エロゲ対談番外編 作品クロスレビュー「ラブラブル」 第1回/全5回予定(?)

  • 2016.07.24 Sunday
  • 17:08

*現在連続公開中の対談とは別連載で恐縮なのですが、

SMEEより発売された「ラブラブル〜lover able〜」という作品について、2016年7月、feeと残響が対談クロスレビューを行いました。

肩の力を抜いて、お読みいただけると幸いです。

とはいえ、1ヒロインあたりおよそ30分、全5ヒロインで2時間半にわたる対談記事ですので、こちらも数回(さつき1回、千夏1回、つぐみ&奈々子1回、花穂で2回予定)に分けてお送りする予定です。

 

記事の性格上「ラブラブル」のネタバレを大いに含みますので、ご注意ください。

 

 

対談本編に入る前にまず、お互いが書いてきた、ヒロイン別の評価はこちらです。
 *批評空間での『ラブラブル』全体の点数は、feeが68点、残響が95点をつけております。
 *残響は『ラブラブル』、『同棲ラブラブル』(こちらも95点)をプレイ済。feeは『ラブラブル』のみのプレイです。

ラブラブル〜lover able〜2011.02.25発売予定!

 

 

1

 

fee「対談を始める前に、一つ言わずもがなのことを言いますと……僕、『ラブラブル』に68点をつけているんですが……」

 

残響「はい」

 

fee「残響さん、『ラブラブル』に95点つけてるじゃないですかw」

 

残響「そうなんですよねぇ」

 

fee「大丈夫なんですか? 心が傷つけられるとか……」

 

残響「このゲームは基本的にどこまでいってもキャラじゃないですか。憎くて憎くてたまらないキャラがいるとかだったら、話が成り立たないと思うんですよ。でもそこまででもないでしょ?」

 

fee「憎くてたまらないってw ……一応、気に入らないヒロインは一人いますよ?」

 

残響「あぁ、喫茶ジェラシー……」

 

fee「ま、まぁ憎くてたまらないってほどでもないので、多分大丈夫だと思いますw」

 

fee「とりあえず、まず事前に書いてきたヒロイン別のシナリオ評価、キャラ評価を見せ合いますか。じゃあ僕から……」

 

fee「こんな感じですね」

 

残響「そんなに千夏嫌いですかw」

 

fee「いやいや、大体どんなゲームにもムカつくヒロインっていうのは一人ぐらいはいるので。オールタイムワースト級のヒロインとかそういうんじゃないですよw」

 

残響「なるほど。……千夏は面倒くさいですからね」

 

fee「千夏の話を始めちゃっていいんですか? まず残響さんの点数も見せてもらわないと。で、話しやすそうなヒロインから行きましょうよ」

 

残響「そうでしたそうでした」

 

fee「(表を見ながら)結構面白い感じになってるかなー」

 

残響「うーん、確かにw」

 

fee「一番、二人の評価に差がないのはさつきかな?」

 

残響「そうですね、概ね」

 

fee「さつきがあまり変わらなくてー」

 

残響「変わらなさ度合いで言うならつぐみも変わりません」

 

fee「つぐみも変わらないっすね。意外だなぁ」

 

残響「feeさんが奈々子さんシナリオを一番上位に持ってくるっていうのは予想はできました」

 

fee「ちょっと残響さん、奈々子さんの評価が低いじゃないですかー、年上はダメなんですか?」

 

残響「いや、そんなことはない。そうじゃなきゃ、Twitterで姉属性持ちとは言っていない」

 

fee「うーん、どのヒロインから行こうかな。花穂は点数はずれてるけど、評価自体は大体似てないですか? 僕もこの5ヒロインの中ではそこそこ高い評価だし」

 

残響「ですね」

 

fee「千夏は単に僕の好みじゃないってだけだからなぁ……どこから行きますか?」

 

残響「意見の対立が見られないところから行きましょうか」

 

fee「対立が見られないところからだと……さつき?」

 

残響「そうですね」

 

 

2

 

fee「さつきはまず……シナリオの話をさせていただくと……いくらなんでも短すぎたな!」

 

残響「それは擁護できないw 確かさつきってそもそも攻略ヒロインじゃなかったんですよね

 

fee「え、そうなんですか?」

 

残響「元々はサブヒロインに割と近い感じというか」

 

fee「まぁサブヒロインから急遽昇格させたなら、あのボリュームでも仕方ないかなぁと思わなくもない……元々おまけヒロインなら」

 

残響「元々おまけとはいえ、さつきは一応メインヒロインの形で出たわけじゃないですか。メインヒロインとして出た以上……この短さはやはり擁護できません」

 

fee「ルートが短いというのはあまり良いことではないですが、最悪なわけでもないんですが……」

 

残響「間違ったことはしていないですよね、シナリオの中で」

 

fee「何が間違ったことなのかの基準が共有されているかどうかも怪しいですけど……」

 

残響「ぼくのシナリオの低評価の基準はクソシリアスですから……水差されですから……(この話は本対談の方の三夜か四夜で公開する予定です)」

 

fee「僕は、さつきシナリオには、シリアスを入れてほしかった」

 

残響「なるほど」

 

fee「流星君っていう友人キャラがいて

 

残響「はい、そうなんですよ」

 

fee「さつきは、この友人キャラと関わりがあるような描写があって」

 

残響「そこはぼくも同意でして、なぜ流星をもっと活かさなかったのか。かなり活かしているとは思うんですけど、それでももっともっと活かせられるはずだろうみたいなところがありまして。そこのところはぼくも同意です」

 

fee「お、意外ですね。ここは同意じゃないのかと思ってた」

 

残響「完全な処女厨の人だったら<流星は動かすな>とか言いそうですけど……。この作品のというか、このメーカーの男キャラは面白いんですよ。だからぼくはガンガン動かしてほしい。もっと動かせるだろう、みたいなのはありましたね」

 

fee「流星って教室で割と孤立しているというか、あまり学校に馴染んでないじゃないですか」

 

残響「そうですね」

 

fee「でもバイトだと多少馴染んでいる」

 

残響「ええ」

 

fee「で、さつきも教室ではあんまり馴染んでなくて」

 

残響「割とではありますけどね」

 

fee「いじめとかそういうのはないけど。さつきはともかく流星君は、ちょっと居心地悪さを感じる程度には浮いてるでしょ?」

 

残響「最も居心地悪そうにしているのは、なれなれしく絡んでくる主人公に対してだとは思いますけどね」

 

fee「それは別の意味でねw」

 

残響「でもよくわからないところがあって、さつきと流星がなんか繋がりがあるっぽいんですけど、全然その辺の描写がされないんですよね」

 

fee「そうなの。これは僕の妄想ですけど、流星君はさつきに片思いしていて。さつきの悪口を言った奴をしめちゃったりして、それが原因でみんなに恐れられていて。悪い奴じゃないのに孤立しちゃった。それをさつきは知っている。さつきは教室の中でただ一人<流星はそんなに悪い奴じゃないよ>みたいなことを言ってるし……」

 

残響「ですよね、ありましたよね」

 

fee「流星君から、<今まで俺がさつきを守ってきたけど、お前になら任せられる>みたいなエールを送られた主人公がさつきと結ばれ、流星君も教室に溶け込めるようになる。みたいな感じで、物語の準主役的に流星君を絡めてほしかったです」

 

fee「なので、さつきシナリオではもう少し流星君とさつきの関係性とか、なぜ学校で浮いちゃったのかを含めた、流星君自身の物語が欲しかったと思っています」

 

残響「なんかあっても良かったんですよね」

 

fee「これじゃ結局、流星君というキャラクターの存在意義自体があまり感じられませんし」

 

残響「あ、それ言っちゃいますか。これはなかなか指摘されないところなんですけど、僕も同意なんですよ。だからこそもっともっと動かしてもいいって言ってるんですけど。

『ラブラブル』のファンコミュニティなどでは全然そういう指摘はされないんですよ。むしろこれでも動かしてる方だ、みたいな」

 

fee「うーん……<主人公以外の男キャラがあまり格好良くない方が良い>みたいなことを言う人もたまにいて」

 

残響「まぁこのゲームはその典型例みたいなものですけどね」

 

fee「いや、流星君は結構かっこいいよ?」

 

残響「そうですね」

 

fee「店長はどうでもいいけど…」

 

残響「前作の『らぶでれーしょん』で、二人の友達キャラが凄く良かったんですね。チャラくていい奴だけどどうしょうもない友人キャラと、怖い顔だけど優しくて純でヘタレな友人キャラ

その二人のどちらでもない方向でキャラを作った結果、カッコよくてミステリアスだけど存在感がない、みたいなキャラになっちゃったのかなと。落としどころが難しいんですよね」

 

fee「流星君を絡めるとしたらさつきルートが最適だし、さつきルート自体も言っちゃなんだけど何も起こらない上に短いし。さつきルートに流星君をからめれば、ボリュームもまぁまぁの長さになって、ストーリー自体もまぁまぁの話ができたはずなんだけど。なぜやらなかったのか……」

 

残響「しかしちょっと待ってください、我々はさつきの話をしていたはずなのに流星君の話ばかりしてますよw」

 

fee「あはははは、僕もそれちょっと思ったwww」

 

残響「じゃあキャラの話をしましょうか。さつきの両親がファンディスクに出てくるんですけど……ファンディスクで一番救済されているのがさつきでして」

 

fee「まぁ本編の扱いがあんまりだったからな……」

 

残響「ファンディスクではちょっとボリュームも増えました」

 

fee「さつきって結構人気あるでしょ?」

 

残響「ありますよ」

 

fee「人気あるのに本編があれじゃ、なおさら不憫ですよ」

 

残響「ファンディスクになるにあたって声優さんが変わっちゃいまして。ぼくはあまり気にしないんですけど、声優にこだわる人にとっては<頑張ってるけどやっぱダメだ>みたいな」

 

fee「<頑張ってるけどやっぱダメだ>というのは、まぁとかく荒れがちな話題の反応にしては割と穏当な……」

 

残響「そうなんですよね。キャラの印象に差がなかったという意見がかなり多かったです」

 

fee「まぁ声優さんの話は難しいからなぁ。僕も、大好きなキャラだったらそういうこだわりを持っちゃうかもしれないし、そうでもないならば別にどうでもいいっていう」

 

残響「イチャラブゲーマーでは珍しいんですけど、ぼくも声優にはこだわりはない方です」

 

fee「僕もあんまりないなぁ」

 

残響「複数ライター間の、テキストの微妙なニュアンスの差みたいな方が気になりますね」

 

fee「僕はファンディスクをやってないから、声優さんの変更については何とも言えないところがありますね」

 

3

 

fee「キャラの話をしますと、さつきはかわいいですよねー」

 

残響「アクティブなかわいさというわけではないんですけど、完全なダウナーというわけでもない。完全に不思議ちゃんというわけでもない」

 

fee「僕の点数でシナリオ点とキャラ点の差が一番大きいのがさつきなんですよ。他は大体比例しているんですが」

 

残響「ぼくの方も、このゲームの場合だと比例していますね。まぁそういうゲームだからなんですが。feeさんの方に仮説とかはありますか?」

 

fee「他の人に当てはまるかは解りませんが。僕は単純に、シナリオとキャラは引き立てあうものだと思っているので、シナリオが良ければキャラも気に入るし、キャラが好きならば何でもない話にも感情移入しちゃって、<おっ頑張れ頑張れ>みたいな感じで物語に引きこまれてプレイしちゃう。だからシナリオ点が高ければキャラ点も高くなりやすいし、逆もまた然りじゃないですか?

キャラがどうでも良かったら、いくら話が良くても<どーでもええんちゃう?>っていうノリで見ちゃうし、キャラがいくら良くても話が薄っぺらかったら印象に残りにくいです。もちろん例外はありますけどね」

 

fee「さつきは、シナリオがこんななのにかわいいというのは、勿体ないですよね」

 

残響「最低限の基準はクリアしているんでしょうけど。萌えゲー的達成というか」

 

fee「シナリオが良かったら、もっと魅力を感じられたと思います。もっと上を目指せましたよ」

 

残響「そうですね」

 

fee「このシナリオはさつきのかわいさを、阻害はしていないかもしれないけど、引き立てているとは到底言えないでしょう

 

残響「引き立てているとまでは言えませんね。料理でたとえるならちゃんと盛り付けはしましたからまぁどうぞみたいな」

 

fee「すごくつまらない話を、延々長々と語られるよりはマシというか。<大した事ない話だったけど、これぐらいの長さだったし許してやるか>みたいな感じで、さつきシナリオへの悪感情は全くないんですけど。読んでいて苛々とかも別にしていませんし。ただ、力の入れ具合とか、クオリティを評価するなら、低いよなっていう」

 

残響「全ルートがこれだったら、ぼくも『ラブラブル』に95点は確実につけてないです」

 

fee「さつきシナリオの出来は良くないんですけど、何せ短いもんだから、あまり怒りもなく。ハッキリいって4点という評価の割には嫌いではないです。

が、まぁもうちょっと頑張れよとは思いました。さっき言ったように、流星君を動かすことで面白くなる道筋が凄くよく見えていて。普通に僕みたいな素人でも簡単に思いつくような事を、普通に書いてくれれば、結構面白くなったんじゃないの?っていうところが残念な感じがしましたけど。まぁ、サブシナリオから急遽繰り上げたものなんだとしたら、しょうがないかなとも思います」

 

残響「単純にCG数やシーン数だけを見ても他のキャラと比べて露骨に少ないですからね」

 

fee「あ、そうでしたっけ。まぁでもエロかったけどなぁ」

 

fee「僕が『ラブラブル』を最初に手に取った動機なんですけど。実は、Hシーンの乳首の勃起差分があるらしいと聞いたんですよ。それで喜んでプレイしたんです。僕、おっぱい大好きだから。そんな感じで、どちらかというと抜きゲー寄りの興味でプレイしたというか。結果、全然抜けなかったわけでもない、そんなに抜けたわけでもないっていうところで。最低限の満足は得たかなっていう68点なんですけど」

 

残響「あははははw でも心に何か残りもしなかったと」

 

fee「うーん、残らなかったですね。ただ『ラブラブル』自体そんなにプレイ時間が長くないので。確か一週間ぐらいでクリアしちゃったような」

 

残響「そんなに長くはないですよね。ぼくはそんなに短かった印象はないんですけど、それはぼくが5、6回ぐらい周回してるからで」

 

fee「エロゲ―批評空間のプレイ時間中央値が18時間になってるんですけど、プレイ時間20時間のゲームと比べても目に見えて短かったと思う」

 

残響「適当なところで終えられますからね。チャプターとかあるじゃないですか。適当にサクサク進めていって、じゃあ今日はここで終わりみたいな感じで終えられますし」

 

fee「5人ヒロインがいるから、1ルートあたりの長さも短い」

 

残響「それもありますね」

 

fee「18時間でもルートが3本しかなかったら、そこそこ長く感じるかもしれない」

 

残響「そうですね」

 

fee「その中でも特にさつきは短いですしw」

 

残響「このゲーム、イチャイチャする以外のことはしていませんからね」

 

fee「少なくともさつきはそうですね。で、Hの話に戻りますけど、Hシーンのテキストはイマイチだったなと」

 

残響「否定できないなぁそこは」

 

fee「エロについてのアクション描写というか、主人公が、ヒロインのどこを愛撫しているのかが書かれていないことが多いんですよ。台詞や擬音、喘ぎ声に頼っているというか」

 

残響「『同棲ラブラブル』では少し改善されているんですけど……」

 

fee「たとえばさつきが喘いでいる時に、きちんと文章があれば、<あぁさつきは今、おっぱいを舐められて喘いでいるんだなぁ>と妄想するわけです。でも、それがないと、何で喘いでいるんだかわからないので興奮できないんですよ」

 

残響「なるほど……さつきはこれくらいでいいですか?」

 

fee「そうですね。では次にいきましょう」

 

 

次回予告

 

 

残響「次はつぐみ行きますか? それともfeeさん的に悪いものは先理論で千夏行きますか?」

 

fee「千夏はさっさと片付けたい気がしないでもない……」

 

残響「はっはっは(笑)」

 

fee「じゃあ千夏で行きますかね」

 

 

千夏編に続く

千夜一夜エロゲ対談 第二夜

  • 2016.07.21 Thursday
  • 22:34

第二記事目では

 

エロゲにまつわる妄想あれこれ

 

について語りました。

 

こちら、第一夜の続きとなります。

 

 

エロゲにまつわる妄想あれこれ

fee「ふんふんふん。妄想ができるかどうかというのがイチャラブゲーにとって大事なんですか?」

残響「妄想可能性……ええ、大事です。ぼくは大事です。とにかく妄想をし続けたい」

fee「……実は僕もそこは割と解ったりはするんですが……僕はコミュニティの話が好きで。ヒロインと1対1じゃないもの、ハーレムでもハーレムじゃなくてもいいですし、男性の友人キャラが混ざっていても良いんですが、何人かの仲の良いキャラクター達に囲まれていたいっていう願望がありまして」

残響「まあなんか【ワイワイやっていたい】、みたいな。単純化した言い方ですけど」

fee「そういうことになるのかな」

fee「*1
CATIONシリーズは嫌いじゃないんですけど、僕、CATIONシリーズは全く妄想できないんですよ」

残響「ああ、他のキャラと絡みがないですからね」

fee「だから、同じコミュニティに属している感じがなくて。主人公を中心とした1つのコミュというか、1つの作品としてまとまっている感じがしないんですよ」
 

fee「たとえば『さくらむすび』だったら、僕は*2 桐山圭吾になったつもりで妄想するんです。すると従姉妹にはかわいい紅葉がいて、妹に桜がいて、優しい保護者がいて、友人がいて、友人にも可憐ちゃんという妹がいて、この子もかわいいというふうに妄想するんですよ。

僕だったら誰を選ぶだろうかとか、この子がいいなーこっちもいいなーと思いながら、あるいは友達の顔も思い浮かべて、何て居心地の良い世界なんだと。で、いい気分になって寝ると」
 

残響「ああ、いいですね。ほぼ同じだ。ぼくの場合*3【観測の度合いが強い】ということを抜かせば、ほぼ同じだ」
 
fee「あはははは、まぁ妄想はしますよねぇ」
 

残響「もうそればっかしてたいですよw」
 
fee「そういう意味で、僕はCATIONシリーズはそれができないんですよ」
 

残響「まあぼくにしても、あのCATIONシリーズのヒロイン全員のシチュエーション
を絡ませて、妄想はできません。一対一じゃないと。穂波穂波いってますけど、穂波との一対一でしか無理です。ウォーッ!穂波ーッ!」
 
fee「なるほど。……僕、一対一の妄想って長く続かないんですよ。いや続かないってことはないか。でもあんまり得意じゃないんです。で、この妄想の楽しさというのは僕も解る。一部シナリオゲーで、妄想がしづらいゲームがあるのも解ります。*4
『鬼哭街』(注:リンク先、音が出ます)とかw」
 

残響「『鬼哭街』で妄想はできないなw バトル妄想はしますけど」
 
fee「バトル妄想は僕はしない人だから……。『こみっくパーティー』の方が妄想はしやすいですね。『こみっくパーティー』で妄想したことは多分ないけど」
 

残響「ああ、ぼくはこみパで何年妄想したんだろうかな。寝る前と昼寝前と辛いときの逃避妄想で、4、5年妄想してました」
 
fee「すげーなぁ……僕は一対一では妄想がしづらいという弱点があるので、*5
『幼馴染と十年、夏』では妄想ができない」

残響「あー、そこで妄想できませんでしたか」
 
fee「ダメですね」
 
fee「妄想ができるかどうかというのは、『幼馴染と十年、夏』という作品の評価とは一切関係ないんですよ。だって僕、『鬼哭街』大好きだし。でも、妄想はできない」
 

残響「コミュニティ要素が入ってないとダメ、なるほど」
 

fee「ダメ、妄想はね。<妄想はね>、って入れておかないと」
 

残響「ああ、今わかったけど、ぼくは妄想と作品評価をごっちゃにしてるフシがありますね」
 
fee「僕は妄想ができるかどうかはある意味大事だけど、作品評価とは*6 直接関係がないです。一方で、妄想のしやすさというのは付加価値だと思うんで、評価に付け加えたっていいとは思います。ただ、だいぶズレちゃいますが、アニメ化とか漫画化とか、あるいは複数回プレイなどで何度も接した作品は、自分の中に根づいたりするわけで、必然的に妄想しやすくなったりもすると思うんですよ。でもそれをゲームそのものへの評価にしちゃっていいのか、という感じでしょうか」
 
fee「だから、他の人がゲームを評価するやり方に口を挟むつもりはありません。ただ僕は妄想のしやすさを作品評価には入れていないということです。それに*7 たとえばシナリオゲーでも、*8
『Air』なら妄想できますし。*9『水夏』……はしづらいな」
 

残響「『水夏』、妄想しづらいっすか?」
 
fee「……僕は一対一の妄想がダメなので、群像劇だと主人公が入れ替わるから、コミュニティが作りにくいんです。誰になったつもりで妄想したらいいのかわからないw 

<群像劇はやめてくれよ、感情移入できないだろ>みたいなことを言っているイチャラブゲーマーはいません? 僕どこかで見た記憶があるんですけど」
 

残響「たま〜にいましたね、イチャラブにおける群像劇ヘイト派。というか群像劇というものに対して<ん?>という反応をしてるひとはいましたね」
 
fee「……大勢いたら嫌だなと思っていたけど、たまーにぐらいならいいか。僕、群像劇結構好きなんですよ」
 

残響「ぼくも群像劇好きです。ぼくも群像劇ヘイト派が大勢だったら悲しいですね」
 
fee「群像劇だと妄想はできないけど……あ、*10
『カタハネ』ならできる」
 
fee「『カタハネ』は一応主人公っぽい子いるじゃん。彼になればいいんだよ。『カタハネ』はコミュニティの話だし、いけるいける(笑)」
 
fee「あ、でも僕『カタハネ』で妄想したことあったかな……」
 

残響「(笑)恋の呪文はアンベルアンベル」
 
fee「(エファ最高とか言っちゃうと、議論が進まないから放っておこう)

まぁでも、シナリオゲーだと思っている*11『僕と、僕らの夏』なんかでも全然妄想できますし」
 

残響「出来ますね。*12アリキリアリキリ」
 
fee「僕は無理やり系が好きなので、夏祭りのシーンは抜けましたね(真顔)








 

*1 CATIONシリーズ……暁works響Sideより発売された、シリーズ第一作「LOVELY×CATION1」を皮切りに、2016年6月現在5作が発売。僕自身はうち3作をプレイ。旧き「ときめきメモリアル」チックな、パラメータ上げを主軸にしたキャラゲーで、プレイヤーの名前をヒロインが音声で呼んでくれるラブリーコールシステムも特徴。(fee)


残響は「PRETTY×CATION2」のみをプレイ。ただし他の作品も、一応基礎教養としては情報を得ている。そういう状況なので、おのずとfeeさんとのイチャラブ判例では、このシリーズが出てくる。残響は姫川穂波というキャラが、ひさびさに「殿堂入り」したキャラでして。……そうさな、往年の鍵っ子に例えれば「わりとしっかりした、花屋の娘としての、名雪」と例えればわかりやすいでしょうか。黒髪、ほんわか、だよもん。ああド直球にして王道。しかし甘え上手で、いつも陽だまりの暖かさを持つ女の子でありまして、ウォーッ!穂波ーっ!(残響)

 


*2 桐山圭吾……『さくらむすび』の主人公です。語りたいことは特にないです…(fee)
 

*3 「観測」……物語に感情移入する、つまり「主人公と自分(プレイヤー)を同一として物語を読み進める」タイプのエロゲーマーは、ヒロインという個人と相対し、萌える、というプレイ形式をとります。一方それに対し、ぼくのような「観測趣味」「カプ厨」と呼ばれる人達は、「ヒロインと主人公」の両方を神の視点から「観測」して、その「カップリング」に萌える、という趣味を持ちます。ぼくのような観測趣味者(カプ厨)は、「主人公との一体化」を求めません。疑似体験ってものも求めません。ただ、彼/彼女らの挙動や、心理の綾を、神の視点から、見る、観測する……。この場合、感情移入は、「主人公を通して」ではなくて、彼/彼女の個人個人を見つつ、カップリング(関係性)を見つつ、客観的に状態を把握し、主観的に萌える、という感じです。すごくややこしいように見えますが、ようは「神の視座で眺めていたい」という趣味です。どうやらこの観測趣味は、エロゲーマー(男性オタク)発祥というよりは、女性オタク……BLや百合界隈という文化から発祥したようです。少なくともぼくはそう認識しています。箱庭の中、二人のキャッキャウフフを観測する形でないと、ぼくは幸せになれない。(残響)

 

んー……僕は「観測趣味者」ではないので、どちらかと言えば「感情移入」型に入ると思うんですが、何箇所か突っ込みたいところはあります。

そもそも感情移入ってなんだよって話もありますし。

なんだよ話をする前に、まず第一に「主人公に」の部分はツッコみたい。

主人公じゃなくてヒロインに感情移入する事もあるんですよね……。

第二に、ゲームによるとも思います。感情移入して楽しみたいゲームと、そうでもないゲームがある。

たとえば「ランス」をプレイする際に感情移入しながらプレイする事はまぁないです。

 

そもそも感情移入とは何かというと、僕の場合ですが、まず最初は、フラットな気持ちでテキストを読み進めるわけです。

ここでは、ゲームをプレイしている「私(fee)」がいて、ゲームの中で動いている主人公がいて、ヒロインがいる。

そうしてテキストを読んでいるうちに、はっとする一文、驚きの展開、ぐっと心を鷲掴みにするBGM、ヒロインの悲痛な叫び、

まぁなんでもいいんですが、そういう「作品世界からの働きかけ」によって、プレイヤーである私(fee)が物語に、作品世界にぐっと引き込まれていく。

キャラクターの感情がダイレクトに伝わってきて、ゲームをプレイしている「私(fee)」がその瞬間、意識から喪失する。

作品世界に溶け込む。まぁ少し大げさに書いている気もしますが、自分というものがなくなって作品世界に溶け込む・作中人物の感情と自分の感情が重なることを「感情移入」と呼ぶ……のだと思っています。

 

で、上で書いたように感情移入して楽しむゲームと、そうではないゲームがあるのですが、

「感情移入して楽しみたい」のに、「できない」ゲームというのはまぁ頻繁にありまして、そういうゲームはたいてい僕の評価は低いです。

「観測趣味」の方と大きく違って、「感情移入したいのにできない」ゲームの評価は低いと。そういう事になってしまうんですなぁ。

あと、抜きゲーは別の意味で感情移入(??)します。感情移入(??)しないと抜けないんだよな……。(fee)


*4 鬼哭街……ニトロプラスが2003年に発売した「サイバーパンク武侠片」。主人公・孔 濤羅(コン・タオロー)は、もと居た組織に、妹をぶっ壊された。復讐だ、復讐だ……!外家(機械による身体カスタマイズ)に頼る、あの腐った奴らに、俺の内家拳法(体術のクンフー)が雷を下す! この一振りの日本刀をたずさえて……。という、非常に燃える燃える、中華サイバーパンクのダークヒーローが、バトル!バトル!バトルなゲームです。しかし常に悲壮感と哀愁を漂わせる作風は、染みる……!なお、発表当時から、ハーフプライス以下の安さで提供された、古式豊かなビジュアルノベルですが、内容の密度・熱さはそんなことどうでもよろしいと思わせる。残響は、エロゲプレイヤーとして、わりに初期にこれをやりました。そして、かなり影響を受けたのです。ビジュアルノベル観において。(残響)

 

鬼哭街については、補論(おまけ)で話す予定なのでそちらに任せるとして。

虚淵エロゲでは「PHANTOM OF INFERNO」の次に好きなのがこの「鬼哭街」ですね。いや、ほんと面白いっすよ。(fee)


 
*5  幼馴染と十年、夏……
――夏休みは、ずっと二人で、いちゃいちゃ過ごそう。
同人ゲームサークル「夜のひつじ」が2012年に領布した、オンリーワンヒロイン形式の短編同人エロゲ。平成11年編(小○生)、14年編(中○生)、16年編(高○生)と、時系列的に、幼馴染・枝梨との淡いノスタルジックな思い出と、思春期の春の目覚めと、カップル成立後のだらけたイチャラブ日常を丁寧に描く、「幼馴染者にとっての最重要危険エロゲ(いい意味で)」。この作品は、本当に夏の心象描写が上手くてですね。二人の関係性と、夏のじわっとした暑さが、絶妙にマッチして、「ああ……この二人は恋をしているのだ」としみじみ感じさせてくれる、本当の純愛作品でございます。浮気?NTR?黒箱展開? バカ!そんなのお呼びジャネーヨ!(残響)

 

幼馴染大好きだし、夜のひつじ作品も好きだから期待していたのに、そこまで響かなかったんだよなぁ……。

個人的、夜のひつじ作品ベスト3は「義妹ホールと妹ホールド」、「相思相愛ロリータ」、「彼女、甘い彼女」かな。あれ、幼馴染作品が1つも入ってないぞ?(fee)

 

*6 まぁ、嫌いな作品で妄想することはないでしょうから、僕の場合でも、評価と妄想には多少の相関性はあります。ただ、あくまでも多少、ですね。たとえば僕が大好きな「穢翼のユースティア」は妄想はしにくいです。(fee)

 

*7 自分の中では繋がってるんだけど、客観的に見ると論理が飛んでいるような気がする……。

これ「妄想のしやすさでイチャラブゲーがシナリオゲーに勝っているとは思わない」と、そういう趣旨の発言です。

「妄想ができることがイチャラブゲーにとって大事」と残響さんが仰っているのを、「妄想のしやすさという点で、イチャラブゲーはシナリオゲーに勝っている」というふうに『誤解』して、「いやいや、シナリオゲーだって妄想できるやん」と反論している。

そういう流れの発言なんですが……。

残響さんはそんなこと全く言っていないんだよなぁ……。大いなる反省ポイントなんですけど、↓のような優しくも詳しい注をいただけたので、結果オーライ的な……(fee)
 

この部分を残響側から補足すれば、いわゆるイチャラブ系のゲーム
は、基本的に、妄想を誘発させることが、もっとも重要な「必要機能」の一部である、という暗黙の前提があります。それはあたかも抜きゲーがオナニーを誘発しないと、機能的にダメ、というのと同じです。
さて、では、シナリオゲーは妄想を誘発しないのか。シナリオゲーは妄想喚起に不得手なのか、というところで、これにも前提があって、「シナリオゲーもまた、恋愛ゲーだろ」という観点があります。恋愛ならばまた、妄想を誘発できて当然だ、みたいな。あるいは、シナリオゲーにもキャラ、カップルがいるから、恋愛イチャラブ妄想は出来るだろ!という。このあたりが、「カタハネ」「僕夏」「水夏」を巡る論議で、いささかごっちゃになってたフシがありました。
そして、その前提は正しいわけです。上記対談で、「僕夏」でも出来る、というfeeさんの発言。そしてぼくにしたって「水夏」の「第二章」ではできた……さらに言うと、実は第三章のヤンデレ全開の共依存関係も、また、「妄想の調理」によっては、オイシいものでしたw 
整理しますと、
・イチャラブは「妄想喚起が必要機能である」。なぜなら……なぜならっちゅうこともないな。そういうジャンルだから。
・シナリオゲーは「妄想喚起は必要機能ではない」が、「優れたキャラ、カプは、妄想を喚起してしまうことはやむなし!」だってぼくら人間だもん、オタクだもん!(ひどいオチ
ただし、「イチャラブ」を名乗っておいて、妄想のひとつも誘発しないようなイチャラブゲーは、明らかに「劣っている」「失敗している」と断じていいわけです。実はこのあたりの「妄想をひとつも喚起せんイチャラブゲー」が増えた、
というのは、かなりデカいテーマなのですが。(残響)

 
*8 Air……2000年9月にKeyから発売された、全然エロくないエロゲ。長い長い夏休み、美凪ルートの屋上で泣き、観鈴ちんのゴールで泣き……。当時は泣きゲーが全盛でしたなぁ(fee)
 

*9 水夏……それまでどーも泣かず飛ばずだったCIRCUSが、2001年に発売した、出世作であります。近年まで続く「D.C.」の展開も、結局はこの作品あってのもの。作品内容は、第一章〜第四章、と、連作短編になっているオムニバス形式。
第一章の神社と巫女さんの嫉妬サスペンス、
第二章の萌えと「ある種の美学」を融合させたミステリタッチ、
第三章の依存カプを中核に据えた……何言ってもネタバレかなコレw
第四章……当時の状況から見てよくソフ倫通ったなw じゃなくて、それまでの章を統合させる幻想的なシナリオ。
と、見かけの萌えゲー風味とは大いに異なり、実際は内面描写・人間の業をしっかりと描くストーリーゲーであります。しかし、第二章のさやか先輩、第四章の「名無しの少女」は、キャラの良さもあって、当時結構な人気を博しましたぞ。第三章の透子さんも、稀代のヤンデレとして……うん、でもさ、ああいう人って、いないわけじゃないんだよね。(残響)

 

こちらも補論で少し語る予定です。昔のゲームだしどれぐらい語れるかはわからないけど……(fee)
 

*10 カタハネ……2007年にTarteが発表した、群像劇であり、ロードムービーであり、百合であり、シナリオゲーとしても一級品、キャラの煌きも美しく、何よりキャラ一人ひとりにいたる、それぞれの生き方・生き様が鮮烈に描かれている、残響がえろすけで「100点」をつけている作品。
現代を生きる若者たちが、過去の歴史を再解釈しようと、舞台を立ち上げていく「シロハネ」編。
とある国の「大逆賊」の真実を描く、姫と人形と忠臣と、そして敵国との権謀術数を描く「クロハネ」編。
その二つが重なりあって、「カタハネ」という作品はあります。
この作品について語っていったら、残響は超長いので、とりあえずここらへんでおさめておきますが、ひとつ。Tarteはこのカタハネを発表直後、倒産します。残ったメンバーはその後、RococoWorksというブランドを立ち上げましたが、いろいろあって(エロゲ暗部というか)、こちらも倒産。最近は「10mile」というブランドで「ひとりのクオリア/ふたりのクオリア」という掌編をドロップしていましたが、先日、ついに「カタハネリマスター版」こと、「カタハネ ―An' call Belle―」が、10mileから発売されることにっ! 嗚呼……嗚呼!!!(残響)
 

こちらも補論で話す予定です。いや、なかなか良いゲームでしたよね、カタハネは。僕、多分シロハネ単体でもクロハネ単体でも、そこまで評価はしなかったと思う。この2つが合わさったからこそ、完成してるなと(fee)


*11 僕と、僕らの夏……
2002年にlightから発売された、「ダムに水没する山間の村」を舞台に、少年少女たちが「ひと夏の宝探し」をする、群像劇。
主人公が、縁のあるその村に、水没する間近に来ることから物語ははじまる。そこから、村の少年少女たちと(思春期ということもあって)どこかノスタルジックな雰囲気をたたえて物語は進行していくが……このエロゲ、結構リアルタッチというか、あんまり甘々したものではありません。もちろん、笛氏によるキャラデザは現在にも通用するほどのしっかりしたさわやかな萌えゲータッチでありますが、さすがは早狩武志シナリオというべきか、読んでいくうちに、かなり硬派なシナリオが待っております。一言でいえば、「逃げない」って感じ。
あ、百合ありますよ。結構ナマナマしい百合がな! レズの領域に足踏み入れてる百合がな!(残響)


ダムに沈む故郷の最後の夏。校庭のどこかに埋めたタイムカプセルを、皆で一緒に掘り返す。というテーマにピンと来た人は是非やりましょう(今でも入手できるよね?)(fee)
 

*12 アリキリ……倉林有夏(くらばやし・ありか)×市村貴理(いちむら・きり)。逆ではない。なぜか。これは僕夏のネタバレになるからあまり語らないが、とにかく有夏の貴理に対する恋慕が結ばれる、というルートがある(ああやだやだ、繊細な心理描写を投げっぱにする情緒のない説明!)。そのルートでは、有夏が「攻」であり、貴理が「受」である。この有夏、普段はおどおど系の後輩なのだが、いざ恋愛&レズセックスとなると、まあねちっこい攻になります。そしてそれに流される受の貴理。アグレッシヴに攻め、というよりかは、言葉攻めを主な武器として、肉体に食い込むかのように攻めていく有夏。お互いがお互いの肉体的、精神的に弱いところを知っているからこそ出来る、「距離の近さが捩れたところのダーク(っぽい)百合」であります。本文中でfeeさんがこの百合関係を褒めて(抜いて)いるのも、納得であります。なお、アリキリという呼称は、公式のものではありません。大概、百合者はこういう「カタカナ四文字」でカプを書くのじゃよ……。

 

 

第三夜に続く。

ボリュームの少なかった第二夜の穴埋めというわけでもないが、数日後に特別企画としてイチャラブゲーの金字塔、SMEE『ラブラブル』の対談クロスレビューも公開予定!

こうご期待!

千夜一夜エロゲ対談 第一夜

  • 2016.06.18 Saturday
  • 21:44

第一記事目ではこんな内容を喋りました

 

・ 本文に入る前に

・ジャンルの定義について

・『こみっくパーティー』はシナリオゲー!?

・こんなにも違う『さくらむすび』の捉え方


注意:本記事には本文中に『さくらむすび』のネタバレがあります。

 

残響が話した部分、書いた部分は青色で、
feeが話した部分、書いた部分は赤色になっております。


対談者紹介

fee書評・サッカー評・エロゲレビューブログ「止まり木に羽根を休めて」管理人。エロゲー批評空間でも、同名でレビューを投稿している。Twitterアカウントは@fee1109
日々、海外小説(最近は古典ミステリが主)や、海外サッカーの精緻な読み解きを行いながら、シリアスでストーリー性・ドラマ性の豊かなエロゲを好んでプレイする「シナリオゲーマー」である。この三本の矢がどう結びついているか……とくにエロゲレビューにどう結びついているか、ということの分析は、簡単に出来るものではないです。無理に結びつけようとしてもねぇ。人間ってそんな簡単なもんじゃないし。
ただひとつ仮説を述べるとしたら、feeさんのシナリオゲーレビューにおいて、「錯綜するプロットであったとしても、その根幹の魅力をレビューでひとつの筋に沿ってわかりやすく表す」ことの上手さは、海外小説読み、サッカー観戦で培われたものなのかな、という仮説。
それだけに、読み応えのあるシナリオゲーに対しては、feeさんの読解力が十分に活かされるのだけど、ひょっとしたら「プロットの錯綜も読解もなにもネエよ」という生粋のイチャラブゲーに対しては、feeさんの読解力は機能不全を起こすのではないか、という、これも仮説。しかし、最近、SMEE「ラブラブル」をプレイされているから、のっけからイチャラブゲーをヘイトする立場ではない。
もっとも嫌うものは「安易な決め付け」。
お互い、twitterではフォローしあう関係。残響のほうは、ブログで「エロゲーマー諸子百家」なる企画をしたときに、16番目にfeeさんを取り上げさせていただいた。また、feeさんのほうも、「止まり木に羽根を休めて」で、残響に言及していただいたこともある
シナリオゲーマーとしての、イチャラブゲーマーに対する率直な疑問、からこの対談ははじまるのであった……(残響)
 

残響百合熱弁でお馴染みのエロゲーマーであり、イチャラブゲー愛好者。twitterアカウントは@modernclothes24 ブログ「残響の足りない部屋」管理人。音楽や模型、創作など幅広く活動なさっている。イチャラブの人、と書いたが、氏のプレイ履歴を見るに「鬼哭街」や「信天翁航海録」(feeは未プレイですが)などに高得点をつけているように、決してシナリオゲーの素養のない方ではない。
氏のブログ記事「諸子百家」に代表されるように、様々に癖のあるエロゲレビュアー多数と仲良く付き合える適応力、懐の深さを、器の小さな僕は常々尊敬している。
本対談も、ナチュラルにイチャラブゲーを批判したりしているfeeの行儀の悪さを、嫌な顔せず受け止める残響さんの包容力に助けられた部分が大きい。
(fee)

 

本文に入る前に

2016年3月某日、シナリオゲーを主に好むfeeとイチャラブゲーを主に好む残響が、エロゲ(ノベルゲー)対談を決行しました。本ブログ・本記事は対談の模様を録音し、なんと4時間20分にも及ぶテープ起こしを元に書かれたものです。
時に意見を異にしながらも、和やかに推移したこの対談をお読みの方に、両者の熱が、その場に居合わせたかのような臨場感が伝われば幸いです。
 
「シナリオゲー好き」のfeeと「イチャラブゲー好き」の残響という立ち位置でスタートした本対談。しかし、そもそも対談を始めるにあたり、「シナリオゲー」とはなんだろうか、「イチャラブゲー」とはなんだろうかというところから考えなければなりません。
そして、それ以前に大前提として「エロゲ―」とは何か、を語るところから対談はスタートしました。
……のです
が、RPGやSLG、シューティングとノベルゲーの違いなどを巡り、*1議論は進まずw
ハッキリとした結論が出なかった上に、今回語りたい「シナリオゲー」と「イチャラブゲー」の内容とはズレてしまったため、今回の対談記事ではカットしました。

 

 


*1 ↓カットした対話の一部
 

fee「ランスはRPGでしょ?」

残響「でもRPGとはいっても、ストーリーが進むシーンでは紙芝居(ノベルゲー仕立て)になるじゃないですか」

fee「そこはそうなんですよねw それにRPGと言っても、読み物としての面白さを期待してプレイする人とかいますからね……僕とか」

残響「物語を進める際にテキストを主に使うかどうか、とか……」

fee「その辺で妥協するしかないかなぁ……深入りすると難しい……同人RPGで、RPGツクールで作ってるんですけど、ほとんど戦闘がなくてずっと読み物として進んでいくものとかもあるし……」

残響「難しいですねw」
 

 

 
結局議論が進まないため、便宜上「読み物(ノベルゲー)」と「非ノベルゲー(アクション、RPG、SLG、パズルなど)」に強引に分類する事に。

「読み物(ノベルゲー)」に対する対談が本格的にスタートするところから、ガッツリと記事にいたしました。
どうぞ皆さま、心ゆくまでご堪能ください。

それではこれより、本文スタートです!(fee)

 

ジャンルの定義について


fee「読み物から次に派生するのが、僕の感覚では【抜きゲー】と、【非抜きゲー】。ただし、またがることはある」

残響「そっすね。またがることはある」

fee「ここでひょっとすると僕以外の人は、【抜きゲー】と【シナリオゲー】と【イチャラブゲー】に分けているのかどうかっていう」

残響「うっ、それはちょっと……難しいところですね」

fee「僕は分けていないんですよ」

残響「この段階では【イチャラブゲー】というよりは【萌えゲー】というかも。というかぼくの定義では、【萌えゲー】を先鋭化させたような」

fee「ちょっと待って……【萌えゲー】と【イチャラブゲー】ってイコールじゃないんだ(笑)」

残響「あの、ミステリというジャンルの中で、【*1本格】があるじゃないすか。そういう捉え方に似てるというか。先鋭化する上で過激になるというか。過激になる過程で、失われるものもあるじゃないすか」

fee「その辺も聞きたいんですが、どういう方向で話を持っていこうかな」

fee「イチャラブゲーというのは、萌えゲーの中の一ジャンルなんですか?」

残響「たとえるならコース料理があって。順番を追っていくうちに、前菜からデザートまである。そのなかで、デザートだけ食べたい!みたいな。あるいは洋菓子店に通いつめたい!」

fee「はいはいはい」

残響「コース料理が普通のエロゲだとしたら……仮にシナリオゲーの起承転結をコース料理にたとえると、どこかにイチャラブが入る。普通イチャラブはデザートとして捉えられますけど。その中で、デザートの部分に注目する事で、イチャラブゲーという形に特化する」


*1本格……作者が問題(事件)を用意し読者が正解(犯人、トリックなど)を当てる作品群で、海外では1920〜40年代頃に黄金期を迎えた。日本では「本格推理」とも呼ばれ、「ミステリ」=「本格」をイメージする方も多いと思うが、現代の欧米ではどちらかと言うと傍流の印象。(fee)
 

残響「萌えゲーをやっていて、最終的に少しだけシリアスに振り切れる方向というか、もしくは完全にイチャイチャに終始するゲームと言うか。萌えゲーって【形式】だと思うんですよね」

fee「残響さんが仰っているのは【イチャラブゲー】の話ですよね? 【萌えゲー】とは違うんですか?」

fee「【シナリオゲー】と、残響さんの仰る【イチャラブゲー】の違いは解るんですけど、【萌えゲー】と【イチャラブゲー】の区別がついていません。というか、同一視してる感じです。ついでに言うとキャラゲーっていうのも」

残響「キャラゲーと萌えゲーとは、意味合いは同じだと思うんですけど」

fee「萌えゲーという単語を聞かなくなったんですよ。僕の中の死語リストに入っていて。<昔は萌えゲーと呼ばれていたものが今はキャラゲーと呼ばれておるのだ>、みたいなイメージを持っています。で、僕が考える萌えゲーというのは、基本的にイチャイチャしているから、じゃあイチャラブゲーっていうのも同じじゃないのか? っていうところなんですけれども。その辺の区別があまりついていないですね」

残響「ふと思いましたけど、【コメディ】と【ギャグ】って言葉があるじゃないすか。【萌えゲー】と【イチャラブゲー】はこの違いかもしれませんね。喜劇のなかでもいろんなものがあって、*1『Dr.スランプ』とか*2『つるピカハゲ丸』とか。そのなかでも、イチャラブゲーというのはとくにギャグに振り切ったものというか」

fee「今、見ている*3ニコニコ大百科のページには、【コメディとギャグの違いは、ストーリーラインを重視しているか否か】と書いてありました。コメディはストーリーラインがあって、笑えるもの。ギャグにはストーリーラインがなくて、笑いに特化しているもの。これを先ほどの話に当てはめると、コメディが萌えゲーで、ギャグがイチャラブゲーという感じでいいんでしょうか……?」

残響「そうですね。イチャラブゲーは物語性を薄くすればするほどいいというわけじゃないけど、そんなにシリアス性には重きを置いていないというか。主に萌えゲーをプレイしながらなんですけど、プレイ途中から【イチャラブゲーだ】って自分の中で認識していって、それなら、よし最後までイチャイチャを見せてくれ、最後まで堪能させてくれ、みたいな」

fee「ふんふんふん……どうなんだろうなぁ。ここで僕がイチャラブゲーを叩き出すのも空気が悪くなりそうだし。話を少し戻しまして。エロゲは基本的には、最初の段階で【シナリオゲー】と【萌えゲー】と【抜きゲー】に分かれるんでしたっけ?」

fee「ちなみに残響さんはどう分けているんですか?」

残響「【シナリオゲー】と【萌えゲー】と【抜きゲー】に分けている。そう分けていいと思う」

fee「僕の場合はまず最初の段階で、【抜きゲー】と【非抜きゲー】の二つに分けていまして。次に【非抜きゲー】から、【シナリオゲー】と【キャラゲー】の二つに分けます。もちろん重なる部分はあります」

fee「で、ですね。すんごいざっくりいっちゃう上に、やな感じなんですけど。シナリオがあるゲームと、シナリオがないゲーム――シナリオって言いたくないな。シナリオゲーって連呼しておいてなんだけど、僕個人としてはあまりシナリオゲーって言いたくない。すごく便利なんで使っちゃうんですけども。シナリオってそもそもなんだって話で。イチャラブってなんだよって話にも深めていく予定なんですけど……」

残響「まあそれをいっちゃえば、恋愛でイチャイチャしてないのが全くないのが珍しいし」

fee「<シナリオってなんですか?>って言うと、完全に自分定義ですが……。僕が使うシナリオゲーという言葉と他の人が使うシナリオゲーという言葉は、意味が違うと思うんですよ。すんごい乱暴ですが、【僕がシナリオが良いと思ったゲーム】をfee定義ではシナリオゲーと言っておりますw」

残響「世間一般でシナリオゲーといわれてるものでも、気に入らなければfeeさんにとってはシナリオゲーじゃないw」

fee「そこなんですよね、難しいのは。自分からはシナリオゲーとは言わないんですけど、他の人から意見を求められたら、世間の意味に合わせてシナリオゲーの駄作と言うかもしれません」

残響「なるほど」

fee「僕は簡単に言っちゃえば、*4【エロくてかわいい女の子が出てくる面白い話】が読みたいなぁというのが、エロゲーをプレイする動機なんですね。この面白い話を、シナリオっていうわけなんですけど。もっと分解していくならば、ドラマだと思うんですね」

残響「【ドラマ性】っていうことですか

fee「ドラマ性、物語の起伏。刺激的かどうか。*5 刺激と安定。という軸が一つあって」

fee「人によっては、恋愛ゲーと非恋愛ゲーに分けて、非恋愛ゲーをシナリオゲーと呼んでる人も結構いると思うんですよ。僕はその分け方は間違ってはいないと思うんですが、でもシナリオゲーだってよっぽどガチなやつじゃない限り、恋愛ぐらいはするじゃないですか」

fee「イチャイチャだってしますよ。少しぐらいは……少しぐらいしますよ!w *6 これも絵空事ですが、本来的には【シナリオゲー】と【キャラゲー】を分ける意味は僕にはあんまりない」

fee「抜きはまたちょっと違って、違うんだけど……でもそこも単に僕の頭が固いだけで、ひょっとするとここも分けなくてもいいのかもしれない。……そこは分ける必要があるかな?」

残響「抜きゲーの場合、機能を先にしてるじゃないすか」

fee「実用性ってことですよね?」

残響「そっすね」

fee「でも僕、シナリオゲーでだって抜きますよ」
 
残響「でもそれは(抜き)機能を十分に満たしてるということであって。なにでたとえれば……」

fee「極端な例を出せば、*7『Kanon』でも抜きましたよ」

fee「その辺はゲームのエロシーンじゃなくて妄想で抜くんですけどね。自分で勝手に変なシチュエーションを妄想して抜くんですけど」


fee「そういうことができるので、そりゃエロシーンの出来が良ければ嬉しいけど、別に出来が悪くてもキャラクターごとの性格がしっかりしていて、人間関係もしっかりしていれば妄想なんていくらでもできるので」


*1  Drスランプ……1980年から1984年まで、『週刊少年ジャンプ」で連載されたコメディ漫画。鳥山明の初期作にして、初ヒット作。アラレちゃんを筆頭とした、呑気なキャラクター達が、「なんでもあり」のペンギン村、という箱庭世界を舞台にして、アホなことばかりを楽しそうに行う「コメディ」です。その後の「ドラゴンボール」よりも、メカニックマニア・ミリタリーマニア・模型マニアとしての鳥山のディープな趣味成分が出ていて、残響が子供のころ読んでて、ぼくはドラゴンボールよりこっちが好き。(残響)

 

Drストップあばれちゃんでしたっけ(うろ覚え)(fee)
 
*2 つるピカハゲ丸……1985年から1995年まで、「月刊コロコロコミック」に連載された、のむらしんぼの代表作。「貧乏!」と「ハゲ!」がメインテーマ。基本四コマ漫画で、その貧乏ぶり・ハゲぶりを拡大解釈し、ギャグに仕立てる作品。おそらく、今やったら、PTAどころか、ネット民から非難されそうな作品の筆頭かもしれない。ちなみに残響が2〜3才で初めて読んだ漫画。(残響)
 
*3 ニコニコ大百科……たまたまグーグル検索で一番上に来たので(fee)

 

*4  エロくてかわいい女の子……素敵なお姉さん、とかでも良いです。要は魅力的な女性キャラクターが登場してくる物語が読みたいということです。(fee)

 


*5 刺激と安定……人間は、「適度な刺激」と「安定」、双方がないと生きていけないと思うんです。
「刺激」を求めて、たとえば人は旅に出ます。でも、「刺激」に晒されていると、人は「安定」が欲しくなる。だから、人は「家」に帰る。でも、ずっと「家」にいるとまたうずうずしたくなってきて「旅」に出る。その繰り返しで人は生きているのだと思います。勿論、「旅」という形ではなくて、「新しい店」と「馴染みの店」など、ご自由に置き換えてください。
エロゲで言うなら、「ワクワクしたりドキドキして楽しむパート」と「安心して楽しめるパート」(fee)

 

 

*6 分ける意味はあんまりない……本文でも書いたように、僕は「エロくて魅力的な女性が出てくる、面白い話が読みたい」と思ってエロゲをプレイしています。これを少々乱暴に噛み砕いて言うならば、「シナリオが良くて、キャラも良いエロゲがやりたい」と言ってしまっても構いません。「シナリオだけ」「キャラだけ」のゲームではなく、「シナリオもキャラも良い(ついでにいっぱい抜ければなお良い)」『シナリオキャラゲー』こそ、僕がやりたいゲームなのです。

さて、基本的に「シナリオが良い」ノベルゲームは、一部例外もありますが「たいていはキャラも良い」です。魅力的なキャラクターが出てくるからこそ、物語に引き込まれて面白みを感じる。物語が面白いからこそ、そこに登場するキャラクターにも魅力を感じる。「シナリオ」と「キャラ」は対立する要素ではなく、むしろお互いを高め合う車輪の両輪だと思っています。逆にシナリオが面白くなければ、そこに登場するキャラクターにも愛着は生まれにくいし、キャラクターが全然ダメならば、仮に衝撃的な事件などが起こっていたとしても、物語を面白く感じられない。

「シナリオ」と「キャラ」は対立する要素ではないのだから、エロゲには「シナリオゲー」も「キャラゲー」もなく、「読みものとして面白い(しかもキャラが魅力的)ゲーム」か「読みものとしてつまらない(キャラの魅力も薄い)ゲーム」かしかないのではないか。僕に関する限りはそういうことになります。

 

まぁ現実には「シナリオが目立つゲーム」「シナリオが目立たないゲーム」という違いは厳然としてありますので、結局プレイ前の段階で「これは多分シナリオが目立つゲームだな」「目立たないゲームだな」というふうに、分けることにはなるんですけれども……。

「シリアス(しかダメ)ゲー」や「キャラ(しかダメ)ゲー」もありますしね……。

 

また、「シリアスゲー」と「日常(あるいはコメディ)ゲー」という分け方もあります。

「シナリオゲー」とか「キャラゲー」とかいう言葉を使うよりは、こちらの方が実相に近いような気はします。

ただ、「シリアス重視ゲーにしたって、よほど硬派な作品を除けば、多少のコメディ、もしくは日常シーン」は入ります(Fateや君が望む永遠、Airにだってコメディシーン、日常シーンは普通にある)。

バランスの配分はあるでしょうが、『シリアス』と『コメディ』もまた対立する要素ではなく、共存できる要素ですし、だとするなら「シリアスゲー」と「コメディゲー」に分ける必要もあまりないのではないか、と。

これも現実には「シリアス成分9でコメディ成分1」のゲームと「コメディ成分9でシリアス成分1」のゲームでは、プレイ感覚は異なりますし、「シリアスシーンしかないゲーム」「コメディシーンしかないゲーム」というのもあるにはあるので、結局は分けることにはなるんですけれども。

 

……なんだかすんごく長い注になっちゃったゾ……いいのかな(fee)

 

feeさんの論を逆の方向から考えてみれば、「優れたキャラ、優れたイチャラブは【最低限の良いシナリオ】が必要とされる」といえるかもしれません。この【最低限の良いシナリオ】とは、以降の対談で残響が提示する「プレイヤー感情に水を差さないシリアス」とほぼ同義ですので、以降の対談も参照していただきたく存じます。

このあたりは、第三夜あたりでより深く対談していきますので、ご期待ください。

 

また、feeさんの「シリアスゲー」と「コメディゲー」に分ける必要があるのか、ということですが、これは「あらかじめ決める」というよりは、プレイ感覚の現実に即して、「遡って(遡及的に)決めるもの」と言ったほうが、より穏当かもしれません。どういうことかというと、feeさんの言葉を引き写しますが、ゲーム・物語をプレイしていて、「プレイ感覚は異なる」わけです。このプレイ感覚とはどこから来るか、は、結局のところ、そのゲーム・物語の「質」ではなくて、「量」といえると思います。もし我々の前に「このライターのギャグ、スベりまくってるな……」と思うようなギャグばっかりのゲームがあったら(いっぱいありますね)、やはりそれは「ギャグゲー、コメディゲー」と認識するのではないでしょうか。ギャグが成功/失敗しているか、よりも、ギャグが大量にあるか。いかにストーリーの本筋から離れて、本筋を侵食する勢いでギャグの「量」があるか。さらに言えば、ギャグの質的問題は、主観によって決められますが、量的問題は、質的問題に比べれば、まだ客観的に計数・計測が出来る。こういうところから、遡って「シリアスゲー」か「コメディゲー」か、というふうに決定はなされるのではないか、というのがぼくの考えです。

 

……まあ、「シリアスが目立つゲーム」「シリアスが目立たないゲーム」の判別は……「やればわかるさ! Just do it!」と言う他ないんでしょうなぁ……ひどいオチ。(残響)


*7 Kanon……1999年にKeyが発表した「泣きゲー」の金字塔。Leafの「To Heart」とともに、多くの人間を「オタク」の冥府魔道に引きずり込んだ作品。痛いほど透明な世界観に、「死」を多分に持ち込んだ感動的なストーリー展開。キャラメイキングも相当のものがあり、また、音楽も最高。ゼロ年代初頭当時、鍵ゲー、とくにKanonの二次創作同人誌というのは、隆盛を極めておってな……(老人口調)。『AIR』が逆に二次創作に向いていない作品だったゆえに、Kanonが同人のネタになったということじゃ。(残響)


*1『こみっくパーティー』はシナリオゲー!?


fee「ノベルゲーは主に起伏のあるものとないもの……ないって言っちゃっていいのかな。どうなんでしょうか?」

残響「起伏があればいい、というわけでもないですが……」


fee「シナリオゲーというものを考える上において、一つにはシナリオを主でキャラを従にするか、シナリオを従でキャラを主にするかという考え方もできるんですけれども、それは一般的に使われているシナリオゲーとキャラゲーの関係ではないです。どっちが主でどっちが従かわからないゲームもいくらでもありますし」

残響「主従については、実地でプレイしてれば感覚的にはわかるんじゃないですか。定義論でいうから境界線上の例が出てくるんであって」

fee「どうかなぁ……『こみっくパーティー』はどうでしょう? 僕の定義では萌えゲー、キャラゲーなんですけれども。ただし、このゲームはキャラが主じゃなくて、シナリオが主だと思います」

残響「ぼくはキャラゲーだと認識してますね。キャラが主でシナリオが従だと思っています」

fee「多分ですけど、『こみっくパーティー』という作品は瑞樹ちゃんとか千紗ちゃんとか、そういうキャラを活き活きさせたくて作られたゲームじゃなくて、コミケというものが書きたいというのが先にあって、コミケで映えるキャラを配置しているんだと思います」

残響「あーそういうことかー」

fee「だからこれはシナリオが主ですよ。シナリオが良いかどうかは別として」

fee「僕は『こみっくパーティー』はキャラゲーだと思っているけれども、シナリオが主かキャラが主かという考えで定義し直すなら、一般で使われているシナリオゲーやキャラゲーの感覚からはズレる。ズレることの例です。だって『こみっくパーティー』がシナリオゲーだって主張しても、たぶん多いのは<ハァ?>みたいな反応でしょう」

残響「あーそうっすねーー」

fee「*2 一般で使われているシナリオゲーやキャラゲーという言葉も、シナリオが主かキャラが主かで厳密に分けられたものではなくて、単にシナリオが目立つか目立たないか。そういうぼやっとした単語だと思うんですよね」


*1 こみっくパーティー……1999年にLeaf東京開発室が発表した、「オタク」「同人誌」「即売会」を堂々とテーマに掲げた意欲作。当時人気絶頂だったF&Cから、みつみ美里、甘露樹、なかむらたけし、を引き抜き、ビジュアル面で当時もっともモダンで破壊力のあった原画を有し、その上で成り立つキャラメイキングは、どのキャラも強烈な個性を放つものであった。本文中で「キャラゲー?シナリオゲー?」の論争が起こっているのは、このあたりに由来する。なお、ビジュアルノベルでは「なく」、「同人誌作成ゲーム」を行いながら、女の子を攻略していくシステム。そして、残響の殿堂入りヒロイン、長谷部彩さん。無口で独特の感性を持った、黒髪のオリジナル創作作家(売れない)。この娘こそが、我が殿堂入りヒロインであり、わたし(残響)は学生時代、5年間毎日この子で妄想していた。脳内イチャラブしていた。マジで。(残響)

 

一回原稿落としたぐらいでバッドエンドって……同人作家の道はかくも険しい(fee)

 

 

*2 だから真面目に「シナリオゲーとはなにか」「キャラゲーとはなにか」なんてガチガチに考えても意味ないんだって。そもそも正解なんてないんだから。もっと気楽に「俺がシナリオが良いと思ったゲームがシナリオゲー」ぐらいの感じで良いんだよ! あ、こみパはシナリオは良くない(主観)から、シナリオゲーとは言いたくない。だからキャラゲーな!(fee)

 

そんな身も蓋もない……w(残響)

 


こんなにも違う*1『さくらむすび』の捉え方


残響「シナリオが目立つか目立たないか、ですか……『さくらむすび』はどうなんでしょうかね」

残響「『さくらむすび』からみる、シナリオゲーの定義というか、イチャラブゲーの定義というか」

fee「『さくらむすび』はシナリオゲーでしょ。僕定義でもシナリオゲーです。『さくらむすび』は、Twitterで何度か書いたんですけど、ホラーだと思っています。萌えゲーではないです。*2 紅葉ルートが、唯一萌えゲーっぽいルートなんですが……なんだけども、多分『さくらむすび』は紅葉ルートが書きたくて作られたゲームではないと思います」

fee「『さくらむすび』で描かれているのは世間の怖さ。世間では主人公と紅葉がくっつく事が望まれていて、その通りに仲良くなれば幸せな生活が送れるけれども……」

fee「桜とか、可憐とか、世間でダメと言われている人を選んでしまうと、もう駆け落ちするとか、あるいは最悪*3桜BADルートのようにお亡くなりになっちゃう。しかもそれは、【主人公がダメな相手を選んだから悪い】、という話なんですよね。【紅葉ちゃんにしておけば良かったのに】、【紅葉ちゃんなら祝福したのに】。そういう*4 世間の怖さが凄く伝わる話だと僕は思っていて。紅葉ルートの、それこそイチャラブですか? 別にそれは否定はしないんですけど、『さくらむすび』を語る時に、紅葉ルートの話しかしなかったら<「違うだろう>と」

残響「実をいうと、世の中には『*5「いちゃラブ」大全』というイチャラブのことだけ書いている本が、7〜8年前にありまして、そこでは紅葉ルートの話しかしてませんw

fee「それは、まぁイチャラブの本なので……というのは解るんですが、僕としては<わかってねーな>と」

fee「*6『魔法少女まどか☆マギカ』の1話と2話を見て、<すごく雰囲気の良い学園モノですね>って言ってるようなもんです」

fee「確かにそこだけ見ればそうかもしれないし、そこが好きな人を否定はしませんが、そういう話じゃないだろうと。桜ルートや可憐ルートの怖さを浮き彫りにするため、落差を出すために用意されたのが紅葉ルートだと思うので」

残響「すごい違いだ」

fee「僕は*7トノイケさんではないので本当のところはわからないけれども、個人的にはかなり自信があります。一見雰囲気が良いけど、*8【桜の樹の下には屍体が埋まっている】というフレーズで考えるなら、紅葉ルートが【桜】で桜ルートや可憐ルートが【死体】で」

fee「ちなみに残響さんから見て『さくらむすび』はイチャラブゲーなんですか?」

残響「もちろんですよw

fee「マジっすか、ごめんなさいもう(笑)

残響「ぼくは逆に『さくらむすび』のおかげで、エロゲにはイチャラブゲーってものがあるんだ、こっちにいっていいんだ、と思えたほどでw 紅葉ルートの瞬間風速でイチャラブ点を稼いでる面はありますな」

fee「マジっすか。僕は紅葉ルートは眠かったなぁ。この辺が好みの違いなんですけれども」

残響「いやぁ凄い違いだw まぁ眠いというのは否定できない。そっすね」

fee「というか僕は『さくらむすび』は全体的に眠かった。でもこの眠さには意図があるので、いいんですけどね。もちろん眠いとは思わず、喜ぶ方もいるわけですし」


残響「まあそうですね、イチャラブゲーとしてのよさを強調するのがぼくだとしても、他のルートの怖さっていうのはわかります。可憐ルートのアフターを妄想したんですけど、他の町にいって、可憐が大学検定試験を受けるために細々とつつましい生活を送る、みたいな。出来なくもないんですけど、長くは続きませんでしたね」


*1 さくらむすび……CUFFSより2005年8月に発売。ピアノを基調にした落ち着いたBGM、ゆったりとした空気が流れる癒しゲーと見せかけて実は……(fee)

*2 紅葉ルート……幼馴染・紅葉との穏やかな生活のなかで、少しずつ、それでも確かに日々と想いは流れていって、積み重なっていって、そしてあの伝説の「散髪」シーン。紅葉が主人公の髪を切るときに、極めて何気ない、静かな告白の言葉が、ひとつ、またひとつと、葉が降りつむようにして、想いが重なっていき、そして二人は恋人となるこのシーンは全ナジミスト(幼馴染信者)必見である。さあてそこからのイチャラブがすごいよ。とにかく限界なんてないよ! ラストに至ったら、もう「バカップル」だよ! あー、もう、ごちそうさまでしたっ!サイコウッ!(残響)

 

紅葉って幼馴染なの? 僕的には従姉妹キャラだと思うんですけど(幼馴染と親戚キャラは分けたい人)(fee)



*3 桜BADルート……精神年齢が低く、兄の圭吾に病的に依存する桜と、桜を守りたい圭吾。遂に一線を越えてしまった二人を待っていたのは、今まで暖かく接してくれた周囲の人々の拒絶だった。寒空の下、居場所を求めあてもなくさまよう二人だったが、手を繋ぐ桜の身体からは温もりが失われ……。というお話。個人的には、これが「さくらむすび」のTRUEルートだと思っています(fee)

*4 世間の怖さが凄く伝わる話……この観点から紅葉ルートをプレイしてみると、穏やかな雰囲気で塗り込められた下に、周囲の人々の恐るべき思惑が見え隠れして、とても薄ら寒い気持ちになれます(fee)

*5 「いちゃラブ」大全……2008年、インフォレスト刊。この当時、ジャンルもののムックとして「○○大全」が出ていたが、その中の一環として、この本がある。さすがに2008年だけあって、情報が古いところがあるし、現在のイチャラブ濃度の議論からしたら、「薄い」ものもあるだろうが、それでも、例えばシリウス(ライター:保住圭)「こいびとどうしですることぜんぶ」を巻頭特集で持ってきたり、というように、「なかなかわかってるねぇアンタ!」な、イチャラブ好きによる、イチャラブ好きのための、イチャラブの本である。エロゲの取り扱いが大目かな。次に、ラブコメ・エロコメ漫画。(残響)


*6 魔法少女まどか☆マギカ……2011年1月から4月まで放送されたアニメーション。魔法少女候補のほんわかした生活を描いた1、2話と打って変わって、第3話からは……(fee)
 
*7 トノイケダイスケ……もともとはF&Cのライターで、『Canvas〜セピア色のモチーフ』(2000年作)で、「百合奈」シナリオなどにおける、どこか影のあるシナリオ展開と、キャラクター造形でもって、「F&Cのいちライター」としてまずは知られるようになったが、次作、☆画野朗(原画)と組んで発表した『水月』(2002年作)は、幻想的かつ深い読解を要するシナリオ、極めて魅力的なキャラでもって、「え? F&C?萌えゲーメーカでしょ?」の通念におもっきし風穴を開けた、意欲作にして大作。そしてこの☆画野朗とトノイケのコンビは、おしっこ(おもらし)に対するこだわりもさることながら……いやそれは余談だ(しかし識者には余談どころではない)。その後、このコンビはF&Cを離れ、CUFFSを立ち上げる。良作『さくらむすび』、『ワンコとリリー』を送り出し、次の大作『Garden』に向かって、業界、オタの注目は増していった。……が、『Garden』、いざ発売してみたら、これが未完成品であった。その後、トノイケは迷走する。未完成ということに納得がいっていなかったトノイケは、いくつかのルートを執筆、そのクオリティの高さに、「やはりトノイケここにあり!」と「創作者」としては評価はされたが、その後、沈黙。ここ数年、公の場でコメントがひとつもない、という状態(2016年6月現在)(残響)

 

トノイケダイスケなら今はスカパーの社員やってるみたいですよ? 参照URLはここ (fee)


*8 桜の樹の下には屍体が埋まっている……梶井基次郎の短編小説「桜の樹の下には」より。有名な一文だが、小説自体を読んだ人は意外と少なそうな印象。僕は読んでいません(fee)
 

 

2記事目に続きます(近日更新)
 

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