ブラッドベリ『太陽の黄金の林檎』読書会(0)

  • 2017.04.02 Sunday
  • 16:43

 

【前口上】

 

去年行われた怒涛の「『ラブラブル』対談」は、feeさんと残響のお互いの立場の違いが明確となり、なかなかに白熱した対談となりました。ありがたくも、この「『ラブラブル』対談」には、何人もの方々が熱いコメントをお寄せくださいまして、それにより一層議論・対談が深められました。企画者・ブログ編集者として、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 

さて、二人の次の対談企画として、この度「読書会」をやってみよう、という案が持ち上がりました。

題材は、レイ・ブラッドベリ『太陽の黄金(きん)の林檎』。feeさんは昔からのブラッドベリのファンであり、残響はまーったくブラッドベリを一冊も読んでいないというSF素人。この極端な立ち位置の違いというのもまた面白かろう、ということで、今回から数回にわたって「『太陽の黄金の林檎』読書会」を、当対談ブログ「止まり木の足りない部屋」の連載企画として展開していきます。

 

エロゲに何の関係があるんだ! と言うツッコミは想定済みですが、本ブログ編集者としては、より広い意味で「物語を語る」という行為を通して、feeさんと残響という、物語読み、物語書きの哲学みたいなものを、面白おかしく語っていけたら、と思っています。ネタバレ全開の対談記事をあげておいてなんですが、これを機に一人でも多くの方が当作品に興味を持っていただけたら、あるいは再読の良い機会となれば幸いです。

 

くどくど書きましたが、「なんだこの二人、古いSFをやけに楽しく語ってるなぁ……?」と、ゆるりと対談記事を楽しんでいただけたら幸いです。もちろん、ガチSF者の方の「俺ブラッドベリ観」によるツッコミもお待ちしております!(どきどき)

 

(残響)

 

作品語り、その前に

 

fee「レイ・ブラッドベリの短編集『太陽の黄金の林檎』の読書会を始めたいと思います……が……どういう流れでやったらいいのかな?」

 

残響「そもそも我々がなんで、この本の読書会をすることになったのか。その話を最初にするのが良いんじゃないでしょうか?『ラブラブル』からブラッドベリ、っていろんな意味ですごい落差っすよ」

 

fee「確かにw そもそもの発端は、2016年の12月に、僕が書いたSF紹介のブログ記事でした。その中でブラッドベリにも触れたんですが、残響さんがその記事を気に入って下さって。それで〜という事……ですよね?」

 

残響「そうです。自分もオタクとして、こういう形での【好きな作家&代表作】を語らないとなぁ、としみじみ。そんで、自分のブログでも似た形の、漫画家紹介なことをしたんですが。まあそれはさておき、feeさんのご紹介のなかで、とくに琴線に触れたのがブラッドベリでした」

 

fee「でもなんで、『太陽の黄金の林檎』にしたんですか? あの記事では幾つか作品を挙げましたけど、その中でなぜ『太陽の黄金の林檎』を残響さんがチョイスしたのかはちょっと気になるかも」

 

残響「三つあって、一つはもちろんfeeさんが書いてくださった内容に触発されてなんですけど、その後の二つは割としょうもない理由なんです……」

 

fee「どうぞw」

 

残響「一つは、表紙が格好良かったからですw」

 

fee「ww ちなみにどのバージョンですか?」

 

残響「新しいやつです。黒くて赤い」

 

 

fee「グーグル画像検索してみました。これですか。僕が持っているのは恐竜のやつですね」

 

 

残響「あ、これか。なるほど、ということは自分のはやっぱり新装版ということですな。……それでですね、もう一つの理由はタイトルが格好良かったからですw」

 

fee「まぁ確かに『刺青の男』とか普通ですからね……。僕的には『10月はたそがれの国』とか格好良いと思うんですけど」

 

残響「いわゆる【メルヒェン】な感じがいいですね。今ブラッドベリのwikiを見ているんですけど、『歌おう、感電するほどの歓びを!』とかすごくカッコよくないですか?」

 

fee「その下の『ブラッドベリは歌う』はすごくダサいんですけどw」

 

残響「酷い。『ウは宇宙船のウ』、『スは宇宙(スペース)のス』っていうダジャレシリーズも古典タイトルとはいえ、改めて思うと安直ですなぁ……」

 

fee「原題も『R is for Rocket』『S is for Space』だからしょうがない……。僕は『二人がここにいる不思議』とかいいなぁって思いますね」

 

残響「あぁ、いいっすねぇ。センス・オブ・ワンダーだなぁ。てか、『歌おう、感電するほどの喜びを!』と『ブラッドベリは歌う』って、これどっちも原題は『I Sing the Body Electric!』じゃないですかw 同じ本をサンリオと早川で出していて、訳が違うってことでいいのかな? ガンバレ! サンリオ文庫! もう亡(な)いけど!」

 

fee「多くのSF読みはサンリオ文庫を恨んでいると思いますよ。多分。ハヤカワの古書は読める本が多くても、サンリオの古書を読むのは難しい……プレミアムがついてたりしますし……。話を戻しますと、確か、『I Sing the Body Electric!』という作品をそのまま訳したのが、サンリオの『ブラッドベリは歌う』。分厚い作品なので、ハヤカワはこれを『キリマンジャロマシーン』と『歌おう、感電するほどの喜びを!』の2冊に分けて出版した……はず……」

 

残響「なるほど……。そういえば、読書文化トリビアなんですが、アメリカって【the Great American Novel】みたいな、アメリカ人の求める本のあり方があるんですね。【長くて分厚いのが偉い】みたいなんで、本もすんごく分厚かったりする。ペーパーバック(文庫)でも。それを避暑地やプールにもっていって、じっくり読む楽しみみたいなのもある、らしいです。夏の避暑地の古本屋はなかなか読書人にとって、楽しい時間らしいですよ」

 

fee「へぇ、それは面白いですね。全然知らなかったです……。

僕が知っているのは、アメリカはとにかく一冊で済ませる文化があって。どんなに分厚くても、上下巻で分けるような事は基本的にはしない。スティーブン・キングの短編集の『スケルトン・クルー』なんかも日本では三分冊になるほど分厚いんですが、アメリカでは一冊で出ています。『指輪物語』なんかはあまりにも分厚いので、全部で一作にも関わらず、無理やり第一部、第二部、第三部に分けて【三部作】という体裁にしたんですよね。ほんとは一作なんですが、【三部作】とか【シリーズ】という体裁にしないと、【本を買ったのに、なんで結末まで書いてないんだ! 未完商法、続編商法かよ!】って怒られちゃうから」

 

残響「どっかのエロゲみたいですねw どことは言わない。慈悲の心」

 

fee「ごめんなさい、脱線しました。話を戻します。ブラッドベリの代表作は『火星年代記』だと僕は思うんですけど……」

 

残響「『華氏451度』じゃないんですか?」

 

fee「えっ!?」

 

残響「いや、ぼくの認識ではそうなんですけど……。『華氏451度』って焚書のディストピア話じゃないですか。現実が『華氏451度』を追い越していく……、的な比喩表現とか結構、ぼくのいる界隈では聞いていて……」

 

fee「あぁ、なるほど……。なんだろうなぁ、『華氏451度』も面白いとは思うんです。思うんですけど、僕が考える【いわゆる、ブラッドベリらしい作品】とはちょっと違うというか。これはこれで良いんですけど、このテのストーリーだったらジョージ・オーウェルとかの方が巧いと思うし……」

 

残響「『1984年』とかですね」

 

fee「そうです。もちろん【ブラッドベリらしさ】というのも、僕が勝手に考えているだけなんですけど。僕が考える【ブラッドベリの良さ、らしさ】が出ている作品の中で、一番有名なのは『火星年代記』かなって」

 

残響「そうなんですね……。今回『太陽の黄金の林檎』を読んで、なんとなく一般的イメージだけではない真の作風をわかった気もするんですけど、読む前は【ブラッドベリ=華氏451度の人】という感覚でした」

 

fee「そうなのかぁ……」

 

fee「ブラッドベリの短編集は色々ありますが、初読者の方にどれをお薦めするかというのは割と難しいと思っていまして。好きな短編集がたくさんあるので、やっぱり色々薦めたくなっちゃいますけど、どんな短編集にだってハズレ作品はありますし、ハズレ作品が多い短編集にも珠玉の一作とかもありますし……。『太陽の黄金の林檎』は、あくまでも僕個人の好みを言いますと、【アベレージが非常に高い短編集】だと思っています。本当に大好きな短編作品は他の短編集に入っていたりするんですが、【太陽の黄金の林檎】は読んでがっかりするような大外れ作品が一番少ない短編集かなと」

 

残響「『ウは宇宙船のウ』というのもよく聞くタイトルなんですが、feeさん的にはこれはあまりお薦めはしないんですか?」

 

fee「あぁ、それはですね……。『ウは宇宙船のウ』は、音楽で言うベストアルバムみたいなやつなんです。代表作を集めました、みたいな。ブラッドベリを1作だけ読んで、それで満足、卒業!というならば、『ウは宇宙船のウ』を読むのは良いかもしれません。ただ、これは僕のワガママですが、良い作品はたくさんあるので、せっかくだから何冊か読んでほしいんですw ベストアルバムから入って、次にいろんなアルバムを聴くと【被り】が発生するじゃないですか」

 

残響「わかる。まさにベストアルバムのパラドックスです。The Clash の『エッセンシャル・クラッシュ』と、1stアルバム『白い暴動』の被りは相当だからなぁ(どうでもいい)」

 

fee「僕としては、もしブラッドベリが気に入ったなら、『太陽の黄金の林檎』と『刺青の男』、『10月はたそがれの国』、『火星年代記』、この辺りをどんどん読んでほしいんですw これらを読めば、大体『ウは宇宙船のウ』に入っている作品は読めますし、ベストアルバムには入っていない良作、名作も読めますし」

 

 

残響「なるほど。しかし、ブラッドベリってSFの人だと思っていたんですが、あんまり【いわゆるSF】……もっと限定すると設定バリバリのハードSF、っぽくないですよね。『太陽の黄金の林檎』を読んで思ったんですけど」

 

fee「少なくとも、【科学技術】にこだわりがある人ではないですよね。だからこそ、SFファン以外の、普通の読者にもとっつきやすいかなとは思います。コテコテのSFが読みたい人向きではないかもしれませんが」

 

残響「ところで、ちなみに先ほどfeeさんはハズレ作品が少ないと仰っていましたが、feeさんはこの短編集の中で、ハズレだと思った作品はありますか?」

 

fee「いきなり爆弾を投げましたねw 言っちゃいますか?」

 

残響「お願いしますw」

 

fee「まず、表題作にして短編集のラストを飾る『太陽の黄金の林檎』」

 

残響「Oh……ww」

 

fee「それから、『草地』。あと、僕、『発電所』はちょっと難解でわからなかったのでこれもハズレかな。自分が分からないからハズレ、っていうのもどうかとは思いますがw」

 

残響「今思ったんですけど、やっぱり我々は全然好みが違いますね。ぼく、その三つ、結構好きなんですよw 好みも、恐らく読み方も違う二人だからこそ、読書会というか、話して面白いというのもあるんですけども」

 

fee「ごめんなさいw ちなみに残響さんのハズレ作品は?」

 

残響「まず、『二度と見えない』。それから、よくわからなかったのが『ぬいとり』。【こんなもんか】、って落胆的に思ったのが『空飛ぶ機械』。この辺りですね」

 

fee「なるほどw 僕、この三つはどれもB評価ですね。嫌いじゃないです。大好きというわけでもないですが……さて、そろそろ作品個別の話をしていきたいと思います……どの作品から行きますか?」

 

残響「どうしましょう(ノープラン)」

 

fee「あ、一番最初に。『荒野』という作品なんですが、これ、実は 『火星年代記』にも *1 後から収録されたんです。もし残響さんが『火星年代記』を今後読んで、またこうやってお話しする機会があるなら、【『火星年代記』読書会】の際に触れた方が面白い気もするんですが……」

 

残響「そうですね……お約束はできませんが、『火星年代記』は読みたいと思っているんです。連作短編集であり、feeさんがブラッドベリのマスターピースとしておられますし」

 

fee「おっ、それは楽しみだなぁ! じゃあ今回は『荒野』は飛ばしましょう。残りの21編について、語っていきたいと思います」

 

残響「はい」

 

fee「で、順番ですが……じゃあ残響さんのハズレ作品『二度と見えない』から行きますか?」

 

残響「そこから行くんだw」

 

fee「だって、短い作品だし、残響さんあまり好きじゃないって言うし、僕もそんなに語る事はないので、手始めにいいかなって」

 

残響「わかりました。じゃあ、【『太陽の黄金の林檎』読書会】第1作目『二度と見えない』、行きましょう

 

 

*1  1950年に出版された『火星年代記』は、1997年に改訂版が刊行された。1950年版とは収録作品が微妙に異なっている。『荒野』は1950年の『火星年代記』には収録されていなかったが、1997年版『火星年代記』には収録された。(fee)

 

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