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    ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(5)

    • 2017.06.05 Monday
    • 21:17

    第14作目/全21作(「荒野」は除く) 「発電所」 P263〜282
    残響評価 A-   fee評価 B−

     

    fee「いつもは僕があらすじを言うんですが……僕この話、ちょっとよくわからなかったんですよね……」

     

    残響「これ、いい話なんですよ。えと、登場人物は一組の夫婦で旅をしてるんですが、奥さんの方がちょっと人生に疲れちゃったんですね。先行きも不安で、なんか心細い。で、休憩で発電所に立ち寄るんですが……そこで不思議な出来事が起こって電波みたいなのを受信する、と。その電波に癒されて『私は一人じゃないんだ』という穏やかな気持ちになります。同時に、隣にいた夫の事もより深く理解できるようになる。夫も同じように『自分は一人じゃないんだ』といつも思っていたからこそ、常にどっしりと構えていられたんだ、と奥さんは理解する。そして、『これからは時折、発電所に来ましょうね』と奥さんが言って、夫も同意する。そんなお話ですね」

     

    fee「そんな話だったのか……」

     

    残響「文中で、最初のほう、キリスト教的な単語が出てきます(「教会」「聖書」「牧師」)。それを考えると、元々、一神教的なキリスト教(God)の教えが、奥さんにとってはあまり馴染まないものだったのかな、と。しかし奥さんにとっては、後半で示唆される、【神(Spirits)は遍在する、どこにでもいる】という、アニミズム的な宗教観が肌に合っていたのではないでしょうか。発電所の電波から福音(? あるいは霊感?)を受けたというか、そうした気づきを得たというか。だから *1いい話だなぁと思うんですけど……feeさんはどんな話だと思いましたか?」

     

    fee「えーと、僕はこれはエロゲの『雫』みたいな話かなって。あの、『雫』未プレイなんで適当な事を言ってるんですけど、毒電波みたいなのを受信した話かなって」

     

    残響「『雫』!w なんてこったい、凄いところ来ましたねw」

     

    fee「電波を受信した後、奥さんが謎の音楽をハミングするじゃないですか。このハミングを聴いてしまった人が、またハミングをする。ハミングの連鎖が起こって、世界中が発電所の毒電波に洗脳される。そんな感じのホラーかなと思って読んだんですけど」

     

    残響「『巫女みこナース』でも流してるんですかねww 頭痛生理痛(略」

     

    fee「しかも奥さんは、また発電所に行きたがっている。末期の電波中毒ですね。そのうちご近所誘って発電所に行くようになります。そして新興宗教、電波教の誕生……」

     

    残響「なんかラヴクラフトっぽいな……この電波を、善きものとして読むか、禍々しいものとして読むかは読者によって変わってくるのかな。しかしまあ、確かに電波、そして物語の描写、確かに禍々しい感じもするな……」

     

    fee「この作品を読んだ読者の方にアンケートをとって聞いてみたいですね。善きものとして読んだのか、禍々しいものとして読んだのか。それにしてもこの話、難しかったです」

     

    残響「何が書かれているのか、ざっと読んだだけじゃ掴み切れないですね。もっとも『草地』の方が難しかったかなと思いますけど」

     

    fee「あぁ『草地』か……次はじゃあその『草地』で行きますか」

     

    残響「了解です」

     

     

    (注1)……残響がこのように発言しているのは、昔読んだ和風伝奇/クトゥルー神話趣味漫画、八房龍之助『宵闇眩燈草紙』(やつふさたつのすけ・よいやみげんとうぞうし)の影響が濃い。漫画後半、アメリカを舞台にした「シホイガン編」にて、作中でこんな問答がある。

     

     

    「そんな事はあり得んッ 正しき信仰を胸に日々悔い改め続けた正しき我ら神の子に正しき神が正しき救いの正しき恵みを正しく与えたもうに正しく違いない!!」

     

    「神父よ、おそらく貴様等と我々では『神』の概念が違う。神とは比類なき何がしかのベクトルを持って突出したエントロピーの代名詞に過ぎん。水、風、大地、獣、路傍に転がる石コロに致るまでそれは神たりうる。神とは崇め奉り何とかして欲しいと救いを求められるモノじゃない。神とは畏れ、伏しどうか何もしてくれるなと宥め賺すモノだ。あの日、騎兵隊の虐殺戦の前夜、族長 ロッキング・ボアから俺が言いつかったのはただ一言。『あるがままなり』」

     

    「野卑な原始宗教の言いそうな……」

     

    (残響)

     

     

     

     

    第15作目/全21作(「荒野」は除く)「草地」 P313〜342

    残響評価 A fee評価 C+→読書会を経てB 

     

    残響「あらすじです。映画の撮影現場で働く夜警のおじいさん、スミスさんが主人公です。映画のセットが取り壊される事になるんですが、スミスさんはどうにか壊させまいとするんですね。そこで出てくるお偉いプロデューサーのダグラスさん。彼がオカシなスミスさんを説得しようとするんですが、しかし最後、ダグラスさんはスミスさんに逆に説得され、映画のセットは守られる。そんなお話になっています」

     

    fee「これ、最初に読んだ時は難しい話だなぁと思ったんです。でも、こうして聞くと結構単純な話だったんですね」

     

    残響「映画のセットの描写がやけに細かいんですよね。固有名詞(世界各国の建築物名)もバンバン出てくるし」

     

    fee「そう。ニューヨークの聖パトリック教会とか、ロストフのギリシャ正教の教会とか、オシュコシュとかスワッソンとか、色々言われても全然イメージできなくて。ダルいなぁ、難しいなぁと思って読んでたんですけど……何てことはない、世界中のあらゆる場所が映画のセットになっていたんだな、って考えればそれでいいんですね」

     

    残響「難しいと言えば、ぼくはスミスさんの行動原理がよくわからなかったんですが。なんでこんな撮影セットにこだわるんだろうって」

     

    fee「そこはほら、ブラッドベリは大体昔のものをそのまま残そう、みたいな人だから」

     

    残響「うーん……それにしてはクレイジーな……」

     

    fee「ジオラマみたいなものでしょ? そりゃ大半の人から見たらどうでもいいものかもしれないけど、スミスさんにとってはめちゃくちゃ愛着があるんですよ」

     

    残響「あぁ、そう見るのか。それならわかりますよ。ぼくもスミスさん側だ。どれだけ手間暇かけてジオラマを作ったと思ってるんだ!ってなりますよ *2」

     

    fee「まぁ、この撮影セットを作ったのはスミスさんではないですけどねw ただ、P320 7行目『三十年間、わしはこの土地が育って、こんな世界になるのを、見守ってきた。この土地といっしょに生きてきたんだ。楽しいくらしだったよ』って言ってるぐらいですし、30年間働いてきた職場なわけでしょ。そりゃ愛着も湧きますって。土地開発とかと同じですよ。昔ながらの商店街を壊して、新しいショッピングモールを建てようって言ったら、嫌がる人は絶対いるでしょ。土地の所有者ではないのに嫌がって反対運動をするのは、道理としてはおかしいし、皆がそんなワガママを言っていたら何も進みませんけど……しかし、気持ちとしては大いにわかりますね」

     

    残響「なるほどなぁ……確かにわかる。そもそも、スミスさんが抱く、虚構(撮影セット)への思い入れみたいな、そういう虚構が生み出す何かしらの『感情』が映画産業そのものを支えているとも言えますし。『虚構&感情』がなければ、映画という『創作』はそもそも成り立ちえない。そういう意味で、『虚構』を壊したくない、残したい、という気持ちもスミスさんは持っているのかもしれませんね」

     

    fee「言われてみれば確かに、あるでしょうね……。僕はそこまで深くは読めていませんでしたけど、納得です。『火星年代記』にもそんな話がありました……」

     

    残響「原型みたいなものなのかな。アイディアの再利用というかw やっぱり夜警のおじいさんが主人公というのも良いんでしょうね。これがもしスミスさんが美少女だったら……」

     

    fee「ダメでしょ。大体美少女だったら『30年間』の重みが出ない。つい最近バイトで入ってきた美少女なら、『新しい職場を探してください』で終了でしょ。でも美熟女ならいいんじゃないですか?」

     

    残響「美熟女ねぇw ロリババアみたいなのでもダメじゃないですか? ……しかし、これは差別意識なのかもしれないけど、やっぱり夜警というか、うだつの上がらなそうな職業……」

     

    fee「まぁ金持ちだったら、自分の土地でやってどうぞ、で終わっちゃいますからね。明るそうな人はダメですね。生活に疲れてそうな人が良さげ」

     

    残響「もう私にはこれしかないんだ、的な……」

     

    fee「そうそう」

     

    残響「この作品で面白いのは、ダグラスさんがスミスさんに説得されて、映画のセットを残すという結末ですね。これがもし『歩行者』の警察だったら……」

     

    fee「『歩行者』の警察車は文字通りひとでなしですからw ミードさんと同じようにスミスさんも捕まっちゃいますよ。しかし、そう。『歩行者』と違ってハッピーエンドなんですよね」

     

    残響「うん、そう。優しいお話だと思いました」

     

    fee「そうですね。なんか、難しい話だと勝手に思ってたけど、こうしてお話してみるとそうでもなかったな。面白かったです」

     

    (注2)……対談ではあっさり流した残響ですが、これをこと細かく言っていくと、へっぽこモデラー/模型マニアとしては、激おこぷんぷん丸となってしまうカム着火怒りのファイヤー!なので流しました(古!)

    何しろ模型を知らないひと、「ものづくり」を知らないひとは、こういうジオラマにかかる労力、時間も、ちょいちょいっと作るように思えてるんだからアレ。現実はマインクラフトじゃないんだっちゅうの。まずボードの設定をして、そこに粘土や発泡スチロールで地面や岩石の土台を作り、ライケンやパウダーとかで草地を表現(これでもシーナリー造形を大幅に簡略化した説明)。同時に建物をキット流用だったとしても所々改造して手を加えながら作りつつ、鉄道模型だったらフレキシ線路の処理をしたり、AFV(戦車模型)だったら全体の戦場の流れを設定したり、という作業(これでもストラクチャ造形を大幅に簡略化した説明)。そして楽しいウェザリング(退色表現=サビとか空気の質感を表現する「汚し」作業)!! そんなふうに無限に何時間何十時間も手が入れられる楽しい工作の成果を、本文であるようにバッカーン!と壊されようものなら、これはもはや「生命を賭けた時間を破壊しているのだ」と表現して差支えはないっ!! まさに激おこぷんぷん丸ですよ!(残響)

     

     

     

    第16作目/全21作(「荒野」は除く)「太陽の黄金(きん)の林檎」 P387〜400

    残響評価 A- fee評価 C+

     

    残響「あらすじですが……これ、どう説明したらいいんです? 太陽にGo!みたいな感じですか?」

     

    fee「冷たくなってしまった地球のもとに、太陽の熱を持ち帰ろう、というお話です。この話は、何というかおとぎ話ですね。何に似てるって、『勇気一つを友にして』ですよ。昔ギリシャのイカロスは〜ってやつ。太陽の熱でロウが溶けちゃう」

     

    残響「神話(的)ですよね。叙事詩的というか。SFという感じじゃない。データとか数値とかも全然出てこないし。イェーツとかスタインベック、シェークスピアなどの名前も出てきて、文学的な感じはありますが」

     

    fee「これを読めば、ブラッドベリがハードSFの作家だ!なんて口が裂けても言えなくなりますよw」

     

    残響「イメージ重視というか……そう、イメージ表現ですね」

     

    fee「この短編集の他作品だと『ぬいとり』に似ている感じがします。太陽の火を持ち帰るのに、杯を使うというのもいいですね。ついこないだ、*アニメの『Fate/Zero』を見ていたんですが……」

     

    残響「なるほど、これもまた一つの聖杯伝説的な……。何回も言いますが、ラヴクラフト的な感じというか。以前注に書いたんですが、ブラッドベリはアーカムハウス出身の作家だということで、怪奇幻想小説の要素を持っているんですよね」

     

    fee「子供がサーカスに抱く、恐怖、憧れ、畏怖のような。ブラッドベリは、そういう作品を結構描いていたりしますね。長編『何かが道をやってくる』とか、短編集『10月はたそがれの国』あたりにそういう作品が多いですが、『刺青の男』にもありました。宇宙を舞台にした神話でありながら、P399 8行目『一つかみのタンポポを持って学校から帰る小学生のような気持ちだ』というのも、いかにもブラッドベリという感じがします」

     

    残響「ですねぇ。……この作品はこれぐらいかな?」

     

    fee「そうですね。次はどうしましょう」

     

    残響「『山のあなたに』あたり行きますか?」

     

    fee「了解です。そうしましょう!」

     

    注:アニメよりも小説版の方が、より一層お薦めです(fee)

     

     

     

    第6回に続く……(「山のあなたに」など)

     

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