、ハーレムものというか萌えエロものというか……」

     

    fee「この話、純愛系なんですか? うーん……というか、レオノーラが3Pカップルなんていうのは僕らが勝手に言っている仮説ですしね。実際、レオノーラとジャニスが一緒に火星に行く理由が解らないので、作られた仮説にすぎません」

     

    残響「なんでジャニスと一緒に行くのか。【私も一緒に行くわ】という流れがどうもよくわかりません」

     

    fee「そう。レオノーラが火星に何をしに行くのかがわからない。レオノーラにも既に男がいて、その男から同じタイミングで手紙が来た〜みたいな設定があれば、僕だって3Pカップルなんてふざけた事を言わずに済むんですけど……」

     

    残響「エロゲの話になっちゃいますけど、従者系のヒロインならわかるんですけどね。ジャニスが主人で、レオノーラが従者的な……。ちょっと話は変わりますけど、『荒野』に出てくる男性原理、女性原理みたいなものが、ぼくはかなり苦手でした」

     

    fee「『私たちは女なんだから、女は後からついていくのよ!』みたいな台詞がありましたね」

     

    残響「そうそうそれそれ」

     

    fee「男女観が合わないんですね。まぁ古くさい昭和な考え方ではありますね」

     

    残響「私たちは子供を産む機械なのよ、までは行かないけど……あんまり好きな考え方じゃないです」

     

    fee「わかりますよ。わかりますけど……『荒野』はそこまでキツくないんじゃない?」

     

    残響「まあそこは、ぼくが過敏反応しているだけであって。仰る通り、フラットに見ればそんなにキツくないです」

     

    fee「実際のところ、開拓者なので。男が先に行って、ある程度環境を整えて女性を後から迎え入れる。以前も言いましたけど、この『火星年代記』自体が、コルテスのアステカ征服をモチーフにしていると思っています。そう考えると、ある程度しょうがないんじゃないかなと。僕もあまり、男が〜女が〜という考え方は好きではないですけどね」

     

    残響「なるほど。『わたしたちの子供は、アメリカ人でも、地球人でもないのね。わたしたちは、これからあと死ぬまで火星人になるのね』という台詞も、なんかぼくからしたら、陵辱系エロゲの『嫌ッ! 嫌ぁっ!! あなたの子供なんて産みたくないぃぃぃ!』みたいな……」

     

    fee「いやいやいやww代々続いている肉屋に嫁ぐので、『私に子供ができたら、子供も肉屋になるのかしら』くらいの発想でしょ。あるいは、残響さんに彼女がいるとしてですね。彼女がアメリカで働いていて、『残響さんもこっちに来て暮らしましょうよ』的なですね。で、残響さんがアメリカに行って子供ができたら、子供もアメリカ人になるでしょ?」

     

    残響「あーなるほどなるほど。そういうふうに考えるのが普通か……どうも蟲に陵辱されるヒロイン(嫌ぁっ! 蟲の卵なんて、子供なんてぇっ!)みたいなものを連想してしまって……」

     

    fee「ウィルは一体何者なんですかww そんなに嫌なら行かなきゃいいんですw」

     

    残響「作品全体を通して、浮ついた女の子っぽさと、ドロッとした女性観みたいなものが矛盾なく共存しているような。悪い意味でキャーキャー言ってるのがジャニスで、飄々としているのがレオノーラで」

     

    fee「P234、2行目 ジャニス『わたし、このままではオールドミスになってしまう』 レオノーラ『それがいやなら、予定通り行動することね』」

     

    残響「ジャニスがあぁでもないこうでもないって騒いでいるのを見て、ひそかに楽しんでいるレオノーラという百合妄想……」

     

    fee「まぁとにかく、レオノーラの方が落ち着いている、と。人称の問題ですが、心理描写があるのはジャニスだけなんですよ。レオノーラが何を考えているかは、よくわからない」

     

    残響「そうなんですよね」

     

    fee「そういうこともあって、レオノーラがクール系に見える、と。クールな姉さんで、愛人でもOKと。レオノーラの方が、ジャニスよりも色々と計算高そうな感じはありますね。
    P230、14行目『ウィルって』と、レオノーラはうなずきながら言った。『しっかりした人ね』。
    この台詞を見ると、3Pとか愛人っていうほど、ウィルとレオノーラの関係は近くない気がしました。……3P恋人説は無理があるか……」

     

    残響「もう一つ説があるとすれば、ジャニスとレオノーラは娼婦なんじゃないかっていう……」

     

    fee「ん? レオノーラは娼婦かもしれないが……」

     

    残響「ジャニスもです」

     

    fee「ジャニスも??」

     

    残響「ジャニスとウィルが割といい仲になっちゃって、レオノーラもついでだからついていくみたいな」

     

    fee「仮に娼婦だったとしても、ジャニスはウィルと結婚して娼婦引退でしょ? 娼婦……娼婦にもいろんなタイプがいるけど……娼婦でこんなに無邪気なのかなぁ、ジャニスちゃん……」

     

    残響「だからこそ無邪気だという説……の可能性もあるんですよ、個人的には」

     

    fee「……うーん。……レオノーラは本当に謎ですよね。結局レオノーラの謎は解けないですね」

     

    残響「解けませんね……こんなに謎な人物だとは思わなかった」

     

    fee「家の写真が届いているけど、レオノーラが一緒に住むって話は特にないみたいだし、レオノーラは火星に行った後どうするのかな。火星にわざわざ行って、ホームレスになるのか?っていう。ジャニスの家は新婚でしょ? 新婚の家にお邪魔するのもちょっと気が引けますしねぇ」

     

    残響「そういえば、ジャニスとレオノーラって距離が近すぎるんですよね」

     

    fee「近いよねぇ」

     

    残響「ラストシーンで、同じ部屋でベッドに寝て、寝るまでずっと、これからの不安の事を語ってるんです。友人というには近すぎて、ほとんど姉妹的な」

     

    fee「ちなみにこれ、別々のベッドに入ってるんですよね? 一応P237 9行目『ジャニスはベッドのなかに一人横たわっていた』とあるし。まぁ同じベッドに入っているけど、一人で横たわっている気分になる事もありますけども」

     

    残響「あっそうか。まぁそこは読み方次第ですけど……」

     

    fee「喋っていても、レオノーラの謎は解けそうにない……次に行きますか」

     

     

    ★2035―2036年 名前をつける  地球風の地名がつけられる

     

    残響「短い話ですけど結構面白いですね。地名の設定集みたいな、こういう感じはいい。スペンダー丘がありますよ!」

     

    fee「ヒンクストン・クリーク、ラスティグ・コーナー、ブラック河……亡くなった人ばっかりだな……。あれ、でもドリスコルの森がありますよ? ドリスコルは死んだんですか?」

     

    残響「2032年『緑の丘』で植林してた人ですよね? え、死んだの? 潰えたの?」

     

    fee「生きながら伝説になったのかもしれませんね……」

     

    残響「おっ、格好良い……イカす……お前が、お前こそがドリスコル!」

     

    fee「サム・パークヒルやビグズの名前がついていないんですが……」

     

    残響「彼らは英雄ですからもっと大事なところにつけられたんですよ。ビグズ市とか、サム・パークヒル州とか……。ラストは『第二のアッシャー邸』に続くような感じで終わっていますね」

     

    fee「自治厨みたいな人が来ちゃったんですな……」

     

    残響「自治厨って単語を久々に聞きましたw なつかしい……。今も使われるんだろうか」

     

     

    ★2036年4月「第二のアッシャー邸」 火星にも禁書取締官が到来

     

    fee「エドガー・アラン・ポーの『アッシャー邸の崩壊のオマージュだと思うんですが……」(青空文庫に本文があります)

     

    残響「残念ながら読んでないです。そのせいか、よくわからなかったんですよね。何が書いてあるのか」

     

    fee「スタンダールさんという資産家が、自治厨を虐殺する話ですよね。この世界では2006年に焚書が行なわれたらしく、ほとんどのフィクションが消え去ってしまったようです。ラヴクラフトもホーソーンもアンブローズ・ビアースも。アリスもジャックと豆の木も眠れる美女も。で、ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』ばかり作ってるw」

     

    残響「『美しい文学上の嘘』や、空想の飛躍がある作品は全部焼かれたみたいですね」

     

    fee「田山花袋の『蒲団』なら焼かれずに済みそうw 太宰治の『人間失格』とか、日本の純文学は結構生き残れるのでは?」

     

    残響「『蒲団』ww 太宰は【美しい文学上の嘘】があるからダメかもですねw」

     

    fee「『火星年代記』と『華氏451度』って、ひょっとして同じ世界なのかな……」

     

    残響「どうなんでしょう。でも、『火星年代記』自体がいろんな短編の寄せ集め感があるから……*1」

     

    fee「それもそうですねw で、ですね。スタンダールさんは、お化け屋敷みたいな家を火星に建てたんです。すると、それを取り締まるギャレットさんがやってくる。ギャレットさんを『アッシャー邸の崩壊』になぞらえて殺し、そのまま『アッシャー邸の崩壊』どおりに家を崩していくわけですね。僕も『アッシャー邸の崩壊』は読んでいないのでよくわかりませんが……」

     

    残響「焚書に対する抗議とか、そういう感じなんでしょうか?」

     

    fee「そういう側面はもちろんあるでしょうね。まぁ、作品どおりの家を作って、【道徳風潮調査官】を殺して、作品どおりに家を壊すって、ものすごい道楽だなぁとは思いますがw」

     

    残響「あぁ〜、これってスタンダールさんが大暴れするお話、というふうに読んだ方がいいのかな?」

     

    fee「そういう側面ももちろんありますよ。『太陽と黄金の林檎』読書会で話した『人殺し』みたいな。スタンダールさんは中二病患者ですから。『さあ、言うんですよ。言いなさい、神の御名にかけてモントレソー』」

     

    残響「www」

     

    fee「ロボットが本物と入れ替わる、という発想は、『刺青の男』という短編集にも出てきます。ところで、ギャレットさん以外にもたくさんの人が殺されていますが、これは……あぁ、空想防止協会の会員、ハロウィンとガイ・フォークス追放の張本人たち……か」

     

    残響「ですね」

     

    fee「ギブス嬢、ポープ嬢、チャーチル嬢……嬢ですか? 焚書が行なわれたのって30年前でしょ? 一体この人たちは何歳なんですか?」

     

    残響「その辺は訳のテクニカルな問題なのかなぁ」

     

    fee「嬢っていうから、てっきり20代くらいなのかと思いましたけど、20代だと焚書の時に生まれてもいないですよ。30年前に焚書側のメンバーだったとするなら、50代とか60代でもおかしくないような?

     

    『こわいわ!』ポープ嬢は啜り泣いた

     

    ……うーん、やっぱり若い子の描写にしか思えないけど……」

     

    残響「あまり考えてもしょうがないようなw キャラ立ちしてるわけでもないですし」

     

    fee「夫人とか書いてあればまだ納得できたんですが……。焚書の発端についても触れておきます。

     

    『かれらは、まず、漫画の本の統制から始めた。それから探偵小説の統制、もちろん映画におよんだ』 

     

    一度何かを規制し始めると、際限がなくなる。そういう恐れは確かにありますね」

     

    残響「エロゲを規制したがる人たちがいますが、現代日本もエロゲの規制を発端として大規模な焚書に」

     

    fee「そういう流れになる可能性はあるでしょうね。明確な線引きがなく、ただ単純に嫌悪感から規制をしたいだけだったりすると、そうなりかねません。ホラー小説が大好きだったスタンダールさんは、ホラー小説を規制した反対派を、元作品に見立てて殺していくわけですが……」

     

    残響「凄い人数を殺してますよね。暴れすぎですよ。戦国スタンダールさん大暴れ」

     

    fee「エロゲーマーの場合は、『エロゲを規制するザマス!』みたいな教育ママを、最終痴漢電車に乗せて痴漢するって話になるんですかね」

     

    残響「アッシャー邸にも大ザルが出てきますし、獣姦いけますよ!」

     

    fee「やられたの誰だっけ……」

     

    残響「ギャレット氏」

     

    fee「男かよ! 獣×男はちょっと……」

     

    *1 ジャンル論的な小話。この場合、スターシステムというよりは、シェアードワールドの可能性もあるかも。ブラッドベリ=ラヴクラフト御大の孫弟子、な系譜……といったら言い過ぎですが。

    (1)スターシステム……ある作者が作ったキャラを、設定や役柄を変えて他の作品でも使いまわすこと。藤子不二雄作品における「ラーメン大好き小池さん」みたいなキャラ。

    (2)シェアードワールド……ある作者が作った設定・舞台を、他の作品で舞台背景・裏設定的に使うこと。ひいては、オリジナルの作家の枠を超えて、様々な作家が己の作品の舞台・設定として使う(シェア)ことにより、「〇〇文化圏」みたいな作品群を形成する。例:ラヴクラフトの「クトゥルー神話体系」。(残響)

     


    ★2036年8月「年老いた人たち」  老人も到着

     

    fee「ついにご老人も到着。『乾し杏みたいな人たち、ミイラみたいな人たちが、とうとう火星へやってきたのである……』」

     

    残響「ひどいww  ブラッドベリは老人の事が嫌いなんだろうか……いや、ある意味好きだからこういう書き方をしているのかも……」

     

    fee「それぐらいしか語る事はないですねw」

     

     

    第5回に続く……

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