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    ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(3)

    • 2017.05.18 Thursday
    • 19:48

    第8作目/全21作(「荒野」は除く)「黒白対抗戦」 P185〜208
    残響評価 B fee評価 B

    (S〜E評価です)

     

    fee「黒人と白人の野球大会のお話です。白人チームがとにかくウザいわけですが、最後に黒人チームがウザい白人をギャフンと言わせて終了……でいいんですよね?」

     

    残響「そうですね。今の時代にはなかなかお目にかかれないような、ド直球な人種差別の話ですねぇ。まだ人種差別が単純だった頃のアメリカというか……」

     

    fee「単純だった、というのは?」

     

    残響「今は黒人だけでなく、ヒスパニックとかアジア系とかイスラム系とか、本当にいろいろあるじゃないですか。【人種のるつぼ】というか、複雑化してわけがわからなくなっているというか」

     

    fee「あぁ、なるほど」

     

    残響「それに、この描写の仕方も何というかステレオタイプというか……。黒人はマッチョで、運動能力が高い。でもブルーカラー(肉体労働者階級)。みたいな……。feeさんはこの作品、どう思いました?」

     

    fee「とりあえず、ここに出てくる白人はバカだなぁと」

     

    残響「バカですかw」

     

    fee「この野球大会、白人にとってはどうでもいいイベントですよね。黒人の不満をガス抜きする、年に一回の野球大会なんだから、気持ちよく黒人に勝たせてあげればいいじゃないですか。どうせ明日からはまた白人の天下なんだし、良い気分にさせてあげるのが本当でしょ。ガス抜きの場で差別行為をしたり、黒人の神経を逆なでするような真似をするとか、バカ以外の何物でもないと思いました」

     

    残響「まぁ、ガス抜きの場で、うまくガス抜きさせてあげられないのは、往々にしてあることですが……」

     

    fee「それはまぁそうですけども……ところで、黒人は基本いい奴に書かないとまずい、みたいなお約束が、昔のアメリカ小説にはありましたよね」

     

    残響「ありました、ありました」

     

    fee「でもそれが逆に差別だ、みたいな話もあって。僕なんかは、自分たちが良く描かれるならいいんじゃね?とか思っちゃうんですが、どうなんでしょう? 悪く描かれるよりはよほどマシだと思うんですけど……」

     

    残響「アファーマティブ・アクションという言葉はご存知ですか?」

     

    fee「え、なんですって?」

     

    残響「これなんですけど社会的弱者に対する救済を目的とした優遇措置的なものなんですが、それが逆に差別だという話も……」

     

    fee「奨学金とかもそうなんですか。うーん、言わんとしている事は解るし、差別だと感じる人もいるかもしれないけど……個人的にはよく解らないなぁ。欧州サッカーでも、ホーム・グロウン枠……自国人枠みたいな考え方があるんですけど、それが差別だという弾劾はあまり聞いたことがないですし。これらがない方がよほど問題ある社会になりそうな気がするんですが……」

     

    残響「差別というのは相手を見下すだけでなく、妙なコンプレックスとか憧れを内包していたりもするんですよね。たとえばジャズの世界では、『黒人にしか本物のジャズは演れない』ということを、黒人だけじゃなく、白人でも本気で言う人がいるんです。そこには自分たちではどうしても至れない、って白人が勝手に思ってるある種の憧れ(コンプレックス)がある……と思うんですよ。この『黒白対抗戦』でも、主人公のママが黒人に対して抱いているのは、憎しみだけでなく、優れた身体能力への嫉妬というか。だらしない白人チームへの苛立ち、そういったものがまた、黒人への憎悪を強くしている気がします」

     

    fee「なるほど……確かに単純な見下しだけではないんでしょうね」

     

    残響「黒人への憧れを表すような形で、白人が自分の肌を黒く塗って行う芸がありました。ミンストレル・ショーというんですが、時代が進むにつれて、それもまた差別の色合いが濃くなってしまい、結局廃れていったという……」

     

    fee「本来持っていた精神から離れてしまったんですね。元はガス抜きの大会として企画された野球が、いつの間にか憎しみを募らせるイベントになってしまったように」

     

    残響「しかしブラッドベリは完全なハッピーエンドは書きませんね。この野球大会を機に黒人が認められて……みたいな話にはならない。明日からはまた元通り、黒人は白人の奴隷……までは行かずとも、使用人的な(奴隷ではないまでも)」

     

    fee「これでいきなりハッピーエンドを書かれても白けちゃいますけどねw まぁ、主人公の少年が、人種のしがらみに捉われていないのは救いな気がします。それも今後どうなるかはわかりませんが……。『黒白対抗戦』はこんなところでしょうか?」

     

    残響「そうですね。次も社会風刺系で『日と影』あたり行きませんか?」

     

    fee「え、社会風刺? 『日と影』はギャグコメディじゃないんすか?」

     

    残響「えっ!?」

     

    fee「えっ!?」

     

    残響「なんだ、この読み方の違いはw」
     

     

     

    第9作目/全21作(「荒野」は除く)「日と影」 P295〜312
    残響評価 B fee評価 A

     

     

    fee「リカルドという困ったおっさんがいまして。このリカルドさんが住む地区にカメラマンがやってくるんですが、リカルドさんがことごとく邪魔をするお話……で合ってますよね?」

     

    残響「大丈夫ですw このリカルドさんを、ぼくは下層階級……というと言い過ぎかな。【持たざる者】として読んだんです。持たざる者が、精一杯の反抗をするような」

     

    fee「なるほど」

     

    残響「言っていることは無茶苦茶なんですが、何かもっともらしい事を言って邪魔をするw 本を読んでいるという、知識人アピールをするのも面白いですね。P301 1行目『おれの本を出して見せろ!』と、リカルドは叫んだ。5行目『階上(うえ)には、まだ二十冊もあるんだ! と、リカルドは叫んだ。お前さんの目の前にいるこのおれは、無学文盲の田舎っぺじゃないぜ。ちゃんとした一コの人間だ!』威張っている割に、20冊『も』というのもいいですねw」

     

    fee「本をたくさん持っているのが偉いとは言いませんが、20冊で威張られてもw」

     

    残響「ですねw 無茶苦茶なリカルドさんですが、なんか憎めないというか、結構好きだったりします」

     

    fee「僕もリカルドさん好きですよw」

     

    残響「まぁ、いちいちズボンを下げるのは擁護しませんけどw」

     

    fee「それも面白いじゃないですか。この人、奥さんいるんですよね。よく結婚できたなぁ……」

     

    残響「リカルドさんって、そもそも働いてるんでしょうか? なんか何もしてなさそうな気が……」

     

    fee「この性格じゃ雇われ人は無理だなぁ。きっと頑固一徹な職人とか……」

     

    残響「この道、ひと筋的な? リカルドさん、格好いいですね!」

     

    fee「ごめん、P300 8行目で『おれも雇われている人間だ』って言ってるわ……」

     

    残響「リカルドさん頑固職人のイメージが台無しw」

     

    fee「真面目に働いて、結婚して、子供もいるはずなのに、何だろうこのリカルドさんのフリーダム感……社会不適合者の遊び人にしか見えない……」

     

    残響「feeさんはこの作品をギャグだと仰いましたけど……」

     

    fee「単純に笑えるなぁってw 残響さんと比べて、僕は難しいことを考えたりはしていないので……。カメラマンの行く先に付きまとって、モデルを撮ろうとするたびに、後ろでズボンを降ろすおっさんとか、超笑えるじゃないですかw 『帰り道、坂の途中に、さっき壁に小便をひっかけた犬がいた。リカルドは犬と握手した』の〆も完璧w この短編集にはいくつかギャグ作品も入っているんですが、これが一番笑いましたw」

     

    残響「ぼくはどうしても、行間に隠された何かの意味を読み解こうとしたがるというか。暗喩を探そうというか、そういう読み方をしちゃうんですよねぇ」

     

    fee「それはそれでいいんじゃないですか? 僕なんて頭が単純だから、そのまま受け取る事しかできないですよw 暗喩を考えるほど知識もないし……」

     

    残響「いやいやw feeさんのように素直に物語を楽しんでいる方と比べて、自分が物語というものを、さほど好いていない、自分にとって物語は【距離がある】、自然じゃない……んじゃないかなぁと思ったりもして……」

     

    fee「暗喩を考えながら読む読み方と、素直に楽しんで読む読み方を両方やればいいんじゃないですか? なんなら2回読むとかして。多くの人は素直にしか読めないと思いますよ。残響さんは作品を読み解く力を持っている分だけ、アドバンテージがあるような気がするんですけどね……」

     

    残響「好きな作品なら、やたら再読はするんですけどね……さて、この作品はこんなものかな? 次は、『夜の出来事』あたり行きますか?」

     

    fee「いいですね、行きましょう」

     

     

     

    第10作目/全21作(「荒野」は除く)「夜の出来事」 P283〜294
    残響評価 B fee評価 B

     

     

    fee「息子を軍隊に取られたかわいそうなナバレス夫人。この女性が、大声で嘆き叫んでいて、アパートのみんなは迷惑しています。そこでビリャナスールさんという既婚者の男性が、ナバレス夫人を慰めて、めでたしめでたし、と。こんな感じですかね」

     

    残響「ですね」

     

    fee「主人公のビリャナスールさんが、完璧にエロゲ主人公な件について……」

     

    残響「えっ? どういう意味ですか?」

     

    fee「これは、ビリャナスールさんが無双する話ですよね? 奥さんがいるビリャナスールさんが、狙い通りにナバレス夫人もゲットして、奥さんにも今まで通りにモテるっていう圧倒的主人公力……」

     

    残響「色恋の話だったんですか!?」

     

    fee「そうですよ! P289 8行目のビリャナスールさんの台詞『わたしたちのなかから、親切な男性が一人あらわれればいいのです』」

     

    残響「普通に親切にするんじゃなくて?」

     

    fee「普通に親切にするのなら、男性に限定する必要がどこにもないんですよ。むしろ、女性が行った方がいいでしょう。ナバレス夫人に『親切にする』……この表現がもういやらしいですよw」

     

    残響「なるほど……そう読むのかw」

     

    fee「露骨に既婚者であることを強調したり、P290 7行目『人々は照れくさそうな表情で』あたりからも読み取れると思います。しかもこれ、ナバレス夫人のところに『親切な男性が慰めに行く』ことを提案し、強硬に推し進めているのはビリャナスールさんという。最初からナバレス夫人を狙っているようにしか見えないw」

     

    残響「ww」

     

    fee「ビリャナスールさんが行ったらナバレス夫人は静かになるし、とどめにP294 1行目『あのひとは思慮ぶかい人だわ、と目をとじて(ビリャナスール)夫人は思った。だからこそ、わたしはあのひとを愛しているのよ』と何故か奥さんには改めて愛される。どんだけイケメンなんすかw」

     

    残響「ハーレム系主人公を慕う、都合の良いエロゲヒロインみたいな奥さんですねw いや、そんな話だったんですかw 色恋の話だったとは……(本当に色恋の話だと気づかなかった)」

     


    第11作目/全21作(「荒野」は除く)「ぬいとり」 P175〜184
    残響評価 C〜? fee評価 B

     

     

    fee「この、『ぬいとり』も残響さんはよくわからなかったと仰っていたような……」

     

    残響「そうですね。書いてある事そのままというか、完成されすぎているというか……」

     

    fee「書いてある事そのままなら、むしろわかりやすいのでは……?」

     

    残響「そこがぼくの悪い癖で。これは何の暗喩だろう、とか考えちゃうんですよ。で、そういう暗喩をちりばめるような作家は、たいていもう少しわかりやすいヒントを出すんですが、ブラッドベリは……というかこの作品は、そのヒントがない。だから暗喩ではなく、そのままなんでしょうけど……」

     

    fee「そのままでいいような気がするんだけどw あらすじですが……世界が終わりを迎える直前、三姉妹が針仕事をしています。そして世界が終わる。という話です。この三姉妹、どうもこの世の存在ではないような、そんな気がしてならないんですが……」

     

    残響「ですよね。魔女的な存在というか、神話上の存在というか……ラヴクラフト的というか、むしろダンセイニ卿的な幻想小説というか……(残響注)」

     

    fee「五時ちょうどに世界が終わる、というのも何か人為的なような、不思議な感じがしますね。P182 1行目『だまされたのかもしれないわね』 4行目『昔のおまじないを本気にしたのは』、この辺りを読む限り、なんかノストラダムスの大予言みたいなものに、『五時に世界は終わる』と書かれていて、この三姉妹はそれを信じちゃったと」

     

    残響「はい」

     

    fee「ちょっとこじつけくさいんですが、この『ぬいとり』の世界を、マトリョーシカ的な入れ子構造として読むこともできるかな、と」

     

    残響「ん? 入れ子構造? どういう事ですか?」

     

    fee「つまり、『三姉妹がぬいとりをしている世界』が世界B、『三姉妹に、ぬいとられている世界』を世界Cとして。この『世界Bを、ぬいとりで表現している』更に上位の世界Aが存在するのではないか、と」

     

    残響「へぇぇ……なるほど。それは面白い読み方ですねぇ……」

     

    fee「P182 15行目〜最後までの16行分。ここにこの作品の全てが隠されているような気がします。世界の終わりを告げる『火』、『燃える』という単語。『ぬいとりの太陽』、『心臓は今や火にぬいとりされたやわらかな赤いバラだった』。ここで描かれている世界の終わりとは、『世界Bを表現していたぬいとり』が世界Aにおいて燃やされたという、そういう話なのではないかと……」

     

    残響「そういう読み方ができるなら、ぼくはこの作品の評価をもっと上げたいですね。神話だ、と思って読んで、それで終えてしまったので……その構造的読み方でもう一度読んでみようかなぁ」

     

    fee「わずか7ページの作品なので、もう一度読んでみるのもいいですよね。これが50ページの作品とかだと、ちょっとしんどいですけどw」

     

    (残響注 残響はH.P.ラヴクラフトと、ダンセイニ卿(ロード・ダンセイニ)の大大大ファンです。なのにこのブラッドベリ神話的作品を、なぜきちんとその路線で読めなかったかバカチン! っていうか、feeさんに教えられて知ったのですが、ブラッドベリってオーガスト・ダーレス(ラヴクラフトの一番弟子)の出版社・アーカム・ハウス出身の作家だったのかよぉぉぉおおおお!!! しらなかった……アイムバカチン……)

     

     

    第4回に続く……(「大火事」など

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